消費経済レビュー |
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II.動き出した"静かなる"資産革命 -家計のリスク資産シフト
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今般の息の長い好景気の下、活発な株式売買によって支えられて、株式相場は活況を呈してきた。潤沢な金融資産を保有している家計は、高資産層を中心に、株価上昇に伴う金融資産増加の恩恵を享受している。 高資産層を中心に、家計のリスク資産への関心が高まっており、それは実際の家計の資産選択行動にも反映されている。家計の資産構成は、土地偏重・預貯金偏重といった従来型の資産運用スタイルから、徐々にリスク資産のウェイトを高める方向へとシフトしつつある。これまで家計が積極的に進めてきた、リスク資産取引の活発化の動きは、今後も続くと見られる。 1980年代後半のバブル景気以来久方ぶりともいえる、株式市場の復活と家計によるリスク資産取引の活発化は、家計における資産選択に関わる意識と行動の両面で、バブル景気とは似て非なるものと言ってよい。 「バブル景気」とその崩壊を記憶している家計はいまだ多い。とりわけ、国内株式取引および自家用不動産での失敗を、「バブル景気」崩壊の痛手として受け止めていることは確かである。それでも現在では、家計は、国内株式を中心としたリスク資産の取引にきわめて積極的である。少なくとも金融資産の取引に限定すれば、家計の"バブル・トラウマ"はすでに癒えたと考えて差し支えないようである。しかも、そうした家計の態度の裏側には、「現状の景気に対する『バブル』感」や「今後の景気に対する『バブル』見通し」といったものはほとんど垣間見られない。 高資産層を中心に旺盛な、家計のリスク資産に対する取引意欲は少なくとも、バブル景気のときのような一時的な熱狂によるものではない。今、我々が目にしているのは、家計のリスク資産シフトをテコとした「静かなる」資産革命に他ならない。 (2006.08)
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