HTCの2016年12月期決算は、売上高782億台湾ドル(前年度比35.8%減)、営業損失146億台湾ドル(前年度の営業損失は142億台湾ドル)と大幅な減収減益となった。スマートフォン事業の競争激化による収益減や、VR事業が当初の想定ほどの利益を創出していないことが要因である。2017年9月にはGoogleにPixel部門を11億ドルで売却、スマホ事業部門に在籍する技術者約4,000人のうち、半数がグーグルに移籍するほか、HTCが保有するスマホ関連の特許など知的財産をグーグルにライセンスする。HTCは、収益性が悪化していた受託事業を切り捨てて、ハイエンドモデルを中心としたビジネスに集中することで、付加価値を高め、収益性の改善を試みる。収益が悪化している状況での売却であり、企業の頭脳である研究部門の人員流出となるだけに、決してポジティブな売却とは言えないが、今回手にすることになる11億ドルのキャッシュをどのように有効活用するかによって、今後の成長が決まってくる。ここ数年は毎年度大幅な赤字を記録しており、このままでは衰退の一途を辿ってしまうかもしれない。
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