情況の戦略判断シリーズ

トランプを支えるネット世論 - 正体は「ルサンチマン」

2025.02.27 代表取締役社長 松田久一




トランプを支えるネット世論 - 正体は「ルサンチマン」

 現在の世界を動かしているのは「ネット世論」である。この認識を、企業経営の環境の認識の基礎におくことが戦略判断には必要だ。

 圧倒的な軍事力と経済力で警官役を担っていたアメリカがもはやたち行かなくなり、警官のいない世界を支配しているものは、軍事力であり、「バランス・オブ・パワー」(力の均衡)である。軍事力が正義を決める情況は、先生のいない学級のようなもので、臆病者と力のない日本のような生徒は自分で自分を守れないので情けない。一見、国連や法と秩序が支配しているようにみえる世界も、一皮むけば、生存競争が繰り返されている。

 もうひとつ世界を支配している力は、マスコミで形成された世論ではなく、SNSなどのネットで形成された世論の力である。マスコミを「オールドメディア」、ネットを「ニューメディア」と呼ぶ向きもあるが、ここでは、「ネット世論」とする。

 戦後も現在も、マスコミが第4の権力として、民主主義国では機能している。先日亡くなった渡辺恒雄氏に代表される新聞が、日本政治でフィクサーとしての役割を担っていたことで、営利企業に過ぎないマスコミが権力を握っていたことは明白だ。新聞メディアの支配下にあるテレビになるともっと営利性が露骨だ。スポンサーと視聴率に繋がるタレントや会社には頭もあがらない。

 このマスコミによって形成された「大衆世論」に対して、ネット世論は、グローバル性、即時性、無秩序などの幾つかの特徴を持つが、マスコミ世論に対応するものであって、自立したものではない。いわば、「第4の権力」であるマスコミを監視する機能を持ち、マスコミ世論に対して「カウンター」(対抗)の立場をとる傾向が「対抗世論」である。ネット世論が、ヨーロッパや日本の政治を動かし、アメリカでは第2次トランプ政権を誕生させた、と言っても過言ではない。

 このネット世論の正体は何か。

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