眼のつけどころ

時代を貫くプロ・マーケティング
都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2)

2021.05.25 代表取締役社長 松田久一

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ホテルの「プロ・マーケティング」は「1W4H」を決めること

 コロナ禍で激変するホテルの経営にとって、売上をつくり、利益を確保し、生き残るには、時代を読んだ戦略経営によるマーケティングのフレームにもとづいて、分析し、政策を立案する必要がある。

 プロ・マーケティングとは、後述する「1W4H」をシンプルに決定することである。

 経営者は、Howを追求せよ、と言われるが、優れた経営者はWhatに拘り続けている。そして、Howに落としてトコトン実践する。

 ホテルでは、提供価値の本質である「ホスピタリティ」とは何か、「おもてなし」とは何か、という「哲学」を考え続けている。そして、Howに落として実行している。その違いは、後に比較分析する「アマンリゾーツ」と「ザ・リッツ・カールトン」の経営の違いに表れている。ホテルマーケティングは、ある意味で「哲学競争」である。

 ホテルの経営者やスタッフは、現状の課題を踏まえて、次の五つを決めて、ホテルのすべての活動を設計し、組織化して、人員を配置し、実行に移すことが必要だ。

図表2.ホテルの戦略とマーケティング ― 何を決めることか(1W4H)?
図表

 経営者は、この五つを決めて、目標の旗を振って、従業員とともに働き、目標を達成できるように価値活動を遂行すればよい。もちろん、定期的な戦略の見直しが必要なことは言うまでもない。

 少々、ホテル業界を調べてみると、日本のホテル企業で、この五つに明確な答えを持つ企業は少ない。五つが明確であるとは、戦略があるということである。つまり、戦略が明確な企業は少ない。

 多くの日本企業は、将来を指し示し、大胆に方向転換する戦略経営ではなく、日々の業務改善で、苦難を乗り切ろうとする。もちろん、安定した成長市場なら「戦略なき経営」が最適な時代や時期もある。状況によっては、「遭難したら下手に動くよりも、助けを待った方がいい」との判断もある。しかし、今の時代はそうはいかない。助けは来ない。

 「戦略なき経営」はもっともリスクが高い。もはや、背中を見て、ついてくるような従業員はいない。あうんの呼吸ではなく、繰り返し言葉でのコミュニケーションが必要だ。

 さて、この五つの答えを出すには、答えを考える概念フレーム(考えておく項目と項目間の影響関係の全体像)が必要だ。答えは「枠」を決めないと出ない。テンプレート的ではあるが、1W4Hの答えを出す枠組みが、「プロ・マーケティング」を使うことだ。

 1W4Hを決めるということは、どういう意味があるのか。プロ・マーケティングとは、自社が参入する市場で、ライバルと競って顧客を獲得するために、1W4Hを決め実行することである。

 これは、1.(What)自らの競う目的を明確にし、獲得したい顧客を特定し、2.(How)価格で競るのか、非価格で競るのか、の基本を明確にし、3.(How)特定顧客への製品、価格、提供場所、説得方法を最適統合して価値提供し、4.(How)価値提供を従業員の行動として独自化して、5.(How)持続的に提供できるようにコスト地位を確立し長期利益を確保する、といった一連の意思決定と、それを実行に移すことである。

 ここでは、プロ・マーケティングを実務で使っていただけるように、世界のホテル業界で注目される「アマンリゾーツ」と「ザ・リッツ・カールトン」の事例をもとに話をすすめる。帝国ホテルも参照事例として活用する。

(1)どんな顧客に何を提供するか(What)-事業定義、市場と垂直分業

 戦略経営の基本は、「誰にどんな価値を提供するか」である。経営の原点はここにある。これは「時代使命」であり、企業理念として明示されている。ところが、現実にはこれがない、明示されていないのが実情だ。従業員も知らないことが多い。専門的には、事業定義と市場選択の問題だ。競争の場である業界を選択することだ。広義には、ランドスケープや経済圏の選択である。

 ザ・リッツ・カールトンは、ゲストに「本当の気配り、安らぎの場」を提供するのが「哲学」だ。アマンは、創業者ザッカの考える「平和・独自性・家族」の「哲学」の実践だ。

 この哲学を実践するために、顧客、提供価値を決める必要がある。

 手順は以下のとおりだ。まず、顧客を、収入などの違いでいくつかのグループに区分(セグメント)する。その層は異なるニーズを持ち、それぞれの満たし方が違う。利用者側からみれば、利用したいホテルタイプや価格帯が異なる。

 これが2次元で表現される市場である。市場をこのように操作的に捉えるのが、マーケティング実務の基本である。顧客層×(ニーズ=機能=製品タイプ)で表現される(図表3)。市場とは、実務では抽象的なものではない。ただのクロス表、二元表であることを頭に入れよう。

