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ネット評判記 
No.83 iPod主役の座を奪うものは
 携帯音楽プレーヤーが「世代交代」と言われている。今年1月、HDD/シリコンオーディオの販売数量がポータブルMDプレーヤーを抜いた。原動力となったのはiPodだ。その人気はまだ衰えそうもないが、音楽再生機能を搭載する機器が多様化する中で、最終的に日本のユーザーはどんな機器を選んでいくのか。ニーズを探ってみた。

主役に躍り出るiPod
図表1.音楽を聴くために使っている携帯音楽プレーヤー
 はじめに、携帯音楽プレーヤーユーザーが、現在どんな機器で音楽を聴いているのかをみると、ポータブルMDプレーヤーが58.0%、ポータブルCDプレーヤーが40.2%、次いでHDD/シリコンオーディオが30.3%となっている。ユーザーの大半は従来のMD、あるいはCDプレーヤーを使っているものの、HDD/シリコンオーディオが短期間のうちに、ユーザーの3割まで浸透したことがわかる(図表1)。

 これらの機器の使用率は、世代によって異なる。従来のMDプレーヤーの使用率は、新人類ジュニア(13~19歳)が多く、CDプレーヤーは、新人類(35~44歳)、断層世代(45~49歳)といった30代後半以上の世代が高い。一方、HDD/シリコンオーディオは、エイティーズ 1)(20~25歳)、ポストバブル 2)(26~29歳)の使用率が高くなっている。現在言われているハードウェアの世代交代というものが、エイティーズやポストバブルといった20代の若い世代がリードする形で起きたことがわかる(図表2)。

図表2.音楽を聴くために使っている携帯音楽プレーヤー(世代別)


 では、HDD/シリコンオーディオの魅力はどこにあるのだろうか。HDDオーディオの代表機種であるiPodの利用理由をみると、他の機器を上回る魅力として「たくさんの楽曲を持ち歩ける」、「デザインがよい」、「楽曲の保管や管理がしやすい」があげられており、音楽をたくさん持ち歩けるお洒落な機器、というのが魅力であることがうかがえる。一方、シリコンオーディオは「軽い・薄い・小さい」「安い」「パソコンとの連携がよい」が他の機器にはない魅力としてあげられている。たくさんの楽曲の蓄積が魅力のiPod、携帯性に優れたシリコンオーディオという機器間の差がみられる。いずれも、従来のMD、CDプレーヤーにはなかった魅力だ(図表3)。

図表3.携帯音楽プレーヤーの利用理由


図表4.今後音楽を聴くために使いたい
携帯音楽プレーヤ
 では、ユーザーは次にどんな携帯音楽プレーヤーを選ぶのだろうか。携帯音楽プレーヤーユーザーの今後の利用意向機種をみると、iPodが61%と、他の機器を圧倒する結果となった(図表4)。これは、現在の利用率の6倍にあたる水準である。世代別に利用意向をみると、先程と同様「エイティーズ」72.0%、「ポストバブル」66.7%が最も高く、次いで「新人類ジュニア」61.6%となっている。iPodは層を広げながら若い世代に深く浸透していく可能性がうかがえる。さらにもう少しみていくと、毎日1時間以上音楽を聴いたり、所有しているCD(アルバム)の枚数が多いヘビーユーザーほど、蓄積の魅力を背景に、iPodへの欲求がみられる。市場はこのままiPodで決まってしまうのか(図表5)。

図表5.今後使いたい携帯音楽プレーヤー(世代別・音楽視聴実態別)


携帯電話は携帯音楽プレーヤーになり得るか
 しかし、iPodにも新たなライバルが出現している。最近、携帯電話でも音楽を聴くことのできる機能が搭載されている。小型ハードディスクを搭載した携帯電話の実用化が間近に迫り、iPodの機能が全て携帯電話に含まれる日も現実的なものとなりつつある。従来はあくまでも電話やメール機能がメインであった携帯電話が、音楽機能(や映像機能)など、本来別の機器によって担われていた機能を備えることで、機器の多機能融合・統合化が進んでいる。ユーザーは携帯電話を携帯音楽プレーヤーとして選んでいくのだろうか。 先程の調査結果から、今後利用したい携帯音楽プレーヤーとして携帯電話をあげた人は9.9%であり、現時点ではそれ程高くない。一方で、利用したい理由では、iPodなどHDD/シリコンオーディオと同じ項目だけでなく、他にも多くの理由を挙げている点が注目できる。特に、「楽曲の入手のしやすさ」、「音楽を聴くだけでなく多機能」など、携帯電話独自の機能が、音楽の蓄積と再生機能しかないiPodにはない魅力となっていることがわかる(図表6)。

