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(2011.04)
東日本大震災の経済インパクトを読む
-「ニューノーマル」への転換
代表執筆 菅野守
松田久一、大場美子

構成
 1.はじめに-震災を契機に「オールドハット」から「ニューノーマル」へ
 2.震災の経済的ダメージの評価と復興事業費の試算
 3.震災後の経済見通し-復興需要で景気は回復してもマインド悪化で消費は低迷が続く
 4.震災後の日本経済のシナリオ-進めばインフレ、退けばデフレ:剣が峰に立たされる日本経済
 5.「ニューノーマル」の時代を見据えたマーケティング対応の必要性

1.はじめに-震災を契機に「オールドハット」から「ニューノーマル」へ
 3月11日に発生した東日本大震災は、関東大震災を上回る日本国内観測史上最大の大地震となった。警察庁のまとめでは、4月7日午前10時現在、死者・行方不明者は合わせて2万7000人余り、建物の被害は全壊・半壊合わせて5万6,000戸を超えている。被災地域では、数多くの工場で設備が大きく毀損し生産活動はストップし、被災地域にある工場からの部品供給が途絶えたために、被災地域外でも工場の操業を止めざるを得ないケースもある。生産を再開できた企業でも、原材料の調達が間に合わないためフル稼働には及ばず、注文に応え切れない状況のところも多い。
 地震と津波による被害が原因で生じた、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、未だ終息の見通しが立たない。東京電力管内の1都7県では(電力需給により見送られる日はあるが)3月14日より始まった計画停電と、節電の一環として公共交通機関の運行本数が減らされ、街のネオンやライトアップ等も自粛、商店や飲食店では営業時間を短縮、ビジネス街でも業務終了の時間を早めたり、夜間に一定時刻を過ぎると強制消灯にするなど、経済活動そのものが制限される事態となった。計画停電は、2011年4月に一旦終了となる見込みではあるが、電力需要が高まる夏場や冬場に、大幅な供給不足に直面することは避けられない。企業や家庭などへの電力使用抑制措置による、経済活動へのマイナス・インパクトは、今後長期化する可能性が濃厚だ。
 本稿は、今回の大震災の経済的インパクトについて政府機関や民間シンクタンクなどの見解を確認した上で、震災後の中長期の経済見通しを提示し、企業の戦略的対応の検討に資することを目的とする。続く第2章では、地震による直接被害額やその後の復興事業費についての試算例を整理し、震災による経済的ダメージを評価する。第3章では、震災後1~2年程度の日本経済の短期見通しとして、主要な経済指標の推移予想とその質的特徴を整理する。第4章では、震災から3年後以降の中長期的な日本経済の見通しとして、四つのシナリオを提示する。第5章では、今後企業に必要とされる対応と、注目すべき新たなマーケティングの方向性について、若干の考察を加えている。
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