図表3.市場 ― 顧客層・製品マトリックス
図表

 この市場マトリックスを整理するために、必要な情報が、データサイエンスを駆使した生活者としての顧客の分析である。あらゆるセグメントの基準となる、世代、ライフステージ、年代、家族、居住地域、準拠集団などの社会集団変数と当該サービスの利用状況などの変数から、最適セグメントを導出する。これには、ABテストのようなデータサイエンスのスキルだけではなく、戦略的な経験知が必要になる。分析はどこまでも追求するが、結論はシンプルに「オッカムの剃刀」[8]ルールを守ることだ。

 事業レベルでは、これを、顧客層×ニーズ×製品(シーズ)の3次元で事業を捉えることもできる(D.エイベル)[9]

 経営者は、自分の哲学を実践するために、顧客層と製品タイプで表現される市場を選択する。それは、ライバルと競争するための市場の選択になる。セグメントごとに市場の魅力度と競争地位を計量化して、スコアで示せばいい。しかし、この選択は、単純な損得スコアの合理性だけでは決定できない。納得できるまでシミュレーションしてみよう。

 これを踏まえて、ホテルの経営者は、自社の価値提供の場としてホテル市場を選ぶ。これで、客観的な市場の上で、戦略とマーケティングを検討する土台ができたことになる。これは、小さな、しかし、戦略構築への大事な一歩だ。

 次に、そこで何をするかである。気配り、唯一無二のホスピタリティを提供するサービスは、自社だけではすまない。川上から川下までの垂直的な価値連鎖(Value Chain)[10]によって達成される。この垂直統合の中で、自分達は何をするか、という役割分担を決めねばならない。

図表4.産業(競合企業の集合)内の垂直的分業 ― 川上・川下・統合
図表

 ホテル業界では、美術館のような豪華な建物や設備などに投資し、資産運用する。ホテルでの宿泊、飲食、イベントなどのオペレーションを中心に運営をする。ホテルブランドをフランチャイズ展開し、マネジメントサービスを提供するなどの分業がある。日本のホテル企業は、資産運用、施設運営、マネジメントサービスを一括して行ってきた。しかし、コロナ禍で経営が苦しくなり、西武ホールディングスのように、資産であるホテルの建物を投資会社に売却し、運営に特化する企業も出てきている。

 自らの哲学を行動の次元に落とすには、2次元で表現される市場を選択し、提供サービスをホテルタイプにして、何をするのかを決めることである。アマンとザ・リッツ・カールトンは、同じ市場を選択し、垂直分業では、アマンはすべてを自社で行い、ザ・リッツ・カールトンは、それぞれを別会社で専門的に行っている。

 「どんな顧客に何を提供するか」という問いの答えは、当たり前のこと、簡単なことのようで実は難しい。マーケティング実務を進める上での、はじまりであり、終わりである。

図表5.市場のセグメントと選択 ― 顧客層・ホテルタイプの選択
図表

 自動車メーカーが、自社が「自動車を売っている」と事業定義すればこの時代に合わない。移動目的創造業とでも再定義した方がよい。しかし、車好きの経営者は車のものづくりに拘りがちだ。収穫逓増産業の投資競争に敗れた国内半導体メーカーが、提供価値を「半導体メモリ復活」と定義すれば、再び負け戦になる。ユーザー製品の軽薄短小化による「最終製品開発支援業」とした方がよい。

 個人的には、ザ・リッツ・カールトンの「紳士淑女にサーブする紳士淑女」というモットーが好きだ。ホテルマンに勇気と使命を与え、事業の差別性を示すものだ。

(2)いかにライバルよりも優れたサービスを提供するか?(How)-基本戦略と競争優位

 少々、難しい事業定義と市場選択が明確になれば、次は、市場で業界のライバルとどう競争するかを決めることである。

 ここでは、戦略経営やマーケティングでは定番ツールとなっているFive Force分析[11]を使う。目的は、業界の収益構造から業界での「成功の鍵KFS(Key for success)」を探ることであり、その上で、ライバルにどう競り勝つかを明確にすることである。

