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(2018.09)
民泊市場の転換期
CtoCからBtoCプラットフォームへの転換
リサーチャー 田中優祐



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 「価格」「選択肢の豊富さ」「異文化体験」などの理由から、日本でも急速に利用者が拡大した民泊サービス。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、市場は今後さらに拡大が予想されている。一方で、無許可営業や近隣住民とのトラブルなども目立つ。2018年6月15日には、民泊のルールを定めた住宅宿泊事業法(以下民泊新法)が施行されたが、手続きが煩雑なことやコスト増などから届け出は低調だ。今後の民泊ビジネスの課題と展望を予測する。


民泊市場の急成長

 りそな総合研究所は2018年6月、一般住宅に有料で人を泊める「民泊」の2017年度の市場規模が1,251億円にのぼるとの試算を発表した。2016年度は619億円、1年間で2倍以上に市場が拡大したことになる。民泊新法の施行をきっかけに「民泊」は多くの新聞記事やニュースで取り上げられ、話題となった。


民泊とは

 「民泊」とは一般的には、文字通り「民家に宿泊すること」を指す。アメリカ・サンフランシスコで創業した「Airbnb(エアビーアンドビー)」が、2014年に日本に上陸したことをきっかけに、日本でも"自宅やその一部、または所有する別荘やマンションの一室などを有料で貸し出すこと"という意味で注目されるようになった。


民泊仲介代行サービスのビジネスモデル

 Airbnbをはじめとする民泊仲介代行サービスは、主に個人が所有している空き部屋や空き家を貸したい人(ホスト)と宿泊場所を探している人(ゲスト)を結び付けるCtoC(Consumer To Consumer)プラットフォームを提供している。

 Airbnb以外にも、アメリカ・テキサスで創業したHomeAway(ホームアウェイ)や中国・上海で創業した携程(Ctrip/シートリップ)が、同様のプラットフォームサービスを行っている。しかし、売上規模、利用者数はAirbnbがダントツで、民泊市場は現在Airbnbの勝者独占状態である。その理由のひとつが、ネットワーク外部性だ。


市場を独占したAirbnb

 市場プラットフォームとは、「製品サービス市場の売り手、買い手及び補完的な関与者を結び付け、相互作用のある市場取引を行うための経済合理的な共通機能」と当社では定義している(MNEXT 眼のつけどころ 「高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法」より)。ここでの相互作用とは、主に売り手と買い手の関係におけるプラスの「ネットワーク外部性」だ。「ネットワーク外部性」とは、同じ財・サービスを消費する個人の数が増えれば増えるほど、その財・サービスの価値が上がり、結果として得られる便益が増加することを指す。つまり、売り手が増えればプラットフォームの価値が上がり、買い手が増える。買い手が増えればプラットフォームの価値が上がり、売り手が増えるということだ。民泊市場で考えると、部屋の貸し手が増えれば借り手が増え、部屋の借り手が増えれば貸し手が増えることを意味する。

 また、ネットワーク外部性が強く働いているプラットフォームは、市場を独占しやすいという面を持つ。利用者が増え、市場で大きなシェアを取ったプラットフォームには、様々なサービスの提供者が集まるため、他のプラットフォームは淘汰されてしまう。このように、同一サービスを提供するプラットフォーム間においては、「いかに利用者を増やし、ネットワーク外部性を働かせるか」が競争のポイントとなる。

 各民泊仲介代行サービスの物件掲載数を見ると、Airbnbの物件掲載エリアは191ヶ国65,000都市、総物件掲載数は300万件、一方、「HomeAway」は200万件、「携程」は100万件である。Airbnbは、他よりも強いプラスのネットワーク外部性を働かせることにより、プラットフォームの価値を高め、民泊市場で最強のビジネスモデルを構築した。現在の企業価値は310億ドル(約3兆3千億円)と推定され、2019年には新規株式公開を準備しているといわれている。





民泊新法で混乱する業界。一方で企業の参入チャンスも。BtoCプラットフォームへの転換でどう変わる?【続きを読む】(有料会員向け先行公開)
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