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消費経済レビュー Vol.24
Economic Outlook for Japan
-増税後の反動減を乗り越える消費

 実質GDPは6四半期連続のプラス成長となり、消費税増税前の駆け込み需要も前回の1997年1-3月期を上回る規模となった。需要の三本柱は堅調な推移をみせており、良好な経済状態で今回の消費税増税を迎えられている。在庫循環は、生産拡大による再成長の局面が着実に進展している。増税後の反動減も短期かつ軽微なものにとどまれば、景気の再復調とともに、生産拡大・在庫積み増しの動きが更に進むと予想される。
 消費支出は実質ベースでマイナスが続いているが、商業販売は回復傾向にある。両者はともに増税前の駆け込み需要と増税後の反動減の影響を被っているが、直近での反動減の大きさはいずれも、駆け込みの大きさに比べ軽微なものにとどまっている。他方で、雇用環境と収入環境は増税後も堅調に推移し、消費マインドにもようやく下げ止まりの動きがみられるなど、消費にとって追い風となる材料が徐々に出そろいつつある。
 日本経済に関するシンクタンク各機関のシナリオを総合すると、2014年度は、消費の不振は続くが、外需と投資の堅調な推移に支えられて景気の回復は続くとみるのが最有力だ。2015年度は、消費は消費税増税のスランプから立ち直るものの、外需と投資は低迷・不振に転じ、景気回復の動きは鈍化するとの見方が最有力である。
 弊社の独自調査によると、景気と雇用環境の見通しは改善の動きが再び足踏み状態となっている。他方、収入状況と収入見通しのいずれも、方向感は定まっていない。支出状況は実態面と意向面ともに現状維持が大勢だが、一部では前向きな動きも出てきている。
 2014年の日本経済の先行きを占うと、確定要因として、消費税増税の影響は軽微かつ短期的なものに収まる。第2回目の増税の判断は、2014年12月には定まる。増税に伴う景気低迷に対し日銀も更なる緩和の余地を残している。6月に公表された「新たな成長戦略」は想定内の内容にとどまり、特段材料視はされない。在庫調整と生産調整は進展し、在庫積み増し局面を着実に進行していく。物価上昇率はインフレ目標の+2%には届かず、低インフレ状況が続く。輸出は海外景気のもたつきにより弱含みで推移する。不確定要因である「設備投資」「雇用・収入環境」「個人消費」について弊社の見解を示すと、設備投資は、輸出の弱含み状況と成長戦略等の材料不足から、回復の勢いは鈍化しそうだ。雇用環境は、内需関連業種を中心に改善の動きが持続する。内需関連産業主導での景気の再復調を受けて、企業業績の回復も続き、収入環境改善の動きも残業代等やボーナスから基本給へと広がっていく。消費税増税後の反動減の影響は一部の大型耐久財(特に住宅)では長引くが、日常生活財では短期で終息する。消費税増税のマイナス・インパクトは軽微にとどまり、2014年後半には、景気の再復調とともに消費も本格回復軌道へと復帰していくと目される。
 日本経済の先行きに対する弊社の総合的な判断は、設備投資は鈍化・低迷するも、雇用・収入環境の良好さを背景に個人消費は堅調な推移をみせていく「消費堅調・投資低迷シナリオ」を採用したい。次善のシナリオとしては、雇用・収入環境の良好さを背景に、設備投資も個人消費も堅調な推移をみせていく「内需拡大・景気本格回復シナリオ」と、雇用・収入環境は堅調だが、設備投資は鈍化・低迷し、消費税増税の悪影響を引きずり個人消費の低迷も続く「内需低迷景気踊り場シナリオ」のふたつを挙げておきたい。


(2014.07)


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