図表6.産業(業界)における市場と競争
図表
  1. 競争の激しさ
    業界内の競争は激しい。コロナ禍で市場が低迷している中で、ラグジュアリーホテルの参入が相次いでいる。さらに、エコノミーでは、コストパフォーマンスで競争を仕掛けるアパホテルなどの寡占化が進行している。
  2. 供給パワー
    日本のホテル業界では、宿泊、飲食、イベント運営などの事業で、様々な製品サービスを購入する。納入業者は、多様だが大手企業は少ない。従って、ホテルのチェーン拡大によって、規模利益を生かし、自社向け製品などでバイイングパワーを生かせる。資産となる施設の建設は、選択するゼネコンによって差別性や投資コストが大きく異なる。今後は、海外の巨大不動産投資ファンドの参入も注目される。
  3. 購買パワー
    宿泊サービスの販売は、旅行代理店などの卸流通と自社販売があり、両者ともネット化が進んでいる。コロナ禍で旅行代理店は大きな打撃を受け、店頭販売が縮小したため、低価格競争になりやすいネット販売の比重が高まっている。宿泊代は、シーズンなどの需給変動による変動価格制が採用されている。こうした慣習もあり、ホテルの宿泊代は低価格競争の様相を見せている。
  4. 参入の脅威
    日本市場では、海外の有力ホテルチェーンのラグジュアリーブランドの参入が相次いでいる。他方で、コロナ禍で、中規模(midscale)のホテルの撤退が続いている。資産運用、施設運営の分離などの企業の参入が予想される。
  5. 代替サービスの脅威
    コロナ対策としてのホテルの長期滞在パックやテレワーク用の宿泊サービスが、異業種の「サービスアパートメント」などの不動産サービスとの競争を生んでいる。また、ホテルの長期滞在パックの低価格化によって、サービスアパートメントの低価格競争を生み、単身向けの賃貸マンションとの競合が生まれている。また、低価格市場では、「Airbnb」などの民泊のマッチングサービスが参入している。

 この五つの力の強さが業界・市場全体の収益性を決定し、この業界で成功の鍵を握っている。また、この業界への参入障壁、「退出障壁」や「成功の鍵」は、この五つの力にうまく対応することから生まれている。

 ホテル業界に参入し、収益を上げるには、この業界に作用する力と魅力度を見極め、KFSを探すことである。業界を特徴づける五つの力を整理すると、この市場低迷下の多数乱戦業界のKFSは、

  1. ロイヤリティ顧客層を確保すること
  2. 低コスト優位の運営オペレーションを達成すること
  3. 立地や施設などの固定資産をうまく生かすこと

 である。この三つを他社よりもうまくやれれば、参入条件と収益条件を満たすことができる。

 基本戦略を明確にするとは、競争の幅(scope)と基本戦略(コスト優位か、差別化優位)を選択することである。戦略は、企業の数ほど独自性があるが、基本戦略(generic strategy)は三つしかない(下図参照)。業界のKFSを見極めれば、実務では2次元で表現される基本戦略を選択できる。

図表7.どのような基本戦略(generic strategy)をとるか
図表

 ひとつ目は、実際の自社の歴史や企業文化の条件の上で、主要なライバルよりも、競争の幅を広くとるか、狭くとるか、である。これは、ライバルと相対的な意味で、選択したセグメントにどこまで集中するかという程度である。

 ふたつ目は、他社に勝るには、他社より安いオペレーションができるか、他社よりも差別的なオペレーションができるかの選択である。

 この根拠はミクロ経済学にある。多数乱戦市場、すなわち、「完全競争市場」では「超過利潤」は得られない。超過利潤が得られる競争条件は、特定市場で「独占的競争」を行うか、非完全競争市場、つまり、寡占的市場において低コスト地位につくことである。従って、競争優位はふたつしかない。

 基本戦略の明確化とは、四つの中のひとつを選択することである。

 アマンは、世界のセレブ層に集中した「差別化集中」戦略である。全世界に35施設、そのうち日本では3施設(東京、京都、伊勢志摩)を展開している。

 ザ・リッツ・カールトンは、現在は、「マリオット・インターナショナル」の傘下であるが、独自性は維持され、アマンよりもより広いセグメントで差別化優位を狙う「オーバーオール(全面)差別化」戦略である。世界に90施設を展開する。マリオット全体では、30ブランド7,000を超える施設を展開している。

 両社は、このような日本のホテルの業界構造を見極め、基本戦略を明確にした上で、日本へのラグジュアリーホテルの参入を図っている。世界のホテル競争に比べれば、日本のホテル企業は、まったくグローバルに戦略展開できていない。この基本戦略で、帝国ホテルなどの戦略を特定するならば、日本市場という狭い市場での差別化集中である。つまり、コスト競争に弱いニッチ戦略である。日本のローカル市場のエコノミーセグメントで、コストリーダシップをとっているのがアパホテルだ。

(3)いかに顧客との関係づくりをするか?(How)-マーケティング

 業界のKFSを見極め、基本戦略を明確にし、マーケティングを考える。マーケティングは、戦略経営の中で、顧客との「関係づくり」や、顧客との「価値交換」を行うものであり、全社の価値活動を「統合する機能」を担う。

 例えば、アマンは「世界のセレブ」をセグメントに選択し、差別的な優位性を確保する基本戦略を選択している。従って、アマンのマーケティングは、顧客との関係づくりで、どんなサービス水準(Product)で、どんな価格(Price)で、どこで宿泊予約を獲得し(Place)、どんなプロモーション(Promotion)をするかの四つの機能を統合して、顧客に価値として提供している。

