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消費経済レビュー Vol.11
Economic Outlook for Japan

 外需に支えられて成長してきた日本経済は、世界的な不況のあおりを受けた外需の減少により2007年後半に入って成長率が鈍化し、2008年第4四半期にはGDPは大幅なマイナスを記録した。
 設備投資の動向を見ると、2008年第4四半期はマイナスになり、産業別の設備投資をみても、製造業のみならず非製造業でもマイナスになっている。また、設備投資計画をみても、2009年度には多くの産業で2008年度より下回る見込みである。
 在庫循環については、すべての財において在庫調整局面に突入し、急激な調整を企業側が行っていることがわかる。
 雇用・所得環境については、雇用は伸び率が横ばいである。ただ、所得の伸びは、現金給与総額、超過給与支払額ともに全体としてはマイナスに転じており、企業の業績悪化は収入の減少へと影響がみられる。
 消費動向については、消費支出金額をみると実質では減少がみられ、消費マインドは大幅に悪化している。
 2009年度の日本経済に関するシンクタンク各社の想定シナリオを総合すると、消費にかげりがみえ、外需や投資についても鈍化するというのが主流である。こうした中、数少ない好材料としては、企業側の在庫調整が早く進み、その分回復も早いのではという期待が一部であることであろう。

 弊社の独自調査によれば、景気の現状認識と見通し、並びに、雇用環境の変化認識と見通しは、いずれも悪化の方向への動きが認められる。収入の状況についても、実態面、見通しともに、悪化の傾向が認められる。足もとの支出実態については、物価上昇の影響で日常的支出の支出金額が増加しているとするひとが多いものの、増加層は減少している。支出意向についても若干悪化の傾向がある。また、総合的には収入の悪化により支出を減少させており、今後も収入見通しの悪化や雇用不安などを通じた予備的貯蓄動機から支出を減少させる可能性がある。このようなマインドの悪化が、支出の実態の悪化にどこまで作用するかに注目する必要がある。

 以上の議論より、2009年度の日本経済の先行きを占うと、個人消費については現状よりもさらに悪化する傾向がみられ、輸出は、米国のみならず、中国をはじめとした諸外国との取引も当分は不透明であり、全体としては、当面は悪化するというのが基本的な想定である。さらに、景気見通しや雇用環境の見通しといったマインドの悪化が、消費に更なるブレーキとなる可能性も高い。また、設備投資は全体的に失速傾向が鮮明化しており、すでに在庫調整局面に入っていることもあり、企業側の業績の改善にはまだ時間を要すると思われる。
 弊社の総合的な判断は、「雇用・生産調整進行不況本格化シナリオ」を採用したい。次善のシナリオとしては「消費低迷雇用調整進行シナリオ」と「消費スランプシナリオ」のふたつを挙げておきたい。
 海外経済の動向で悪化がみられるとともに、これまでの高成長を支えてきた設備投資が減少する中で、最後に残った消費は昨年までは大幅な減少は回避してきた。しかし、公表された統計並びに弊社モニター調査によると、消費者のマインドや消費の実態にまで波及が徐々に広がっており、今後も低迷する可能性が高まっている。
(2009.04)


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