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公開日:2020年12月11日

気になるあの街に行ってみた! Vol.2 銀座
ホコ天再開!銀座に誕生した注目のニュースポットと銀座を愛する人たちの新たな挑戦!(後編)
文・撮影/東郷奈穂子


 前編で触れた銀座の名物である歩行者天国の話を少しだけ振り返ります。3月28日から約3ヶ月の長期休止をした銀座のホコ天。これまで、よほどの悪天候以外は休まずに毎週末と祝日に行われていたホコ天にとって、これほどの長期休止はまったく初めての事態でした。さらに、4月からの緊急事態宣言後は、店舗のほとんどが休業を余儀なくされ、銀座のホコ天は、歩行者の天国にするまでもなく、歩行者のいない寂しい場所になってしまっていたのです。しかし、今年6月13日に再開を果たした銀座のホコ天は徐々に息を吹き返しました。


銀座の歩行者天国
銀座の歩行者天国

 実は銀座の復活の陰には、銀座に再び活気を取り戻すために知恵を絞り、画策していた人々の尽力があったのです。そのひとつが、8月3日から本格始動した新プロジェクト「New Style New GINZA Project」。仕掛け人は、銀座で70年にわたり、街の歴史をみてきたクリエイティブエージェンシー「株式会社ライトパブリシティ」という広告制作会社でした。思うようにお客さんが戻らず、戸惑っている銀座の旦那衆の苦悩を見過ごすわけにはいかない。銀座の仲間としてひと肌脱がなくては・・・。そんな思いからプロボノという形で応援することになったようです。そうして生まれたのが、「新しい生活様式を踏まえたうえで、安心して食事や買い物を楽しめる街づくり」をスローガンにした、新しい銀座をアピールするこのプロジェクト。

 オリジナルロゴとして考案したのが、矢印(→)と無限大(∞)のマーク。銀座1丁目から8丁目の店舗が力を合わせ、新しい銀座へ向かっていくという姿勢やその力が無限に広がっていく街の未来を表現しているそうです。→と∞に、数字の1と8の意味も持たせるあたりに、長年、銀座で広告制作会社をやっている地元愛と力量を感じます。そして、コピーは「おかえりGINZA」。こちらもわかりやすくて温かい言葉です。


「New Style New GINZA Project」
「New Style New GINZA Project」

 ロゴマークとコピーが決まったところで、「New Style New GINZA Project」の第一弾として展開されたのが、新しい銀座の顔づくり。緊急事態宣言の解除後、また以前のように銀座に足を運んでもらいたいという願いを込めて「おかえりGINZAのれん」を発案。銀座1丁目から8丁目までの様々な場所に「おかえり銀座」と書かれた黄色いのれんやポスターを掲げることになりました。

 最初に掲げたのは、1930年創業の日本を代表する老舗テーラー「壹番館」。そこからは、江戸時代に京都で創業し、東京遷都から銀座に移り、現在13代目が受け継ぐ和菓子店「萬年堂本店」や大正6年に創業し、与謝野鉄幹・晶子夫妻が名付けたという画材店「月光荘」など、多くの老舗や店舗が「おかえり銀座」という気持ちを込めて黄色いのれんを掲げています。


萬年堂本店
萬年堂本店

 もうひとつのプロジェクトが、銀座に店舗を構える9店舗で発足した「銀座玉手箱」。「楽しい」「美味しい」「発見」「驚き」「繋がり」の五つのキーワードをもとに、各店の厳選商品をひと箱に詰め合わせたギフトセットとして、6月5日から発売をスタートさせました。当初、9店舗だった参加店も16店舗まで増えるなど滑り出しも上々。1種類の本だけを販売するというユニークな書店「森岡書店」、銀座に3店舗を構える呉服店「銀座もとじ」、デザイナー福薗英貴氏が手掛けるファッションブランド「WEWILL」、北大路魯山人の作品専売店として創業した「銀座 黒田陶苑」、箸の専門店「銀座 夏野」、8代目が躍動する「銀座 松崎煎餅」、どら焼きの名店「木挽町よしや」、ブランド洋食器の専門店「ル・ノーブル」、「山本豊津(東京画廊)」の全9店舗に加え、「鳩居堂」「銀座ウエスト」「銀座木村屋」「静月堂本店」「東京風月堂」「萬年堂」「煉瓦亭」も参加しています。

 第一弾として発売された玉手箱は「男の魅力を高める玉手箱」「オリジナルお菓子と素敵なお茶の時間が楽しめる玉手箱」「銀座の『とき』を繋ぐ玉手箱」「銀ぶら満喫玉手箱」の全4種類。それぞれの中身をご紹介しましょう。