図表8.マーケティングは等価交換による顧客との関係づくり
図表

 サービスは「マニュアルのない」水準で、顧客ひとり当り6人のスタッフで対応し、家族的な関係をつくりあげる。唯一無二のサービスである。4月の公式サイトの提示価格では、デラックスルームは1泊約11.4万円で提供し、アマンフリークと呼ばれるリピーター中心なので予約も直接受け、プロモーションは各地の自然を生かした、芸術性の高い、ユニークな施設を開設している。

 ザ・リッツ・カールトンの「全面差別化戦略」を実現するマーケティングは、セグメントでは中所得層を選択する。アンケートで測定できる高品質のホスピタリティを提供する。問題があれば、TQC(品質管理)のような独自のDQPR(Dynamic Quality Information System)による即時問題解決システムによって処理される。これを実現するのが、「私たちは紳士淑女にサーブする紳士淑女である」というモットーと「20の基本」と呼ばれる行動規範の徹底である。宿泊獲得は、カード発行によるランクづけや全世界の旅行代理店などをうまく活用し、マス販売に結びつけている。プロモーションは全世界で様々な企業とコラボし、展開されている。このサービスを約6.8万円の宿泊費で提供する。

(4)いかに価値を創造するか?(How)-価値活動の設計と人材、設備、資産の配分

 ホテルは、宿泊サービス、飲食や宴会などのイベントサービスを顧客に価値として提供する。その価値を創造しているのが従業員の活動である。

 その活動は、仕入物流、オペレーション、出荷物流、販売マーケティング、サービスの五つの主活動と、購買活動、技術開発、人事労務管理、全般管理などの四つの支援活動の合計九つの価値活動として捉えるのが標準的手法である。

 これは企業活動を整理する上で便利なので標準ツール化している。九つの活動のユニークさと組合せが、その企業の価値を創造している。

図表9.九つの活動による価値創造
図表

 マーケティングは、顧客にどんな価値を提供するかを決める。価値活動の設計は、それを九つの活動で、いかに差別的に、いかに低コストで実現するかを決定することである。アマンは、顧客ひとり当り6人のスタッフを配し、唯一無二のサービスを提供する。このサービス水準を維持するには、ホテルの専門家ではない多様な人材の採用と6人の家族的な連携を生む教育訓練などの人事労務活動が重要になる。また、施設の開設が、話題となり、プロモーションとして利用されるので、常に、独自の立地探索や施設設計が必要になる。これらの施設に投資する資産運用の技術も必要になる。この意味で、技術開発や全般管理が、大きな役割を果たす。

 基本戦略とマーケティングを決定した上で、どんな活動をし、ライバルに対して、どんな強みを設計するかが価値活動の設計である。詳細は省くが、限られた情報のなかで、アマンリゾーツとザ・リッツ・カールトンの価値活動の整理をした。両者の違いは明確だ。

図表10.アマンの差別化優位と価値活動
図表
図表11.ザ・リッツカールトン・ホテルカンパニーの差別化優位と価値活動
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(5)いかに持続的に収益を確保するか?(How)-持続的な収益性

超過利潤の源泉

 市場社会で生き延びるためには、いかに持続的な収益性を維持するかが重要である。

 収益を得るには、経済学で言うところの「超過利潤」を獲得する必要がある。市場で、独占企業になるか、生き残った数社の1社になるかである。

 「超過利潤」とは、「限界費用」を上回る利益のことである。具体的には、業界平均を上回る営業利益率や欧米の長期金利などがひとつの目安になる。

 独占的競争企業[12]や寡占企業[13]が、超過利潤を生むのは、市場支配力を持ち、需要に合わせて価格をコントロールできるからである。その結果、消費者余剰が減り、企業余剰が多くなる。これは、社会厚生上は好ましくない、というのが厚生経済学の基本的な考え方だ。

 問題にしている、都心のラグジュアリー市場でこれを実現するには、宿泊部屋数の過半を支配することである。すべてのセグメントで、23区内は1,940施設、18.5万室である。都心三区では、518施設、およそ77,800室である(メトロエンジンリサーチ調査)。ラグジュアリーを8,000室とみて、約4,000室をカバーすればコストリーダシップは握れる計算だ。因みに、国内最大のアパホテル&リゾートで10万室(海外、FC、パートナーホテルを含む)である。マリオット・インターナショナルは世界で桁違いのおよそ142万室である。

 もうひとつ、マーケティングによる超過利潤を得る方法は、消費者の「認知価値」を大きくし、企業が生み出す価値を実際のコストよりも大きくできれば、「超過利潤=利益」が得られる。売り手と買い手の「認知的差異」を大きくすることである。これは、消費者が実際に支払おうとする金額(支払意思価格=WTP: Willingness To Pay)[14]と、実際の支払額の差で計量でき、ライバルの平均価格との差でわかる。

