衝動買いが満足度を最大20%アップ!

書籍を月に1回以上購入した人は全体の3割ほどであった(図表1)。チャネル別の半年に1回以上利用の割合はリアル書店、ECとも4割前後となっている(図表2)。書籍購入場所の、リアル書店とECの組み合わせ状況をみると「リアル・EC併用者」、「リアル書店のみ」、「ECのみ」の各項目でそれぞれ約2割となっている(図表3)。「ECのみ」の比率がもっとも高いが、顕著な差はなく拮抗している。
次に書籍購入頻度が「月1回以上」と答えた人を属性別にみると、性別、世代別の差が大きかった(図表4)。男性が女性に比べて高く、世代では、若い世代の購入頻度が高い。リアル書店、EC別の利用頻度を属性別にみても性別、世代別で同様の傾向であった。

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月1回以上の書籍購入者からよく買われているジャンルは、「漫画、コミック」がもっとも多く、「新書、文庫」、「雑誌、漫画雑誌」が同率で2番目に多い(図表6)。直近の書籍購入の利用場所をみると、リアル書店とECで半々であった(図表7)。購入されたジャンルについて、「漫画、コミック」はECで購入された割合がリアル書店より10%以上高い。「新書、文庫」では利用場所によって大きな差がなく、「雑誌、漫画雑誌」ではリアル書店で購入されている割合が高い(図表11)。購入が増加した上位3ジャンルは「漫画、コミック」、「新書、文庫」、「雑誌、漫画雑誌」であった。
属性によるジャンル別購入割合は、性別世代別や職種別による差が大きかった(図表13)。「漫画、コミック」は男性清貧世代から男性団塊ジュニア世代までや、女性バブル後世代、営業職の購入割合が高い。「ビジネス・経済・投資、法律」は男性団塊ジュニア世代、管理職で購入割合が高い。同ジャンルはNISAへの関心や学習意欲が高い層の間でもよく購入されている。「くらし・料理」は女性断層世代で顕著に購入割合が高い。

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次にリアル書店とECの、書籍購入時における情報収集源や利用理由についてみていく。
書籍購入時の参考情報について、EC購入者がリアル書店購入者に比べてより高い割合で利用している項目は「SNS等デジタル媒体」、「ECサイトやアプリにおけるレコメンド」 、「知人、友人からのおすすめ」である(図表14) 。書籍の情報発信は約3人に1人が経験ありと答えており、「知人・友人へ本をすすめた」がもっとも割合が高い(図表15)。
チャネルごとの利用理由についてみると、リアル書店では、「中身の確認」、「品揃え」、「他どんな本があるか見て選びたい」が上位である(図表16)。ECでは、「品揃え」、「価格・ポイントメリット」、「書店に行く手間を省く」の割合が高い(図表17)。リアル書店では本選びの過程、ECでは購入の便利さが重視されている。
購入した本の事前決定度合に関しては、EC購入者の「買う本のタイトルまで決まっていた」割合が、リアル書店購入者に比べて20%以上高い。

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直近の書籍購入の満足度は「満足した」以上が過半数を占める(図表21)。利用場所によって購入満足度の違いをみると、大型書店とECで「非常に満足した」が4割となっている(図表24)。大型書店とECの購入満足度にはほとんど差がない。書籍購入における衝動買い率は4割で(図表25)、衝動買いの方が満足度が高くなる(図表26)。利用場所ごとに衝動買い率をみると、大型書店がもっとも高く、ECがもっとも低い。リアル書店の方が衝動買いが起こりやすいといえる。店内行動で衝動買い率を高める要因は、検索機の利用や店員にたずねるといった行動である(図表28,29)。このような衝動買いが大型書店で起こった場合、ECにおける衝動買いと比べ、より購入満足度を押し上げることができている(図表30)。
リアル書店の強みは、利用者の本探しの過程で、衝動買いを促し、満足した買い物をしてもらうことにありそうだ。偶発的な出会いや店内行動を通じた購買体験を提供することで、書店は今後も重要なチャネルであり続けると考えられる。

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* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
【1】拮抗するリアル書店とEC【2】属性で大きく異なる本の購入ジャンル
【3】リアル書店では本選びの過程、ECでは購入の便利さを重視
【4】書店での購入満足度は「衝動買い」で増加
* 業界クリップ (全6頁)
【1】消費者の動き 【消費指標の悪化が続く】【2】売れている食品・メニュー 【低価格のコスパ訴求の商品相次ぐ】
【3】東京市場 【都内に福岡発うどんチェーン進出続く】
【4】地産地消 【東村山市の「たまほくドレッシング」】
【5】食品企業の経営 【トランプ政権の関税政策への対応】
【6】製品開発 【ビールの新商品相次ぐ】
【7】価格政策 【今年は高水準の値上げの見通し】
【8】プロモーション 【万博で未来の食の展示】
【9】チャネル政策・チャネル動向 【ローソンのPB新ブランド】
【10】ヘッドラインクリップ 4月の動向
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調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2025年4月3日~4月4日
調査対象者:インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:965サンプル
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