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消費経済レビューより
2007年度の経済と消費の見通し
菅野 守

 2005年より続いているプラス成長の流れは、2006年に入ってからも持続している。
 「輸出」と「個人消費」は堅調さを保っているものの、「設備投資」の足取りがおぼつかなくなり始めている。
 シンクタンク各社の想定シナリオを見ると、景気判断を分ける材料のうち、個人消費については、楽観的スタンスが支配的となっている。「輸出動向」と「設備投資」については判断が拮抗しているが、「輸出動向」については若干弱含み、「設備投資」については若干強含みの判断のようである。
 「設備投資動向」を見ると、2006年度は当初の悲観予想に反して2005年度からの流れを引き継ぐ高成長が続いてきたが、2007年度は伸び率の大幅な低下が見込まれている。設備投資の高成長の余波として、投資財と生産財では在庫の積みあがりと減産の傾向が認められ、在庫調整に対する警戒も必要な状況となりつつある。「雇用・所得環境」のうち、雇用については伸び率の上昇が認められる反面、所得の伸びは2007年入り後にマイナスとなっている。消費の伸びを支える基盤はまだまだ盤石ではあるものの、その先行きにかげりをもたらすマイナス材料も出始めている。「個人消費動向」については、消費者マインドが崩れる気配はほとんど認められず、供給サイドから見ても消費の堅調な推移が確認できる。消費の中身を見ると、2006年は選択的支出が消費の主役となっている。
 2007年度の内需動向に関するシンクタンク各社の想定シナリオを総合すると、外需にかげりが見えるも、設備投資と個人消費の内需に支えられて安定成長が続く「内需依存型安定成長シナリオ」が多数派となっている。目下の息の長い好景気を背景に、外需に頼らずとも設備投資と個人消費の両輪で成長を維持できる、という極めて強気なスタンスが垣間見える。
 こうした設備投資と個人消費に対する強気スタンスのうち、マクロの消費拡大に対する楽観シナリオは、どの程度の蓋然性があるのだろうか。弊社独自調査によれば、景気の現状認識および雇用環境認識は1年前とあまり変わらないが、景気の見通しと雇用環境見通しについては、悪化の方向への動きが認められる。収入の状況については、現状認識・見通しともにおおむね横ばいである。足許の支出実態は極めて良好であるものの、支出意向については悪化の兆しが見られる。所得階層別に見ると、高所得層の好調ぶりと低所得層の悪化ぶりが顕著であるのに対し、中所得層では強弱まちまちの傾向が認められ、消費の先行きを読みづらいものにしている。総合的には、高所得層による支出増加と低所得層の支出減少との綱引き状況の下で、「中の中」のスタンスが、マクロの消費動向を左右する最大の不確定要素となるであろう。
 以上の議論より、2007年度の日本経済は、設備投資の伸びの失速をきっかけに、投資財・生産財主導で在庫調整は顕在すると目される。個人消費については、高所得層主導での消費の拡大基調は今後も持続するものの、低・中所得層での支出の伸び悩みが消費のブレーキとなる恐れには警戒を要する。よって弊社としては、「消費頼み成長鈍化シナリオ」を、2007年度の日本経済に関する基本シナリオとして採用したい。代替的シナリオとしては、2007年度の設備投資は鈍化するもその影響は軽微で済み、在庫調整にまで波及せず踏みとどまる場合を想定した「内需安定によるソフトランディングシナリオ」(楽観シナリオ)と、景気の悪化見通しから低・中所得層における消費の伸び悩みが顕在化して消費の拡大基調にブレーキがかかり、全面的な不況へと突入する「内需悪化による景気失速シナリオ」(悲観シナリオ)のふたつを、次善の有力候補として挙げておきたい。

(2007.06)

本稿には当社代表・松田久一、並びに社会/経済研究チームのメンバーによる議論・検討の成果が活かされております。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。

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