 都心ラグジュアリー市場ではアマン東京が1泊11.3万円、ザ・リッツ・カールトン東京が6.8万円である。

 従って、企業が持続的に繁栄するには、顧客の認知価値をできるだけ大きくし、その価値を創造するコストを最小化することで、超過利潤の源泉を増やすことである。

図表12.価値活動の目標と結果 ― 売上、費用、利潤(Margins)
図表

ホテルの収益構造-短期と長期

 持続的な収益を獲得するには、どうすればいいのだろうか。実は、ホテルは、他業界とは異なる収益構造がある。それは、固定資産が大きいことだ。土地や建物などが資産に占める比率が高い。

 コロナ前の2019年度の帝国ホテルの貸借対照表(B/S)をみてみると、765億円の資産を持ち約45%が施設などの資産に投資されている。帳簿上の土地建物などの固定資産は約356億円である。資本の調達は76%が純資産で賄われている。従って、約356億円の固定資産を活用して、年間約546億円の売上を上げているビジネスである。

 経常利益は約35億円(2019年度)で、売上高経常利益6.4%、自己資本利益率(ROE)は約4%とホテル業界内では高い。日本国債10年もの(長期金利)の利回り0.09%(2021年5月)と比べると、ホテル資産の運用の収益性が高いかがわかる。しかも、東京都心では地価が下落していないので魅力は大きい。

 このようにホテルは他のサービス業と比較すると、土地や建物などの固定資産の比率が高く、資産運用ビジネスの側面を強く持っている。

 日本で鉄道、不動産業やインフラ企業が、ホテルビジネスに参入しているのは、固定資産のウェイトの高い土地を多く持っているためだ。多くのホテル企業が、資産運用会社を独自に持ち、自社ホテルグループ施設の資産運用をしているのは資産投資からである。

 東京都心に、外資系ラグジュアリーホテルが次々と開設されているのは、高い資産運用を望めるからである。都心へ富裕層の人口が集中し、ラグジュアリーホテルであれば高い収益率が見込める上に、地価の上昇も続くと予想されているので、事業収益の配当も期待できる。

 コロナ禍によるホテル事業の赤字化によって、西武グループなどがホテル資産を投資会社に売却し、家賃を支払って、運用だけに集中する動きもある。これは、会社全体が赤字に陥り、固定資産を流動化し、運用資金を活用しようとするものである。

 また、帝国ホテルのように、コロナ禍で収益回復が望めないこの時期に、ホテルの建て替えを決めるところもある。

 ホテルの収益構造は、短期のホテル運営事業の収益性という面と、長期には金融資産と同様に主に不動産や施設の資産運用という面を持っている。従って、短期に収益性が悪化しても、3~5年期間の資産運用率さえ確保できればよいという面がある。

 コロナ禍でも、外資系ホテルの参入が相次いでいるのは、日本のホテル市場が成長し、ホテルのオペレーションで競争優位にあり、収益性が見込まれるとともに、資産運用として魅力的であるからだ。

帝国ホテルの収益構造

 帝国ホテルは、戦後、いち早く、東京都心の一等地に、著名な建築家によるホテル施設を開業し、日本人の気配り能力を生かして、高いホスピタリティなどのホテルサービスを提供し、ブランド力を生かして収益性の高いビジネスを築いた。しかし、ホスピタリティ品質への拘りから国内施設拡大、グローバル展開は限定的なニッチ戦略にとどまった。ザ・リッツ・カールトンのような地域多角化ができなかった。他方で、アマンリゾーツのように、世界セレブセグメントで、グローバルな地理的拡大をすることもできなかった。

 無借金経営の京都の老舗のような経営となった。しかし、現在では、ホスピタリティの維持のための高い賃金や、高齢化による退職引当金などの増加、建物の老朽化など収益悪化が懸念される。三井不動産と組んだホテルの建て替えは、生き残りへの布石である(「消費反発の現場を探る 帝国ホテルのブッフェから」参照)。

ホテル業界の短期収益性

 ホテルの短期の収益性、単年度の収益性をアメリカのホテルの資料でみてみる。アメリカが世界のホテル産業の一大拠点であり、経営指標のグローバル標準だからだ。

 粗利益率は56%、営業利益率は32%、税引き前利益率は29%である。アメリカは利益率が高いが、中でもホテル業界は高い。2020年3月期の帝国ホテルの収益性と比較すると、収益性の違いがよくわかる。帝国ホテルの売上は546億円、粗利益431億円(79%)、営業利益32億円(6%)、経常利益35億円(6%)である。コロナ禍の2021年3月期は143億円の赤字となった。

図表13.いかに持続的に収益を確保するか
図表

 帝国ホテルは、原価率が低く、粗利益率がアメリカ平均よりも20%も高いが、営業利益率はアメリカの約18%しかない。つまり、一般管理費に占める人件費が高いということだ。

