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公開日:2020年08月27日
【Q&A】オンラインマーケティング相談
ご相談事例集

コロナ危機に直面した中堅企業からのご相談に、当社コンサルタントがお答えしています。ここでは、その一部をご紹介します。

CASE1.酒造メーカーの場合

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Q.日本酒が売れません。とくに料飲店が厳しいです。家庭用の売上が伸びているものの、全体の落ち込みをカバーするほどではありません。小さな会社なので、バイヤーに会ってもらえなくなり、新商品の営業がほぼストップしている状態です。仲のいいバイヤーは電話やオンライン会議で対応してくれるところもありますが、商談がなかなか進みません...。こんな状況なので、家庭用をもっと伸ばしたいのですが、コロナ下でどんな営業が有効でしょうか?
(酒造メーカー 営業部、27歳)

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A.料飲店が落ち込み、新商品営業が進まない、バイヤーが会ってくれない。こんな時期だからこそ、非効率な施策を捨てましょう。今取り組めること、家庭用のシェアを上げることに集中するべきです。弱者の逆転営業戦略に取り組んでいきましょう。

まず、自社の顧客構造を見直してみましょう。どこが自社にとって優良な得意先なのか把握できているでしょうか。単純に売上順で優先度をつけるだけでは、投下する資源がムダになってしまいます。

取引先を、今会えるのか・会えないのかで分類してみましょう。今会える取引先の中で、[1]今後シェア拡大余地がある [2]エリア優位性がある ところを探してみてください。そうして見出した優良取引先に集中しましょう。

選択した(優良な取引先、優位な地域など)狭い範囲に集中して [1]リベートなどを活用しながら売場を取り [2]メニュー提案やクーポンなど、店頭の回転を上げていく施策を打つ、両面提案に注力します。一点突破で特定エリアでの優位性を手に入れ、そこから波及させていくことでシェアを逆転させるのが、中堅企業にしかできないフォーカスマーケティングです。

フィリップモリスジャパンは加熱式たばこの「IQOS」を投入した際、初期の集中展開エリアのひとつに仙台を選びました。東北への波及効果が高く、低タール、メンソールたばこが好まれ、加熱式たばこの味わいが受容されやすい地域だったことがその理由です。攻める地域、順番のうまさから「IQOS」は国内加熱式たばこ市場の7割のシェアを獲得しました(2019年時点)。日本でのフィリップモリスジャパンのシェアは2位ですが、加熱式タバコではNo.1となり、JTとのシェア逆転に成功しています。


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Q.トップメーカーでないからこそ、一点に集中する戦略が有効なんですね。家庭用を伸ばしていくために、エンドユーザーに向けてはどのようなことを心がけたらよいでしょうか。

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エンドユーザーに対しても、優良顧客(ファン)に向けた取り組みに集中することが重要です。

エンドユーザーの構造はどうでしょうか。新規客が多いですか。固定客(ファン)に支えられているのでしょうか。ある程度固定客がいるのなら、このような状況下で、新規客を取るために労力を使うのは得策ではありません。固定客を大事にする施策に注力しましょう。

緊急事態に支えてくれるファンを持つためには、日ごろからのコミュニケーションが重要です。

新潟県の菊水酒造は、5年前から「オンライン飲み会」によるファンとのコミュニケーションを重視していました。毎月27日を「ふな(27)ぐちの日」とし、「ふなぐちツイッター飲み会」を継続しています。ハッシュタグで、同社の主力商品である「ふなぐち」とおつまみの写真を投稿すると、菊水のマーケティング担当者がツイッターでリアルな反応を返してくれるのです。

今年は家飲みを盛り上げるために、国分グループとともに「『ふなぐち』に合う『缶つま』選手権」を行い、「手間がかからない最高の家飲み」を提案しています。 「ふなぐち菊水一番しぼり」は5月上旬のスーパーでの販売額が前年比124%となるなど、緊急事態宣言下でも好調を維持しました。

もともと、スーパーやコンビニに強い商材であることが主要な勝因とはいえ、ふだんからファンとの交流を大切にしているからこその成功といえるでしょう。

小売動向をみると、コンビニ各社は客数減少により売上が落ちてきています。客数の落ち込みを客単価の顕著な伸びがカバーして引き続き好調な食品スーパーへの取組みに集中するのがいいかもしれません。

参照コンテンツ: 月例消費レポート 2020年8月号

CASE2.インテリアメーカーの場合

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Q.コロナの影響で、主な販路としていた百貨店での売上が急減してしまいました。既存の販路頼みではなく、何かしないとと思っているのですが...。
(インテリアメーカー 営業企画、28歳)

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A.「商品×チャネル」で考えてみると、今後の対策が打ちやすいです。

「既存商品×既存チャネル」「既存商品×新チャネル」「新商品×既存チャネル」「新商品×新チャネル」という4象限で、自社の最大の強みとなるマスターブランドの価値をどのように拡大し、どの販路に打って出るのかを考えてみましょう。

そもそも販路が百貨店のみというのは、コロナ禍でなくても危険かもしれません。お話をうかがっていると、御社のブランドは法人・個人のギフト需要を狙うチャンスがありそうです。コロナ下でギフト需要は伸びており、とくに高価格帯商品の需要が増加しているようです。直接会えないからこそギフトを贈りたいというニーズが高まっています。この機会に、新たな販路を開拓していきましょう。

