融合の時代、水平分業がメインになっていく時代は、価格競争、量産競争が勝負になります。量産競争=コスト競争になります。コスト競争=投資競争です。そして、その投資競争ですが、日本企業というのは、DVDの規格に見られますように、どうしても協調がなかなか出来ないようです。コンセンサスが得られないということです。そういう状況の中で、要は水平分業の中で、グローバルな市場では敗れていかざるを得ないというような厳しい側面が出ているということを、ご案内させていただこうと思います。
そうすると何で勝つかということです。もうひとつ、プラットフォームという勝ち方がありますよと申し上げたい。つまりコスト競争で勝たない場合は、どうしていったらいいかというと、ひとつの勝ち方はプラットフォームで勝っていくということです。
携帯電話では、ずっとNTT DoCoMoが市場をリードしてきました。iモードというプラットフォームを作って、大変世界中から評価されたわけですが、ここに来て、3GFOMAが少し足踏みしまして、その結果、2002年の4月から、au by KDDIが、急速とは言いませんけれども、徐々に徐々に追い上げてきています。何故こんな追い上げが起こってるのかと、あれだけ強かったNTT DoCoMoが、あるいは、NTTの技術というのは、現在でも世界一だと私は思っておりますけれども、最高の技術を持ちながら、何故敗退しようとしているのかということです。
図表6.携帯端末市場のコンバージェンス−追い上げられるドコモ
いくつか調べたものがございます。ひとつは、約30項目について、お客様の立場から両者を比較してみました。コンテンツはどうなのか、ゲートウェイはどうなのか、それからアプリケーション・プラットフォームはどうなのか、端末はどうなのか、それから価格はどうなのか、ユーザーはどうなのかと、いうことを見て参りました。そうすると、明らかに分かることは、au by KDDIの方が、コンテンツが豊富だということです。ナビゲーションシステムがあるということです。そういうナビゲーションシステムを含めて、コンテンツがNTT DoCoMoよりも豊富で、かつ、早かったということです。NTT DoCoMoは、ナビゲーションシステムというのをつい最近作ってきているのですが、ここではやっぱりJAVAというひとつの大きなソフトウェア・アプリケーションが、auのBREWと比較して、若干難しい面がございまして、そこで遅れをとっている状況があります。こんな風に、勝っている項目をマーキングしますと、皆さん見ていただいてるような、色の組み合わせになるわけです。NTT DoCoMoが明らかに勝っていると思われますのは、テレビ電話機能、つまり技術者としての夢を追いかけすぎたという面もあるわけですけれども、それであります。それ以外、つまりコンテンツ、お客様が使いたい、利用したいコンテンツという所を中心に、au by KDDIが、非常に優れた優位性を持っているということがお分かりいただけると思います。
その背景には何があるかというと、ひとつの見方はBREWという、クアルコムのチップでしか動かないアプリケーションのプラットフォームです。それをベースにして作りますと、世界中どこのクアルコムのチップの上でも、ほぼ動くというものであります。これは、開発メーカーにとっては、非常に効率的なソフトウェア・アプリケーションの開発が出来るということに繋がります。DoCoMoの方は、マルチプラットフォームといいまして、JAVAだとどこのプラットフォームでも動くし、どこのメーカーのチップでも動くわけですけれども、移植しようとすると、同一メーカーの違う機種になっても、JAVAをいちいち書き換えないといけないということになります。ソフトウェアの効率が、非常に低いということになります。その結果、NTT DoCoMoが優れているのは、テレビ電話が使えることと、多数のメーカーの品揃えが、29機種もあるということになります。
申し上げたいのは、このプラットフォームがどうも融合の時代のひとつのキーの戦略になりうるということです。追撃成功の背景を、ここで四つ挙げます。世代交代のタイミングでの上手い攻勢、機動、KDDIはこれを上手くかけたということです。それから、戦略的なプライシング。新規導入、機種変更、どれを取りましても、auの方が安いということです。ところが、利用料金はauの方が高いということになっております。三番目には、これはソニーのハワード・ストリンガー社長の言葉ですけれども、without content electronic devices are just gavageということですね。つまり、コンテンツがなければ、電子デバイスは、ただのゴミ、ただの箱に過ぎないということなんですが、これを見事に立証したのが、携帯のコンテンツというものがあって、初めてお客様がそれを使ってくださるということです。テレビ電話というのは、夢の電話でしたけれども、これはなかなか実際のユーザーニーズを掴んだことにはならなかったということです。四番目に、やはりプラットフォームが挙げられます。ソフトメーカーを惹きつける、魅力的で効率的なプラットフォームの提供をしているということが、追撃、ある程度の追撃に成功している大きな背景として、あるんではないかということです。
このように、コンテンツとハードウェアを結ぶプラットフォーム、そして、具体的には、ソフトウェア・プラットフォーム、その大きなプラットフォームというものが、ひとつの融合の時代の戦略、つまり、価格競争、水平分業で量産優位に対して勝っていける唯一の顧客志向の戦略になってくるんではないかというのが、申し上げたいポイント、事例のご案内でございます。