 この低い利益率(コロナ下では143億円の赤字)では、グローバル展開し規模利益を追求するホテル企業には勝てない。アメリカではホテルの従業員に、低賃金の移民の従業員が多く雇用されている。この人件費の差が収益の差に如実に現れている。

図表14.事例:帝国ホテルの収益性分析
図表

 アメリカの収益性をホテルの主要な三つのサービスでみてみる。宿泊が売上の64%を占め、粗利益率は73%である。飲食サービスは売上の29%を占めるが、粗利益率は25%と宿泊より低い。宴会などのその他のサービスは、売上の7%を占め、利益率は41%となっている。これらの三つのサービスは個別に収益性が異なるが、相乗効果を持っている。

図表15.いかに持続的に収益を確保するか
図表

 ホテルは、飲食サービスで宿泊満足度を高め、集客に貢献し、宿泊サービスで利益率を確保し、宴会などのその他のサービスをホテルのブランドプロモーションに活用する、という役割分担がある。

 つまり、ホテル業界で、持続的な存続を維持するには、短期的には、顧客の認知価値を高め、リピーターを増やし、三つの部門の役割分担とマーケティングで短期的な収益を確保することが必要である。そして、長期的には、剰余金を増やし、成長拡大に結びつけて、さらに、収益性を高めるという収益のダイナミックな善循環の仕組みをつくりだすことである。

 飲食サービスは、利益率は低いが、宿泊客の満足度を高めるサービスであり、ホスピタリティを感じられる現場であり、ホテルのプロモーションテーマにしやすい。従って、ホテルの競争力がもっとも表れるサービスである。

07

アマンリゾーツとザ・リッツ・カールトンの競争優位比較

 実務で利用する戦略経営とマーケティングのフレームで、ホテルマーケティングを整理してきた。

 日本人の特性を生かし、従業員1人ひとりの気遣いで、ホスピタリティを維持するこれまでのホテルビジネスは、もはや通用しない。外国人が帝国ホテルのおもてなしサービス、ホスピタリティに感動した時代は終わった。

 アマンリゾーツとザ・リッツ・カールトンは、都心のラグジュアリーホテルセグメントで激突している。しかし、その戦略経営とマーケティングはまったく異なる。両社を優位比較し、価値活動の関連を抽出すると、図表16のようになる。

図表16.アマンリゾーツとザ・リッツ・カールトンの優位比較
図表

 アマンリゾーツは、世界のセレブを顧客にし、様々な問題を唯一無二の方法で解決することに集中した真似のできない活動の連携が構築されている。多様な現地人材採用、アマンフリークを満足させるユニークな施設の開発と投入。そして、従業員へのアマン哲学の徹底である。

 ザ・リッツ・カールトンは、中流層をメインのセグメントにし、4段階でD以上の評価を得るために、ゲストの問題解決を図る。このサービス品質を徹底管理している。それは、DQPRシステムとして制度化されている。そのために、自社に相応しい人材採用システム、持続的な社内コーチングシステム、「20の基本」の徹底、そして、「紳士淑女にサーブする紳士淑女」というモットーのリッツ哲学が徹底されている。そして、経営にも反映され、資産、運営、ブランドライセンスビジネスなどの分社的な運営が進められている。

 2社を比較すると、グローバルなホテルビジネスのふたつの典型的で差別的な戦略経営が明らかになる。

 この2社の東京都心での対決はどうなるのか。恐らく、日本市場、特に、ラグジュアリーホテルニーズ層がどちらを選好するかによる。

 アマン東京は、コロナ禍で世界のアマンフリークの訪問を期待できない。アマンとしては、成功した中国の富裕層と欧米の富裕層を、東京オリンピックを機に呼び込み、日本の富裕層市場も掘り起こす戦略であったと思われる。

 この対決は、2022年に持ち越された。両者は、ホスピタリティの差別化を武器に競争している。しかし、ホスピタリティは、テレワークによるネットでは提供できない。他の競争に喩えるなら、トヨタの品質管理から生まれるハイエンドのレクサスか、職人の手作りが生きるメルセデス・マイバッハのカスタムカーかの戦いのようなものだ。

 経営規模から見れば、ザ・リッツ・カールトンがアマンの3倍の施設を持つ。平均以上のホスピタリティを提供するシステムの強みが、オペレーションの規模拡大に反映されている。インドネシアベースのアマンリゾーツの財務諸表は公開されていないので収益性の比較は難しい。ハーバードビジネススクールの事例研究では、ザ・リッツ・カールトンの事例研究は少なくなり、代わって、アマンリゾーツの事例研究が多くなっている。ホテル経営の注目度は高いようだ。

