ポーターの基本戦略とは、企業が属する業界の中でどういうポジションをとって、どう戦っていくのかという競争地位を選択することであり、競争の幅と競争優位の選択によって決定されます。具体的には、コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略の三つがあります。
競争上のポジショニングは、基本的にはふたつしかありません。他社よりもローコスト地位をとるか、それともデザインや品質といった差別的な優位性を持つか、ということです。これをお客様の立場からみると、より安くものを提供するか、それともより差別的な価値を提供するか、このふたつです。いずれかを提供するのに、競争相手よりもターゲットを広く取るかあるいは狭く取るか、つまり競争の幅をどうとるかを考えます。このふたつの次元が競争地位を規定しているという考え方です。
そうすると基本的には三つ、細分化すると四つの戦略が出てきます。ひとつはコストリーダーシップ戦略、それから差別化戦略、三つめがコスト集中戦略、さいごに差別化集中戦略。最後のふたつの戦略をひとつにまとめると集中戦略になります。
コストリーダーシップ戦略とは、他の競争業者よりも低価格で商品やサービスを提供する戦略のことです。これにより、新規参入業者に対しては低コストという参入障壁、競争業者に対しては平均以上の収益を生むことができるなど競争要因から身を守ることが出来ます。ただし、この戦略の実現のためには技術力で他に勝ることや、市場で大きなシェアを獲得することなど多くの困難を乗り越えなくてはいけません。
差別化戦略とは、自社の商品やサービスを業界内で独自のポジションにおく戦略のことです。これは自社のブランドが顧客に支持されるという意味も持ちます。この戦略により、競争業者との競争を回避することも出来るほか、高マージンを得ることで供給業者への交渉力も身につけることが出来ます。
集中戦略とは、上記の差別化戦略、もしくはコストリーダーシップ戦略をあるセグメントに対してのみ経営資源を集中させる戦略のことです。ただし、集中は市場を絞り込むことでもあるので、絞り込んでも収益が得られるセグメントかどうかということに注意しなくてはいけません。
以上、ポーターはこれらの戦略のいずれかに企業は集中し、一貫性を保つことが必要であると説いています。またコストリーダーシップ戦略を保つための技術力に関わる設備投資など、それぞれの戦略に伴うリスクも十分に認識する必要があるとしています。
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