半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:1900年07月04日

長期時系列データ - 価値観
中流の輪郭があいまいになる時代 - アイデンティティの追求


 2000年代以降、消費者の価値観は大きく変化してきた。当社の長期トレンド分析によれば、平凡でも充実した生活を良しとする中流志向、いわゆる「平凡充実」スタイルの構成比は、2005年の46.8%をピークに減少を続け、2025年には40.4%、2035年には37.4%まで低下する見込みである。一方、「品格上質」「先進感覚」「質素悠々」といったスタイルの合計構成比は、2018年頃から「平凡充実」を上回り、2030年には過半数に達する勢いである。消費社会の重心は、こうした価値観の変化とともに確実に移り始めている。

 従来、消費者の多数派を占めていたのは、「まじめ、安定志向、日常の充実」といった価値観に代表される「平凡充実」層である。彼らは物的な豊かさや生活の安定のなかに、控えめながらも自己実現の手がかりを見出そうとする集団である。

 一方で、「品格上質」「先進感覚」「質素悠々」といったスタイルに属する層は、自己実現を全面的に開花させた集団であり、自分らしさや独自性、世界観といったアイデンティティの実現を中心に価値を置く。つまり、消費における動機は「所有」や「安定」から、「私はこうありたい」「私はこう見られたい」という意識へと、確実に転換しつつある。

 こうした潮流は、個人の価値観や志向が重視される時代への移行を裏づけており、顧客の新旧交代が水面下で進行している。

 この価値観の変化は、商品選好やブランド戦略、さらにはチャネル選択にまで波及しており、企業にとっては旧来の平均的ニーズを満たす戦略だけでは通用しない時代となっている。今後求められるのは、これまでの年齢や性別といった基本属性によるターゲティングではなく、こうした価値スタイルに響く提案力と、価値観の分化に対応する柔軟性である。消費者はすでに変わりつつあり、それに気づかない企業こそが時代遅れになっていく。


図表 衰退する中流、自己実現層の大勢化

※自己実現層とは、「品格上質」「先進感覚」「質素悠々」のことを指す。



「消費社会白書2026」のご案内

消費社会白書2026 地殻変動する日本の消費地図【電子書籍】
書籍イメージ

長く停滞していた日本の消費が、いま再び経済成長の牽引役として動き始めている。ようやく日本の消費は、「もはやバブル後ではない」と言える新たな局面に入った。




おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2026.10.16

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 定着するワイヤレスイヤホン こだわり層に支えられる装着型オーディオ機器

2026.10.15

26年8月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2026.10.14

26年8月は「家計収入」、「可処分所得」とも2ヶ月連続のマイナスに

2026.10.13

26年8月の「現金給与総額」は56ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」は2ヶ月連続のプラス

2026.10.09

26年8月は「有効求人倍率」は横ばい、「完全失業率」は悪化

2026.10.08

26年9月の「乗用車販売台数」は6ヶ月連続のプラス

2026.10.07

住宅高騰が分ける住まいと家電の価値化

2026.10.06

26年8月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のプラスに

2026.10.05

月例消費レポート 2026年9月号 消費は持ち直しの動きがみられる - 今こそ求められる消費喚起策のスピードと精度の高さ

2026.10.02

26年8月の「ファミリーレストラン売上高」は54ヶ月連続プラス

2026.10.02

26年8月の「ファーストフード売上高」は66ヶ月連続のプラスに

2026.10.01

26年8月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月連続のプラスに

2026.10.01

26年8月の「チェーンストア売上高」は2ヶ月連続のプラスに

2026.10.01

26年8月の「全国百貨店売上高」は8ヶ月連続のプラスに

2026.09.30

切れた消費回路、束ねるブランド接点

2026.09.30

「人類滅亡説」はAI生き残り戦略 - 米中巨大赤字チキンレースと日本逆転への布石(後編)

2026.09.29

26年7月の「旅行業者取扱高」は3ヶ月ぶりのプラスに

2026.09.28

企業活動分析 アップルの25年9月期は、サービス事業過去最高で増収増益に

2026.09.25

26年8月の「景気の先行き判断」は6ヶ月連続の50ポイント割れに

2026.09.25

26年8月の「景気の現状判断」は29ヶ月連続で50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2026.10.01

「消費社会白書2027」調査結果 動画配信のご案内

2位 2026.09.18

「人類滅亡説」はAI生き残り戦略 - 米中巨大赤字チキンレースと日本逆転への布石(前編)

3位 2026.09.30

「人類滅亡説」はAI生き残り戦略 - 米中巨大赤字チキンレースと日本逆転への布石(後編)

4位 2026.09.30

切れた消費回路、束ねるブランド接点

5位 2026.10.07

住宅高騰が分ける住まいと家電の価値化

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area