 現状は、両ホテルとも日本市場にフィットしているように思えない。

 しかし、ここでは、成否や競争優位の結論を出すことが目的ではないので、2022年に実際に業績を見て判断し、報告することにしよう。

08

クラシックとしての「プロ・マーケティング」

 最後に、実務家のためのコロナ後のマーケティングクラシックとして提示した「プロ・マーケティング」をまとめた背景を整理しておきたい。

 マーケティングは、1920年代にアメリカで誕生し、1950-60年代に最初に機能体系として概念化された。それは、マーケティングの四つの機能をミックスするというマネジメントを取り入れて「4Pマーケティング」(マッカーシー)[15]という「ベーシックマーケティング」として確立された。

 マーケティングは、売るための必要機能の拡大として実践されてきた。通販カタログなどの広告(Promotion)、信用供与、セールストークに代表される販売(Sales)、販売地域の拡大による卸売業と小売業へのサポート(Place)、そして、流通などの取扱い実態を調べる調査(Research)などに拡大していった。その機能をミックスし、目標達成するために管理(Management)するのが「4Pマーケティング」である。

 この「4Pマーケティング」は、研究者からも実務家からも必ず批判される。その理由は、このマーケティングマネジメントの現代への貢献が大きく、現在まで修正されながら継承されているからである。

 マーケティングの20世紀最後のグローバルな定番教科書と言えるPhilip Kotler, and Kevin Lane Keller "Marketing Management, Global Edition" Pearson Education Limited, 2015も、価値創造、価値伝達、価値配分などのより抽象的な概念整理をしているが、機能ミックスの考えは踏襲している(次稿で詳述)。

 20世紀の「ベーシックマーケティング」である4Pマーケティングを、現代のデジタル経済の時代のマーケティングの現実性と比較すると大きく変わった。背景は六つある。

  1. 利用主体が大量生産メーカーから、情報、コンテンツやサービス業に変わった
  2. 大企業から中小、個人事業主まで企業規模のロングテール化[16]が進んだ
  3. 市場を捉えるデータが質的量的に拡大し、データサイエンス技術が必要になった
  4. 競争戦略論[17]などの戦略論とマーケティングの概念が融合した
  5. 市場プラットフォームなどの新しいビジネスモデル革新が生まれた
  6. 消費者志向とは相容れないゲーム論を基礎とする行動経済学などの周辺の影響

 マーケティング誕生から100年の変化を踏まえて、実務で使えるマーケティングの体系を整理した。それが、プロ・マーケティングである。経営者、事業部長などの事業の推進者や企業参謀の方が、経営やマーケティングを、どんな枠組みで考え、何を決定すべきかを理解するのに役立てばと思う。

 教科書のマーケティング体系と比較してみると、半分以上が異なるはずである。異なる点は、以下の四つの継承と統合である。

  1. ローカルの特性を反映できる市場と事業定義論(D.エイベルなど)
  2. マーケティング機能のマネジメント論の継承
  3. M.E.ポーターの競争戦略論とミクロ経済学的基礎づけの継承
  4. データサイエンスのアプローチの組み込み

 ベテランのマーケティングの実務家や研究者の方なら、ある程度は納得いただけると思う。あるいは、戦略経営より、競争戦略より、との批判があるかもしれない。中堅の実務経験者なら「テンプレート」になっているので、すぐ使っていただけるはずだ。この四つを継承し、統合するかは実務的な必要性からだ。これについての理論的な根拠は次稿(ビジネスモデル篇)で述べる。

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事例研究数を増やし戦略原則をつくろう

 これまでの説明で、自分の関与する製品、サービスやブランドの収益改善のためのマーケティングが仮説として思い浮かぶだろうか。もし、あなたが解決策の仮説を思い浮かべることができるなら、ここで提案したプロ・マーケティングを理解していただけたということだ。1W4Hに応えるための図表や、まとめがイメージできれば実務もできるはずだ。

 さらに、もっとも役立つのは事例研究を増やすことだ。2社比較の視点から3社、さらに、4社、5社と増やしていくと、個別事例では得られないホテル業界の構造や戦略経営・マーケティングを組み立てる戦略原則(principle)が見えてくる。AIで得られる「形式知」では到達できない、かけがえのない「経験知」である。

 本稿の狙いは、ホテル業界を事例に、マーケティングを実務で使っていただくためにまとめたものである。通常のマーケティングテキストよりも実務的なものだ。従って、初心者でない方は、様々な疑問を感じたはずだ。それは、次稿(ビジネスモデル篇)でお答えしたい。

