半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年09月05日

営業現場の科学
第17回 提案発想の豊富化-提案営業検討マトリクスの活用
営業戦略チーム

 小売業のバイヤーのメーカー営業マンへの要望事項は実に多彩だ。食品や日用雑貨を例にとれば、常に「何か目新しいものを提案してくれ」と言っていた傍から「確実に売り上げの稼げる売れ筋を提案してくれ」といった具合だ。バイヤーの真のニーズを捉えた提案営業を行わないと振り回されて終わってしまう。バイヤーは、他店でやっている手垢のついた商品や売り方には面白みを感じず興味が持てないし、さりとて売り筋のNB商品を無視できない。バイヤーも混乱している。だからあなたが指針を示しリードするチャンスだ。

 今回は、H.Iアンゾフが提示した商品・市場マトリクスを応用した提案営業検討マトリクスを提案する。アンゾフは、既存市場、新規市場と既存商品、新規商品のマトリクスから企業の成長戦略を4つの領域に区分して検討するフレームを提示した。今回提示する提案営業検討マトリクスは、売り手と買い手の情報力でマトリクスを組むものである。改めてマトリクス化することにより、提案発想の切り口を生み出そうというものである。食品スーパーを例にみてみよう。


図表.提案営業検討マトリクス


(1)Aゾーン :相互に既知の状況

 鮮魚や野菜などの旬の商材が店頭に出てくる時期は我々にとってもバイヤーにとっても、さらには来店客にとっても既知の情報である。旬の商材を店頭に並べる。ごく当たり前の話だが、このことは軽視できない。来店客の日常性の高い買い物がストアにとってはボリュームを生み出す重点商品なのである。当たり前の商材を当たり前の時期に集中して売り切る。あなたは、特別な販促ツール(販促コスト)を投入せずに店頭でどう売れる状態を作るかを検討して提案すべきだ。つぎに記す生活歳事にのみ目を向けた提案営業は、非日常的な買い物を来店客に提示する売場提案になりかねない。

(2)Bゾーン :メーカー営業マンが情報優位

 商品特性、関連商品との組み合わせ、使い方などあなたの方が情報優位にある場合である。このゾーンでの営業は、提案するストアの来店客に目新しさを提案するという視点で発想する。売場の演出に関して、生活歳事やストアの課題を勘案して的確に提案する。

(3)Cゾーン :バイヤー側が情報優位

 あまり深入りしないように付き合う領域。逆にバイヤーの考え方を引き出すための話題に活用する。

(4)Dゾーン :相互に未知

 コラボレート提案を要する。こちらは育成したい商品をコラボレートできるように進めていく。本社スタッフ(商品開発の担当者など)も巻き込みながら相互の重点目標を設定して取り組み型の営業を進める。



おすすめ新着記事

消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い

調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。

消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

2024.12.03

24年10月の「新設住宅着工戸数」は6ヶ月連続のマイナス

2024.12.02

企業活動分析 イオン株式会社 24年2月は、営業収益・営業利益ともに過去最高を更新し増収増益

2024.12.02

企業活動分析 宝ホールディングス株式会社 24年3月期は、バイオ事業不調により減収減益

2024.12.02

企業活動分析 TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)  23年12月期は減収減益、事業構造の転換へ

2024.11.29

月例消費レポート 2024年11月号 消費は一旦足踏み状態となっている-政策転換を消費回復への新たな起爆剤に

2024.11.29

24年10月の「ファミリーレストラン売上高」は32ヶ月連続プラス

2024.11.29

24年10月の「ファーストフード売上高」は44ヶ月連続のプラスに

2024.11.28

消費者調査データ No.417 シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い

2024.11.28

消費からみた景気指標 24年9月は6項目が改善

2024.11.27

24年9月の「全国百貨店売上高」は32ヶ月ぶりのマイナス、残暑で季節商品が苦戦

2024.11.27

24年9月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月連続のプラスに

2024.11.27

24年10月の「コンビニエンスストア売上高」は11ヶ月連続のプラスに

2024.11.26

24年9月の「広告売上高」は、5ヶ月連続のプラス

2024.11.25

企業活動分析 LIXILの24年3月期は海外の需要減の影響で減益へ

2024.11.25

企業活動分析 東京ガスの24年3月期は大幅な減収減益

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.10.24

MNEXT 日本を揺るがす「雪崩現象」―「岩盤保守」の正体

5位 2024.11.22

MNEXT 世を騒がす「雪崩」現象の正体―兵庫県知事選の分析

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area