2021年の国内キャッシュレス決済比率は32.5%と、2015年の18.2%から一貫して拡大している。しかし、中国の77.3%、カナダの62.0%などと比較するとまだ低い(経済産業省)。
今回は、当社が任意に選んだキャッシュレス決済30ブランドについて、「知っている(認知率)」、「3ヶ月以内に広告などを見た(広告接触)」「利用したことがある(経験率)」、「最近3ヶ月以内に利用した(3ヶ月以内利用)」「昨年に比べ利用が増加した(利用増加)」、さらに「今後(も)使いたい(今後意向)」と「利用経験者における今後の利用意向(再購入意向)」という7項目について、インターネットモニターに対して行った調査結果をランキング形式でお届けする。
今回の調査では、「PayPay」の強さが目立つ結果となった。前回(2021年10月版)は再利用意向で僅差で「楽天ペイ」に及ばなかったが、今回は全項目で首位を獲得した。広告接触や利用経験などでも2位以下に10ポイント以上の差をつけているが、特に注目したいのが利用増加と再利用意向だ。利用増加は、2位の「楽天ペイ」が7.7%なのに対して、「PayPay」は22.6%と唯一2桁となっている。再利用意向は、前回(2021年10月版)も84.4%と高かったが、今回は9割を超え、91.1%となった。一方、認知と利用経験はそれぞれ首位ではあるものの、58.9%と36.0%でまだ拡大の余地は残されている。高い再利用意向を考えると、認知や利用経験が高まることで、さらにユーザーが拡大することが予想される。
独走する「PayPay」を追う2位グループは激戦だ。「楽天ペイ」「楽天Edy」「Suica」「WAON」などが項目ごとに順位を入れ替えながら接戦を繰り広げている。
再利用意向をみると、首位の「PayPay」をはじめとして、2位の「楽天ペイ」が87.9%、3位の「d払い」が81.6%など、3位までが8割を超えている。5位から14位までは6割台で、上位の強さが目立つ。
「PayPay」は、サービス開始3年半で、登録者数が累計4,700万人超、加盟店数が全国366万ヶ所を突破。2021年度の決済取扱高は前年比1.7倍、決済回数は同1.8倍と高い伸びをみせている。政府は2025年までにキャッシュレス比率を40%程度にまで引き上げ、将来的には80%を目指すという。これには今後も「PayPay」が大きな役割を果たしていくのは間違いないとみられるが、さらにリードを広げていくのか、あるいはその他のブランドが迫るのか。拡大する市場での競争の行方が注目される。
- 注目ランキング
-
- 利用経験
- PayPay 36.0%
- WAON 21.8%
- Suica 18.9%
- 再利用意向
- PayPay 91.1%
- 楽天ペイ 87.9%
- d払い 81.6%
- 利用経験
詳細データのダウンロード
クロス集計表 サンプルイメージ調査概要
提示30ブランド
- 楽天Edy
- Kitaca
- Suica
- PASMO
- TOICA
- manaca
- ICOCA
- PiTaPa
- SUGOCA
- WAON
- nanaco
- ウェブマネー
- BitCash(ビットキャッシュ)
- iTunesカード
- GooglePlayカード
- デビットカード
- QUICPay(クイックペイ)
- PayPay
- 楽天ペイ
- LINEペイ
- 支払秘書
- d払い
- auPay
- ゆうちょPay
- FamiPay
- メルペイ
- ApplePay(アップルペイ)
- GooglePay(グーグルペイ)
- Alipay(アリペイ)
- iD
調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2022年10月27日(木)~10月28日(金)
調査対象者:当社インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,093サンプル
サンプル構成(%)
参照コンテンツ
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第124号 キャッシュレス化で促進されるセルフレジ利用
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第106号 QRコード決済、一過性のブームに終わるのか?
- JMRからの提案 キャッシュレス競争の勝者は?―プラットフォーム視点で分析(2019年)
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