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NTTドコモが個人向けBlackBerry発売へ
北米スマートフォン市場No.1はiPhoneに勝てるか

スマートフォン世界シェアナンバーワン「ブラックベリー」
 NTTドコモは2008年7月7日、カナダResearch In Motion(リーチ・イン・モーション:RIM)の多機能携帯電話(スマートフォン)「BlackBerry(ブラックベリー)」を8月1日から個人向けに発売すると発表した。ブラックベリーは世界で1,600万人が利用している人気商品で、その世界シェアでは米アップル社「iPhone(アイフォーン)」を大きく上回っている。ドコモでは06年9月から主に外資系企業をターゲットとして、これまで約2万台を販売している。
 現行サービスでは端末の他に企業システムとドコモのサービス網に接続するためのサーバ「BlackBerry Enterprise Server」や専用線サービスなどの導入が必要であるため、法人営業部門を通じ、端末とサーバシステムのセットで販売されていた。一般層でもビジネス向けにスマートフォンを使いたいという先進層からは導入当初より、個人向け販売の要望があったため、ドコモの意志決定が注目されていた。

iPhoneの販売権獲得競争に敗れ、ブラックベリーを対抗機種に
 ブラックベリーの個人向け販売がこのタイミングで発表された背景として、11日に発売されたiPhoneの存在が大きい。日本ではソフトバンクモバイルから発表されiPhoneだが、その反響が尋常ではないものになっていることは発売前後の現象が示している通りである。
 iPhoneの発売権を巡っては、ソフトバンクモバイルとドコモが争っていたが、最終的にはソフトバンクモバイルが選定された。その直後、6月23日に就任後最初の定例会見に臨んだドコモの山田隆持新社長は「iPhoneの提供はあきらめていない」と引き続き交渉していく考えを示していた。しかし、アメリカ(AT&T Mobility)、イギリス(O2)、ドイツ(T-Mobile)、フランス(orange:フランステレコム)と各国1キャリアでの独占販売となっているため、ドコモに販売権が降りる可能性は極めて低いといえる。
 iPhoneの交渉を継続するにしても、早期販売は難しい。対抗機種としてブルーベリーの個人向け販売に踏み切らざるを得なかったというのが裏事情であることは想像に難くない。

立ち位置が曖昧なブラックベリー。iPhoneの対抗になり得るか
 手のひらサイズの機体にパソコンと同配列のキーボードを備えたブラックベリーは、webブラウジング、ワードやエクセルなどのMS-office文書の閲覧や編集機能、さらには高いセキュリティ環境でのメール送受信が可能ということで、企業の情報システムに対するニーズが高い米国の大手企業で広く普及している。
 しかしその背景には、日本のように「iモード」など携帯メールが普及していなかったことがある。個人の携帯電話で企業メールのやりとりすることに抵抗がほとんどない日本ではこのような米国型のシステムは定着しないという見方が強い。
 こうした点を踏まえると、音楽や動画、ゲームといったエンターテインメント性の強い端末であるiPhoneに対し、ビジネス用途に機能が特化しているブラックベリーは顧客層が異なるため、直接的な競合とは言えない。むしろ、同じスマートフォンでもユーザーにとっては個人用にiPhone、仕事用にブラックベリーと棲み分けられていくことも考えられる。

ブラックベリーは日本市場でどこまで行けるか
 仮にビジネス機能を深化させていった場合、果たしてブラックベリーは日本で市場創造することができるのか。少なくともiPhone発売のような盛り上がりはまず期待できない。
 北米市場ではブラックベリーもiPhoneと同じくタッチスクリーン版の新端末を導入すると報じられている。07年の北米のスマートフォン市場におけるシェアはiPhoneの2割弱に対し、ブラックベリーが約5割とされている。しかし発売して実質半年足らずのiPhoneの急速な拡大にRIMも現状のラインナップではビジネス用途以外に顧客基盤を開拓できないという危機感を抱いている。そのためiPhoneの特長であるタッチスクリーンを取り込むというのは至極当然の対応とも言える。
 日本市場の個人向け端末として投入される「8707h」はキーボード型で、ブラックベリーでは2世代前の端末である。日本語未対応のこの機種は、ビジネス需要に特化する形になる。しかし今後、タッチスクリーンで日本語対応の機種が発売されたとして、iPhoneの牙城に迫れるかというと厳しいと言わざるを得ない。iモードなどエンターテインメント性の高い高付加価値サービスが好まれる日本市場でシェアを獲得するためには、決定的に「面白味」に欠けるのである。ユーザーの位置づけとしては、「モバイルパソコンの代替」に過ぎず、一部のビジネス需要の"ニッチ"に終わる可能性が高い。
 それほどまでに日本市場におけるiPhoneの衝撃度は大きく、競合参入の敷居を高くしたといえる。


(2008.07)
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