 「男の魅力を高める玉手箱」は、「WEWILL」の上質なTシャツ(2色セット)、「銀座 夏野」の青黒壇使用の高級箸、「ル・ノーブル」の江戸切子グラスが入った詰め合わせ。「オリジナルお菓子と素敵なお茶の時間が楽しめる玉手箱」は、「銀座 松崎煎餅」の三味銅、「木挽町よしや」のお菓子、「銀座 黒田陶苑」の木の葉四方皿、「ル・ノーブル」のカップ&ソーサーの詰め合わせセット。「銀座のときを繋ぐ玉手箱」は、「銀座 松崎煎餅」の瓦煎餅やあられなどの詰め合わせ、「森岡書店」の銀座を取り続けた写真家の写真集「GINZA TOKYO 1964」、「銀座もとじ」の「繋がり」をテーマにグラフィックアーティストとダブルネームでデザインした風呂敷の3点セット。いずれも、自宅にいながら銀座を体感できる最上級の詰め合わせギフトになっています。購買方法は、オンラインショップのみ。「銀座玉手箱」と検索、または以下にアクセスして購入できます。

GINZA TAMATEBAKO STORE(外部リンク)

 そして、もうひとつ、銀座を語るうえで忘れてはならない人たちがいます。そう、銀座の高級クラブのママたち。顧客の多くが大手企業に勤めている人のため、コロナ禍のダメージは計り知れないものだったようです。自粛期間中はもちろん、自粛が明けてからも接待禁止令を継続する企業は数多。できる限りの対策をして待っていても、やって来るのはSNSの誹謗中傷ばかりという現実に、いくつもの高級クラブが泣く泣く閉店していったといいます。

 そんな中、某高級クラブのママが銀座で闘ってきた意地をかけ、あるユニークな取り組みを始めたのです。それが、ママと1対1で飲めるオンラインクラブなるもの。いわば、流行りのリモート飲み会のクラブバージョンです。本来なら、上司やお偉いさんしか指名できない高級クラブのママを独り占めできる夢のようなサービスですから、開設後は予想以上の反響を呼び、多少なりともママの懐を満たし、クラブに行きたくても行けないお客さんたちの心を満たしてくれたようです。

 自粛中、やむを得ず始めた新たな試みでしたが、最近ではそれをビジネスにする企業も登場し、加盟店も増えている様子。なんとしても銀座で生き残りたいというママたちの強い願いが生んだ高級クラブのニューノーマルが、夜の銀座にも新たな風を吹き込んでいるのです。


銀座クラブ街
銀座クラブ街

 銀座には、伝統を守り続ける老舗や高級クラブが数多あるため、一見敷居が高いイメージがありますが、実はそういう人たちほど柔軟で努力家な経営者はいないと私は思っています。何故なら、常に変化する時代や時流にうまく合わせながら、時として大胆に時として繊細に変革や調整を繰り返しながら、次世代につなぎ続けているから。さらに、銀座は商業地として栄えてきた歴史も古いので、街としての結束やつながりも強い。そう考えると、実は銀座という街は日本一ハイソな下町だとも思うのです。だからこそ、いざという時に発動するご近所づきあいモードのパワーも半端ない!日本一地価が高いのに、気位は決して高くない。高級店が連なる商業地なのに、話してみると、とても人情深い。そんな相反する二面性も銀座の魅力なのかもしれません。

 コロナ禍の中、オープンしたばかりの話題の「UNIQLO TOKYO」と「セイコーミュージアム銀座」も、革新と伝統の共存そのもの。また、コロナ禍に立ち向かうプロボノチームや銀座の旦那衆やクラブのママたちの行動には、銀座という街への深くて果てしない愛が込められているように思うのです。


前編(「UNIQLO TOKYO」「和光本館」「SEIKO MUSEUM」...新名所登場で賑わい取り戻す銀座の今)


今回訪ねた街はコチラ!

著者プロフィール

東郷奈穂子

放送作家。
日本脚本家連盟、日本放送作家協会会員。
コピーライターから放送作家に転身後、日本テレビ「11PM」でデビュー。番組における最初で最後の女性作家に。テレビ、ラジオ、イベントなど数々の番組等に関わり、1993年渡米。NY、イスラエル、ロンドンでの約7年の居住を経て帰国。その後は、番組構成をはじめ、雑誌ライター、書籍の執筆、イベント運営など、幅広く活動している。既婚。2児の母。

コピーライター作品「フルムーン旅行」
放送作家作品「テレビ東京/出没!アド街ック天国」ほか


連載:気になるあの街に行ってみた!


参照コンテンツ


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