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HOME > 企業戦略事例集 > 戦略ケース > 戦略ケース(2008年) > PSP 08年上半期1位獲得【一般公開中】

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PSP 08年上半期1位獲得
任天堂を凌ぎ、初の第1位
 携帯型ゲーム機市場では、これまで任天堂のニンテンドーDSライトが販売台数で首位を走っていた。しかし、2008年上半期にソニー・コンピュタエンタテイメント(以下、SCE)の携帯型ゲーム機、プレイステーションポータブル(以下、PSP)が約196万台を販売し、ニンテンドーDSライトの約159万台を抑えて半期ベースで初めての第1位を獲得した。また、据え置き型の任天堂Wiiの2008年上半期販売台数約172万台も凌ぎ、全てのゲーム機の中で第1位となっている。
 PSPの販売台数は前年同期比で約2倍近い。これには、株式会社カプコンの「モンスターハンターポータブル 2nd G」というPSP用アクションゲームが230万本を売り上げる大ヒットとなったことが貢献している。巨大な武器を使いモンスターを倒して、設定されている目標をクリアしていくという内容で、一人で遊べるだけでなく、PSP装備の無線通信機能を利用して同時に四人までが一緒にプレイ出来る点が特徴である。同ソフトが販売された2008年3月以降に、PSP本体が急速に販売台数を伸ばしていることから、優良なソフトを囲い込めるかでハードの販売が左右されることが改めて確認された形になっている。ニンテンドーDSがこれまで市場をリードし、国内販売で2,000万台を超える原動力になったのも「脳トレ」ソフトのヒットがあったからである。

昨日の友も、明日は敵か
 しかし、上半期で首位に立ったPSPも盤石とは言えそうもない。PSP用のソフトでは初めて200万本を越えるヒットとなったモンスターハンターシリーズを販売するカプコンでは、次回作となる「モンスターハンター3(トライ)」を任天堂Wii向けに販売することを発表している。元々はプレイステーション3(PS3)向けに開発を進めてきたものと言われているが、供給するゲーム機が変更される形となった。
このモンスターハンター3の発売時期は未だ決定されていないが、ゲームソフトの開発では、据え置き型ゲーム機用のソフトが携帯型ゲーム機のソフトに移植されて発売されることが多い。このことを考えると、Wiiの次には任天堂の携帯型ゲーム機にモンスターハンター3が投入される可能性も否定できない。
カプコンの動きは、SCE向けモンスターハンターシリーズが大ヒットし、SCEユーザー市場を獲得しており、次の開拓市場として任天堂ユーザーに照準を合わせたと捉えられる。モンスターハンターシリーズというキラーソフトの力が、これまでのSCEサイドから一転して任天堂サイドに貢献することも十分予想される。

どのように迎え討つか
ソニーの2007年度連結決算でのゲーム事業は、売上高1兆2,842億円(前年比+26.3%)だったが、営業損益は1,245億円の赤字であった。しかし、PS3ハードのコスト改善とPSPの売上拡大で損益が改善し、2007年度下期の営業損益は黒字転換している。そして、続く2008年度のゲーム事業では、通期で営業黒字に転換する見通しを発表している。PS3のハードのコストと販売価格との逆ざやは続くが、ソフトと合わせたPS3ビジネス全体での黒字化を見込み、ネットワーク関連サービスの投資を重視する方針である。PS3の2008年度の売上台数見込みは、前年比8.2%増の1000万台、PSPでは同8.0%増の1,500万台としている。
国内市場では、上半期好調のPSPの勢いを下半期にも引き継ぐための施策が、年度計画達成の成否を分ける。任天堂陣営にモンスターハンター3が投入されることや、ニンテンドーDS向けに、人気シリーズ「ドラゴンクエスト」の「V」が2008年7月17日にリメイク発売、さらにシリーズ最新作の「IX」も2008年中に発売が予定されることを所与に、下半期を支えるキラーソフトの投入が鍵を握る。PSPでは、50万本以上を販売したソフトは5本のみで、そのうち、SCE開発のものは「みんなのゴルフ」の1タイトルしかない。サードパーティのソフト開発会社との連携はもとより、自社での開発が強く求められる。
また、ニンテンドーDSユーザーに比べ、PSPユーザーは、携帯型ゲーム機を音楽や映像などのコンテンツ視聴に利用することが多いといわれている。ゲーム用途以外のハード利用の提案を打ち出すことが、ハード販売を促進する可能性もある。規格が定まったブルーレイレコーダーでストックした高画質の映像コンテンツをPSPで視聴するスタイルの提案は既に取り組みが開始されている。2008年7月17日から限定販売されるメタリックブルーカラーのPSPは、こうした持ち運びして多用途に利用するスタイルの促進を狙ったものと考えられる。キラーソフトを続々と揃える任天堂陣営を、SCEがどのように迎え討つかが注目される。


(2008.07)

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