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消費社会白書2006より
価値観の三カ国比較
個人主義のあり方の変化-すすむ「私化」
消費研究チーム
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 個人主義に着目すると、三カ国にはどのような特徴があるだろうか(注1)
 三カ国の社会に対する個人の態度をみてみた。日本は権力への遠心性が強い「自立化」と「私化」が多い。米国は権力への遠心性が強く、独自のネットワークを形成し互いにコミュニケーションをとろうとする「自立化」が圧倒的に多い。中国は求心的・結社形成的な志向を持ち、自発的な集団を形成する傾向が高い「民主化」が多いという特徴がみられる。
 次に、この数年間でどのように変化したかを、01年のデータとの比較でみてみる。日本は「自立化」が減少し「私化」が増えており、ネットワーク志向が低下していることがわかる。米国は「民主化」が減り、「私化」が増えていることから、権力の求心性やネットワーク志向ともに低い層が増加している。中国も米国と同様であり、「民主化」が減少し「私化」が増加している。
 三カ国の個人主義の構成は各国によって異なっているが、ここ数年間で三カ国に共通して個人の私的欲求を志向する「私化」が増加している。

図表 社会に対する個人の態度とその変化


(注1)
丸山眞男の個人析出パターンの類型は、「自立化」「民主化」「私化」「原子化」の四つである(定義は下の図表を参照)。個人析出とは、伝統社会に埋もれていた無意識から、外的衝撃によって個人意識が浮上し確立することと解釈できる。この丸山モデルの再解釈は松田(2003)を参照。

参考)松田久一 (2003)『消費社会の戦略的マーケティング』株式会社JMR生活総合研究所
   丸山眞男(1995)『丸山眞男集第5巻』岩波書店
(2006.03)

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