半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2011.04)
月例消費レポート 2011年4月号
東日本大震災で国内経済混乱。円安・株安・債券安の「トリプル安」
菅野 守

1.はじめに
 2011年3月11日に発生した東日本大震災が、景気と消費を巡るこれまでのシナリオを完全に狂わせてしまった。
 2011年3月23日公表の2011年3月の月例経済報告によると、景気の現状については、前月2月の「持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある」から、3月は「持ち直しに転じているが、自律性は弱く、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。」へと、基調判断は据え置いたものの下方修正含みの文言が出された。先行きについても、前月の「海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。」から、3月は「海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されるが、東北地方太平洋沖地震の影響に十分留意する必要がある。」へと、下方修正含みの判断が示されている。現状判断と先行きともに、今回の大震災がもたらす景気へのダウンサイドリスクに対し、強い警戒感をにじませた内容だ。景気の下押しリスクをもたらす要因については、「金融資本市場の変動や原油価格上昇の影響、海外景気の動向等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。」とし、「金融資本市場の変動」や「原油価格上昇の影響」といった市況の波乱の方にやや重点を置いた文言となっている。
 個別項目を見ると、輸入は、前月の「横ばいとなっている。」から2011年3月には「持ち直しの動きがみられる。」へと上方修正された。他方で、生産は、前月の「持ち直しの動きがみられる。」から2011年3月には「持ち直したものの、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。」へと、下方修正含みの判断へと変更されている。国内企業物価は、前月の「このところ緩やかに上昇している。」から2011年3月には「上昇している。」へと下方修正されている。個人消費は前月と同様、「このところおおむね横ばいとなっている。」とし据え置きとなったが、大震災の影響を見極めるため事実上判断を見送った格好だ。
 海外経済の現状については前月同様、「世界経済は、全体として回復している。」とし、判断を据え置いている。先行きについても、前月同様「回復が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置きとなった。海外経済の先行きに対するリスク要因として、前月と同様、「欧米の景気が下振れするリスクがある。」との文言が盛り込まれている。また、前月の「一次産品価格の上昇による影響に留意する必要がある。」から新たに文言が加えられ、3月は「原油価格の高騰をはじめとする一次産品価格の上昇を背景に、急速に景気が冷え込むリスクに留意する必要がある。」とし、商品市況高騰による景気へのマイナスインパクトに対し強い警戒姿勢を示している。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員のご案内についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。
 

本論文に関連する統計データ

新着記事

2025.05.22

25年3月の「商業動態統計調査」は12ヶ月連続のプラス

2025.05.21

25年3月の「消費支出」はふたたびプラスに

2025.05.21

25年3月の「家計収入」は3ヶ月連続のマイナス

2025.05.20

25年3月の「現金給与総額」は39ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.05.19

企業活動分析 サントリーHD 24年12月期は主力の「飲料・食品」好調で4期連続の増収増益

 

2025.05.16

消費者調査データ No.425 エナジードリンク 首位は「モンスターエナジー」、再購入意向は「モンエナ」ファミリー勢ぞろい

2025.05.15

25年3月は「完全失業率」は悪化、「有効求人倍率」は改善

2025.05.14

自分で火をつけ自ら消火して英雄に - トランプ関税の顛末

 

2025.05.14

25年3月の「新設住宅着工戸数」は2ヶ月連続のプラスに

2025.05.13

25年4月の「乗用車販売台数」は4ヶ月連続のプラス

2025.05.12

企業活動分析 キリンHDの24年12月期は、増収もFANCL子会社化など積極投資で減益に

2025.05.09

トランプ関税を裏づける「購買による征服」の理論 - 安全保障の論理

2025.05.09

月例消費レポート 2025年4月号 消費は堅調に推移している - 波乱要因への政治的対応の巧拙が日本の消費の行方を左右

2025.05.09

消費からみた景気指標 25年2月は5項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2025.05.09

トランプ関税を裏づける「購買による征服」の理論 - 安全保障の論理

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area