カネボウの2003年3月期決算は売上高5,182億円、経常利益141億円(連結ベース)で、3年連続の減収となった。また、財務面でも、2003年9月中間決算で629億円の債務超過に陥り、5,000億円を超える有利子負債の削減も進まないなど、厳しい状況が続いている。この事態を受け、カネボウは抜本的な改革に乗り出した。2006年を見据えた新中期計画の柱は、赤字が続く繊維事業の縮小・撤退と、化粧品事業の分社化である。リストラや新会社の株式売却益などで、まずは財務の健全化に取り組む。2004年は、「ペンタゴン経営」から脱却し、新しい成長の基盤作りに取り組む年になりそうだ。
参照コンテンツ
- 戦略ケース 花王 カネボウ買収の可能性と落とし穴(2005年)
- 戦略ケース カネボウ株式会社 -落ちない口紅 テスティモ(1992年)
- 戦略ケース カネボウ株式会社 化粧品店の勝ち残り支援(1990年)
- 戦略ケース カネボウ 「答えのないもの」に挑むマーケティング(1985年)
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