一次流通に乗せていく前の、テストマーケティングの場として、よく活用されているのがクラウドファンディングです。株式会社ハートウエルは、今治タオルや今治生地でつくるベビー用品を主力商品としています。コロナの影響で主要販路の小売店が休業し、ダメージを受けました。そこで、夏に向けて使い心地のよいマスクへのニーズが高まっていることに着目して、今治タオル品質の冷感・抗菌マスクを開発しました。

クラウドファンディングで購入者を募ったところ、目標の300倍の売上を達成しました。販売金額は、同社のふだんの年間売上の1割以上と推測されます。今治タオルという強い基軸を活かし、withコロナで新たに顕在化した注力すべき顧客ニーズにうまく結びつけることで、ブランドの価値拡大に成功しています。




クラウドファンディングは出品期間が限られていますが、ここでブランドとしての成功事例をつくっておくと、百貨店以外のリアル・オンラインチャネルを開拓していくハードルが少し下がると思います。ちなみに、ハートウエルは、クラウドファンディングでの成功後、まず自社サイトでのマスク販売を始めているようです。ネット主導の売りの仕組みをうまく構築していっている事例といえます。

(参照コンテンツ:コロナ危機をどう生き残るか-命を支える経済活動を守る戦いへ

CASE3.飲食店の場合

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Q.「そこでしか食べられない特別な味」を体験してもらうことを目指して、レストランを経営していました。常連客は今でも食べに来てくれるのですが、Withコロナの生活では、外食店はソーシャルディスタンスの観点からも今までのように満員にすることができず、よくて「7割」状態が今後も続くと思います。他の店は、デリバリーやECへの進出、テイクアウト弁当など、ありとあらゆる対策をしていますよね。優先して何に取り組むべきなのか、不安を感じています。
(飲食店経営、35歳)

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A.この時期だからこそ、リアルなお店で勝負していきましょう。

まずはあなたのお店の「強み」「弱み」を客観的に整理してみませんか。強み、弱み、外部環境での機会と脅威を分析すると、あなたのお店の強みは常連客が多いことです。強みである常連客に集中して対策を打っていきましょう。

確かに、コロナ下では、高級店を含む多くのお店が新規客を取るためにあえてECに進出したり、テイクアウト弁当に挑戦したりしています。今までの売上をすべてカバーするのは難しいものの、地理的に遠かったり、金銭面で折り合いがつかなかったりしていたお客様を獲得することができるかもしれません。牛丼屋のように、テイクアウトとの親和性が高い業態では、なおさら売上カバーに貢献しています。

しかし、御社の場合は、常連客が多く、強い看板メニューがあるのが強みですから、他社がやっているからといってやみくもに新規客を取ろうとするのは、労力の割に利益が出ません。思い切ってリアルのお店での勝負に集中してみてはどうでしょうか。コロナ下で、ほとんどお客さんが入らなくなった外食店がある一方で、意外と、常に満員のお店もあります。常連客に支えられているからです。「今は行けないけど、将来行く」応援チケットの売上も、当然ながら、単に立地のいい店ではなく、ファンのいるお店のほうが販売額が伸びています。

常連客が何度も通いたくなるメニュー構成、ひとり客でも楽しめるメニューや座席配置、会計前につい手を出したくなるお土産用商品を考えましょう。常連客の属性やニーズを今一度分析し、彼らにとっての価値を発見し、コアターゲットにささるメニューやサービスに注力していきましょう。

東京、神奈川、埼玉、宮城の「銀座ライオン」では、料理・ドリンクすべて1人前ずつ提供する「新しい生活様式コース」をメニューに取り入れました。大皿を複数人でシェアしなくてよい、衛生面での安心感から注文数が増え、7月からさらにコースを追加しています。

コロナ下の6月にオープンした赤坂見附の「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」では、昼時も入りやすい店構え、対面でない座席配置、グループ客でも1人1つ鍋を用意するなどの工夫で、ランチに出かける会社員や、ひとり客をうまく取り込んでいます。現在は、リピーター獲得のためにメニューの刷新を図っているようです。

もちろん、余力でテイクアウト弁当やデリバリーへの対応もありですが、新規客の拡大にこだわらず、リアル店舗で、今いるファンを大切にする施策を優先しましょう。




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担当コンサルタント紹介

ディレクター 大澤 博一

食品飲料、H&BCなどの消費財メーカー、流通業など幅広い業界企業のコンサルティングを行い、入社以来、700を越えるプロジェクトを経験している。 メーカーと流通小売企業の両者に精通し、組織革新、営業改革プロジェクト等、現場を熟知した経営戦略・マーケティング戦略立案に定評がある。 「戦略ケースの教科書」執筆担当、『フィナンシャルタイムズ』『エコノミスト』『東洋経済』など経済誌への寄稿・取材記事多数。

ビジネス・ディベロップメント・マネジャー 舩木 龍三

入社30年を越えるキャリアで携わったプロジェクトは800を越える。 どんな業界にも対応できるが、特に営業、小売流通政策、組織革新、営業改革プロジェクト等、現場を熟知した経営戦略・マーケティング戦略策定に強みがある。 執筆担当「戦略ケースの教科書」、「47都道府県の経済天気図」、「多次元接点戦略」他。webコンテンツとして戦略ケースを多数執筆。

プロジェクト・チーフ 北口 知愛

成長支援のコンサルティングサービス事務局。食品飲料、嗜好品、住宅設備を中心に100以上のプロジェクト経験がある。消費者・企業双方のトレンドを踏まえたライフスタイル変化予測を強みとする。検討会のファシリテーターとしての活動も多い。中堅企業の戦略ケース執筆も担当。


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