2000年代以降、消費者の価値観は大きく変化してきた。当社の長期トレンド分析によれば、平凡でも充実した生活を良しとする中流志向、いわゆる「平凡充実」スタイルの構成比は、2005年の46.8%をピークに減少を続け、2025年には40.4%、2035年には37.4%まで低下する見込みである。一方、「品格上質」「先進感覚」「質素悠々」といったスタイルの合計構成比は、2018年頃から「平凡充実」を上回り、2030年には過半数に達する勢いである。消費社会の重心は、こうした価値観の変化とともに確実に移り始めている。
従来、消費者の多数派を占めていたのは、「まじめ、安定志向、日常の充実」といった価値観に代表される「平凡充実」層である。彼らは物的な豊かさや生活の安定のなかに、控えめながらも自己実現の手がかりを見出そうとする集団である。
一方で、「品格上質」「先進感覚」「質素悠々」といったスタイルに属する層は、自己実現を全面的に開花させた集団であり、自分らしさや独自性、世界観といったアイデンティティの実現を中心に価値を置く。つまり、消費における動機は「所有」や「安定」から、「私はこうありたい」「私はこう見られたい」という意識へと、確実に転換しつつある。
こうした潮流は、個人の価値観や志向が重視される時代への移行を裏づけており、顧客の新旧交代が水面下で進行している。
この価値観の変化は、商品選好やブランド戦略、さらにはチャネル選択にまで波及しており、企業にとっては旧来の平均的ニーズを満たす戦略だけでは通用しない時代となっている。今後求められるのは、これまでの年齢や性別といった基本属性によるターゲティングではなく、こうした価値スタイルに響く提案力と、価値観の分化に対応する柔軟性である。消費者はすでに変わりつつあり、それに気づかない企業こそが時代遅れになっていく。
※自己実現層とは、「品格上質」「先進感覚」「質素悠々」のことを指す。
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長く停滞していた日本の消費が、いま再び経済成長の牽引役として動き始めている。ようやく日本の消費は、「もはやバブル後ではない」と言える新たな局面に入った。
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