図表6.今後使いたい携帯音楽プレーヤーの選択理由


次の主役機の可能性を秘めたPSP
 将来のデジタル機器を占うキーワードのひとつとして、「デジタルコンバージェンス」という言葉がある。これは、デジタル技術が従来の個々のハードウェアの差を事実上消滅させ、ユーザーにとってよりよい機能を束ねた、新たな機器に収斂していく過程を示している。携帯電話への集約は、電話機能を核としたコンバージェンス機器ともいえるが、一方で、映像やゲームなど、映像視聴機能を核としたコンバージェンス機器も登場している。  今回の調査では、ソニーのプレイステーション・ポータブル(PSP)を素材として、その受容性も探ってみた。実際にはあまり知られていないが、PSPはゲーム機能だけでなく、音楽を聴く機能やフォトを見る機能、ビデオなど映像コンテンツを視聴する機能など、多機能を備えた機器である。これらの機能について、認知度と利用意向を聞くと、ゲーム関連機能については70.0%の人が知っていると回答する一方で、音楽関連機能は58.9%となっている。逆に、利用意向については、音楽関連機能が39.5%で1位となっており、ゲーム機能の利用意向39.2%と同水準の結果となった。このことは、ゲーム・映像・音楽など多機能を備えるPSPにおいても、音楽機能が受容の促進要因となりうることを意味している。一連の機能を提示した後のPSPの利用意向は59.0%となり、潜在的に高い波及可能性を持っていることがうかがえる(図表7・8)。

図表7.PSP機能の認知・使用意向
図表8.PSP使用意向


消費者が望むポータブルスタイルは?
 携帯音楽プレーヤーの受容段階と今後のユーザーの欲求を、主にiPod、携帯電話、PSPについてみてみた。最後に、音楽・映像の利用スタイルについて、ユーザーがどのような意識をもっているかみてみることにする。
 まず、最も受容度の高いスタイルとしてあげられたのは、「持ち歩くときは1つの機器で全て済む方がよい」70.0%というものである。現在は、機能の違いで区分けされているポータブル機器も、ひとつのハードウェアへの統合が望まれているということである。続く、「軽くて単機能と少し重くて多機能ならば、軽くて単機能の方がよい」57.4%は意見が分かれる。団塊ジュニア(30~34歳)より上の世代で軽単機能ニーズが強い一方で、ポストバブル(26~29歳)より若い世代ではそれほど高くない。これからを担う若い世代では、単機能よりも、むしろ統合された機器へのニーズが圧倒的に高い(図表9)。

図表9.ユーザーが望む音楽・映像利用スタイル
 iPodが今後支配的地位を維持するためには、「音楽は音楽で専用機器として分かれている方がよい」点が重要な条件であるが、これは43.3%にとどまっている。一方、携帯電話、あるいはPSPの今後を占う「携帯電話に音楽を聴く機能がついている方がよい」「PSPにiPod並みの音楽機能を備えて欲しい」はそれぞれ42.2%、41.1%となっている。現段階では、大量の音楽アルバムをストックするユーザーが音楽再生専用機を支持し、若い世代のシングル視聴ユーザーが携帯電話、両方の支持を集める、映像・ゲーム・音楽統合機器といった構図になっているが、それぞれの異なるスタイルが対立しあいながら、最終的には、ユーザーが望む、ひとつの統合された機器への収斂が起きていくものと思われる。

 ユーザーの7割が、統合を求める中で、iPodのような音楽再生専用のハードウェアの受容は音楽ヘビーユーザーなど一部の層に限定されていくと思われる。むしろ、携帯電話やPSPなど音楽再生以外の機能を統合した新たなハードウェアが、携帯端末として、iPod以上に優位性を持っていく可能性が高い。携帯端末の主役は、iPodで結論がでたわけではなく、むしろ、また次の収斂が始まった段階にあると捉えられる。そう考えれば、独走するiPodも、従来はMD・CDプレーヤーが担っていた音楽再生機能が、新たな機器に収斂されていく過程で生まれた過渡期の商品とも言えるのではないだろうか。
(2005.4)

【 注 】
1) エイティーズ世代とは、バブル期に幼年時代を過ごし、バブル期の記憶がほとんどない世代。
松坂大輔、宮里藍らが含まれる。
2) バブル期に少年時代を過ごし、不況期に成人した世代。中田英寿、安室奈美恵らが含まれる。

【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2005年4月6日~7日
調査対象者:当社インターネットモニター
        15~49歳 全国の男女
有効回収サンプル数:900サンプル

サンプル構成(%)


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