
(2014.03)
顧客接点のリ・デザイン-「5.顧客の捉え方とセグメントのリ・デザイン」関連戦略ケース
半歩先の食需要の変化を予測したキユーピーのカット野菜工場
~単身化、高齢化による簡便・健康ニーズへの先行投資~

食品スーパーやコンビニエンスストアの野菜売場で、カット野菜の売場が広がっている。健康志向による野菜摂取意識の高まりをベースに、単身化による小容量使い切りサイズのニーズ(個食化)、さらには女性の社会進出などによる調理時間の短縮ニーズ(簡便化)がその背景としてあげられる。
そのカット野菜の国内最大手はキユーピーである。三菱商事と共同出資した「サラダクラブ」は2013年11月期の売上が206億円に及ぶ。同社が設立したのは1999年で、着実に売上を拡大させてきたが、特に2010年代に入ってからの伸びが著しい。
サラダクラブは、2014年10月に広島県三原市に総投資額10億5,000万円のカット野菜の新工場を建設して、生産能力を1割強高める。また、既存工場のラインも増強することにより、1日当たりの生産能力を現状の3割高めた約100万パックまで引き上げる。現在、同社の工場は、中河原工場(東京都府中市)、五霞工場(茨城県猿島郡)、伊丹工場(兵庫県伊丹市)、真庭工場(岡山県真庭市)、鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)の五つだが、新工場は中四国エリアの市場拡大を見込んでの投資である。ちなみに真庭工場以外はすべてキユーピーの工場内にある。



