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消費経済レビュー Vol.21
アベノミクス下での消費の行方 -動き出す潜在購買力

 政権交代を機に、大幅な円安・株高へと反転し、長期金利は乱高下をみせるなど、3ヶ月余りの間にマーケットの様相は大きく激変した。為替市場や株式市場を中心に、気の早いマーケットは、「アベノミクス」の効果を先取りするかのような動きをみせている。マーケットと同様、消費者のマインドも大きく様変わりしており、持続する安倍内閣への強い支持とマインド改善の動きを後押しに、安倍内閣が推し進める経済政策、すなわち「アベノミクス」に対する消費者の期待感も高まりをみせている。
 しかしながら、政権交代以降における消費者の支出意欲の変化をみると、暮らし向き見通しと支出意欲は現状維持が多数派を占めており、ともに捗々しい改善がみられないままである。アベノミクスがもたらすと考えられる支出意欲へのプラスの効果とマイナスの効果のそれぞれについて、主だった要因に着目すると、プラスの効果のうち、経済見通しは顕著な改善をみせており、収入見通しにも改善の気配が見られるが、資産見通しには改善への動きに一服感がみられる。マイナスの効果のうち、財政と年金のいずれも、将来的に破綻する可能性への懸念は足許で和らいではいるが、アベノミクスの下で加速した円安などを引き金に、物価上昇見通しは急速に台頭している。アベノミクスがもたらす諸効果を総合すると、物価上昇見通しの急速な台頭がもたらすマイナス・インパクトが、景気や企業・事業業績、収入見通しなどでの先行き見通し改善のプラス・インパクトを打ち消す形となり、双方のインパクトが交錯し拮抗しているのが現状だ。
 そこで、今後の消費の行方を左右する要因として、現状の支出規模並びに支出につながる潜在購買力としての金融資産規模に着目すると、世帯支出並びに個別支出項目のいずれでみても、ミドル層とシニア層のシェアは人数規模でのそれを大きく上回り、圧倒的存在感を示している。金融資産規模では、ミドル層とシニア層のシェアは人数規模でのそれを遥かに大きく上回り、支出規模でみたとき以上に、ミドル層とシニア層の存在感は段違いのものとなっている。有望なターゲットとして、ミドルとシニアの富裕層の存在感の大きさが際立ってくる。特に、サービス関連カテゴリーでの彼らの支出意欲の旺盛ぶりは、実態と意向の両面で顕著なものがある。加えて、ミドルとシニアの富裕層では、財選択に関し品質重視志向が色濃く認められ、自身の大きな潜在購買力を背景に、高品質で高価格な商品の許容余地も高いと目される。
 ミドルとシニアの富裕層によって今後、レジャー・サービス支出へのシフトや財選択でのトレーディングアップなどの動きが推し進められていく中で、販売現場でも回復の手ごたえを実感できるようになり、消費回復の裾野も徐々に広がっていくこととなれば、消費は期待先行から本格回復へと局面転換していく足がかりを得ることにもなろう。
(2013.06)


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