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【注釈】

  • [8] 存在は必然性なしに増加されてはならないという原則。より広範囲の事象を説明できる,より単純な理論がよりよいとする考え方。思考経済の原則。オッカムが論理的思考として多用したことにちなむ。(広辞苑)
  • [9] 事業領域は顧客層(誰の)・顧客ニーズ(どんなニーズを)・技術(どのように)の三次元で定義できる、とする考え。
     →「事業の定義」デレク・F・エイベル[1980]
  • [10] 製品やサービスを顧客に提供する企業のビジネスモデル全体が、価値とコストを付加・蓄積する連鎖活動によって付加価値を最大化し、最終的に「価値」を生み出すという考え方。
  • [11] 業界の魅力度を捉えるフレーム。自社の所属している業界魅力度を規定している業界の構造を新規参入の脅威、買い手との交渉力、供給業者との交渉力、代替品・サービスの脅威、業界内における既存の参入者との競争関係の強さの五つで捉える考え。五つの力が強ければ強いほど業界の魅力度が低く、逆に五つの力が弱ければ弱いほど業界の魅力度は高い。
     →MNEXT「使える戦略思考-ダイナミックな競争優位創造のマーケティングエクステンション 第3回 ポーターに学ぶ戦略思考」 ポーター戦略論のエッセンスとフレームワーク
  • [12] 企業の数は多数であるが、個々の企業が自社の製品の価格をある程度コントロールできる市場の状況を独占的競争という。独占的競争企業はこのような市場に属する企業を指す。
     →ミクロ経済学入門 西村和雄著[岩波書店、1995]
    独占的競争という言葉は、次のふたつの特性がある市場を特徴づけるために1933年にエドワード・チェンバレンによって紹介された。1)多くの売り手が存在する。各売り手は自社の行動が他社に影響を与えないと合理的に考えている。2)売り手は差別化された製品を売っている。こうした売り手を、独占的競争企業という。
     →戦略の経済学{デイビッド・ベサンコ}
  • [13] 市場における生産物の供給者が2個以上の少数の企業から成る状態。このような市場に属する企業を指す。
     →ミクロ経済学入門 西村和雄著[岩波書店、1995]
    売り手が少ない市場では、ひとつの企業の価格と生産戦略は業界全体の価格や生産量に影響を与える。一企業の行為が実質的に業界全体の価格水準に影響する市場を寡占市場という。このような寡占市場に属する売り手を寡占企業という。
     →戦略の経済学{デイビッド・ベサンコ}
  • [14] 同じ機能や役割を持った同質的な商品サービスでも、収入によって「支払意思価格(WTP)」が異なる。「よいものを安く」の単一価格戦略だと、企業にとっては機会ロスになる。
  • [15]製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の四つの機能を指す。
     →「ベーシック・マーケティング」ジェローム・マッカーシー(Jerome McCarthy)著[1960]
     →マーケティングFAQ
  • [16] ロングテールとは、AmazonやiTunesのようなインターネットを活用した販売において、アイテムを低コストで取り扱うことで、多品種少量販売で利益を上げられるという理論。縦軸に販売数量、横軸にアイテムの販売数量の多い順にならべたときのグラフが長いしっぽが伸びるように見えるため、ロングテールと名づけられた。パレートの法則(80対20の法則)の対立概念である。
     →マーケティング用語集
  • [17] 自社の競争力を実際の市場競争に生かし運用することで、競合企業の競争力を低下させ、自社の市場支配を確立させるための戦略。自社の顧客への価値提供の理念を実現するために、どのように競合に競り勝つかを考える理論。
     →マーケティング用語集
     →MNEXT「使える戦略思考-ダイナミックな競争優位創造のマーケティングエクステンション 第3回 ポーターに学ぶ戦略思考」 ポーター戦略論のエッセンスとフレームワーク

【参考文献】

  • 松田久一「比較ケースから学ぶ戦略経営」、2015、中経出版
  • 松田久一「成功と失敗の事例に学ぶ戦略ケースの教科書」、2012、かんき出版
  • 松田久一「ソロ消費とソロ旅の実像」、トラベルジャーナル2021年3月22日号
  • McCarthy, E. Jerome & William D. Perreault, Jr., Basic Marketing, 1987, Irwin. Inc.
  • M.E. ポーター 「競争の戦略」、1985、ダイヤモンド社
  • M.E. ポーター 「競争優位の戦略」、1985、ダイヤモンド社
  • 水口健次「現代マーケティングの知識」、1976、日本実業出版社
  • デレク・F・エーベル「事業の定義」、1984、千倉書房
  • デレック・F・エイベル, ジョン・S・ハモンド「戦略市場計画」、1982、ダイヤモンド社
  • デイビッド・ベサンコ他「戦略の経済学」2002、ダイヤモンド社
  • MC Sturman, JB Corgel, R Verma, The Cornell School of Hotel Administration on Hospitality, 2011, Wiley
  • A. I. Segel, D. Woodbury & M. Horowitz, Hotel Industry, 2017, Harvard Business Review
  • 13. Case Study Aman Resort, 2011, Harvard Business School
  • 14. ピーター・F・ドラッカー「マネジメント」、1976年、ダイヤモンド社
  • 15. Philip Kotler, Kevin Lane Keller, Marketing Management, 15th Edition, 2016, Pearson Education