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(2012.07)
月例消費レポート 2012年7月号
小売の指標が悪化。再びの円高・株安により、消費の伸びが鈍化
菅野 守

1.はじめに
 夏も本番を迎える中で、政府・日銀等では景気は堅調との見方を堅持しているが、マーケットや販売現場からは、景気や消費の伸び悩みや不振の可能性をうかがわせる動きも一部で出始めているようだ。
 2012年7月23日に内閣府より公表された「月例経済報告(平成24年7月)」によると、景気の現状について、2012年7月は2012年6月と同様、「景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。」とし、基調判断は2012年4月以降据え置きとなった。先行きについても、2012年7月は2012年6月と同様、「復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される。」としており、判断は2012年4月以降据え置かれている。景気の下押しリスクをもたらす要因について、2012年6月では「欧州政府債務危機を巡る不確実性が高まっており、こうしたこと等を背景とした金融資本市場の変動や海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。」としていたが、2012年7月には「欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高いなかで、世界景気に減速感が広がっている。こうした海外経済の状況が、金融資本市場を通じた影響も含め、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。」とし、欧州債務危機等を背景とした金融資本市場の変動に加え、海外経済の減速自体も国内景気の下押しリスク要因として新たに強調する方向へと、踏み込んだ修正がなされている。他方で、「電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である。」との表現は、前月同様踏襲されている。
 個別項目を見ると、業況判断は、2012年6月の「大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。」から2012年7月には「大企業を中心に小幅改善となっている。」とし、上方修正含みの判断が示されている。個人消費や設備投資、輸出など、その他の項目については、判断は据え置きとなっている。
 海外経済の現状については、2012年7月は2012年6月と同様、「世界の景気は、全体として減速感が広がっており、弱い回復となっている。」とし、判断は据え置きとなった。
 先行きについても、前月と同様、「弱い回復が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置かれている。海外経済の先行きに対するリスク要因として、2012年7月には2012年6月から一部文言が修正され、「ただし、ヨーロッパ地域の一部の国々における財政の先行きに対する根強い不安を背景とした金融面への影響等により、景気が下振れするリスクがある。」としており、「根強い」不安との表現により、欧州債務危機に対する警戒姿勢を強くにじませた格好となっている。
 地域別にみると、アメリカに関しては、景気の現状について、2012年7月は前月と同様、「このところ一部に弱めの動きもみられるが、景気は緩やかに回復している。」とし、判断は据え置きとなった。先行きについても前月と同様、「緩やかな回復傾向が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置かれている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、「ただし、雇用環境の改善の遅れや住宅価格の下落等により、景気が下振れするリスクがある。また、財政緊縮の影響に留意する必要がある。」としており、前月の判断を踏襲している。中国に関しては、景気の現状について、2012年6月の「内需が伸び悩む中で、景気の拡大テンポは緩やかになっている。」から、2012年7月には「景気の拡大テンポがやや鈍化しているものの、一部に安定化の兆しもみられる。」とし、3ヶ月連続で判断は下方修正された。先行きについては、2012年7月には2012年6月から一部文言が削除され、「各種政策効果もあり、緩やかな拡大傾向となることが見込まれる。」としているが、判断はほぼ据え置きとなっている。景気の下押しリスクをもたらす要因については、2012年7月には2012年6月から「物価」が削除され、「ただし、輸出や不動産価格の動向に留意する必要がある。」としている。インドに関しては、景気の現状について、2012年7月は前月と同様、「景気の拡大テンポは弱まっている。」とし、判断は据え置きとなった。先行きについても前月と同様、「当面、低めの成長となることが見込まれる。」としており、判断は据え置かれている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、前月同様、「物価上昇によるリスクに留意する必要がある。」としている。その他アジア地域に関しては、2012年7月は前月と同様、「景気は一部に持ち直しの動きもみられるが、足踏み状態となっている。先行きについては、当面、足踏み状態が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置きとなっている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、前月同様、「また、輸出の動向に留意する必要がある。」としている。ヨーロッパ地域に関しては、現状について、2012年7月は前月と同様、「景気は足踏み状態にあり、一部に弱い動きもみられる。ドイツではこのところ持ち直しの動きがみられる。」とし、判断を据え置いている。先行きについても前月と同様、「弱い動きとなることが懸念される。」とし、判断は据え置かれている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、2012年7月には前月から一部文言が修正され、「EU首脳会議等で取組が行われているものの、一部の国々における財政の先行きに対する根強い不安を背景とした金融面への影響により、景気が低迷するリスクがある。さらに、各国の財政緊縮による影響や、高い失業率が継続すること等に留意する必要がある。」としており、特に、「根強い」不安との文言には、スペインをはじめとする今後の欧州債務危機の動静への警戒感が示唆されている。
 2012年7月の報告内容を見ると、基調判断は据え置いたものの、海外経済の見通しに関し下方修正含みの表現が散見される内容となっている。報告提出後の記者会見の場で古川元久経済財政担当相からは「中国や米国の減速感に加え、夏のボーナスの動向も含めて景気には十分に注意したい」とのコメントが出され、景気への広い目配りがアピールされてはいるものの、内閣府としては現状、海外景気の悪化・減速による日本経済への下振れリスクに対しては明確な警戒姿勢を示しているのに対し、内需の動向に関しては基本的に堅調との見方を崩してはいない。だが他方で、マーケットでは「円高」「株安」「原油高」「超低金利」の状況が再復活しつつあることに加え、2012年夏のボーナスが官民ともに低下したこともあり今夏のボーナス商戦は冴えないとの話も販売現場からは漏れ聞こえる。内需の堅調との見方にも、若干慎重な検討が必要な段階に来ている可能性はあろう。

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