図表1.メガネ市場の規模の推移 |
かつて国内で販売されていたメガネは視力矯正用の医療器具であり、フレームとレンズをそれぞれ購入すると合計で4~5万円にもなる高級必需品であった。個人経営のメガネの路面店には、店内には高額なフレームが並び、購入客には高額なレンズが提案されていた。
1980年頃になると、メガネスーパーをはじめとするメガネチェーン店が存在感を高め始める。メーカーからの製品の大量調達により仕入れ価格を抑え、全国に展開した店舗でリーズナブルな価格でメガネを販売し、それが消費者からは受け入れられたのだ。メガネチェーン店の隆盛は2000年代まで続いた。三城ホールディングスを頂点にメガネスーパー、メガネトップ、愛眼、ビジョンメガネの大手5社が業界内の優位を保ってきた。
90年代後半から市場縮小するメガネ業界において躍進を遂げたのが、"SPA御三家"と呼ばれる3社の格安メガネ販売店であった。格安メガネの販売店による、メガネ業界の地殻変動は2000年代初頭のZoffの誕生から始まった。"Zoff"は、海外からの商品導入により、レンズ+フレームの一式を5,250円、7,350円、9,450円のスリープライスで販売し始めたのだ。Zoffの誕生とほぼ同時期に"JINS"が5,250円、8,400円の低価格で販売し、"OWNDAYS"がレンズとフレームを4,780円のセット価格で売り始め、それらの安価でファッション性の高いメガネが若者を中心に消費者から受け入れられたことで"SPA御三家"の低価格メガネが業界を席巻し始めたのだ。
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