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II.現代の戦略とマーケティング
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3.競争戦略のヒント
2010 Winning Marketing Style
21世紀の競争優位のマーケティング

代表 松田久一

持続成長力の格差

 企業の中長期の経営目標は、顧客への価値提供を通じ、持続的に売上、収益を成長させることである。弊社では、大手消費財14業界のメーカーの40事業を任意に抽出し持続的な成長という指標を基軸に、90年代の実績推移、戦略展n眼的な政策ではなく、マーケティングスタイルを持っているかどうかである。政策がころころと変わる会社は多い。マーケティングスタイルとは、短期的な政策ではなく、一定の持続的なスタイルのことである。40事業を「スタイルがある事業」と「ない事業」に分け、同じように収益性を見ると、ここでも大きな格差が確認された。競争優位とマーケティングスタイルが持続成長の格差を生んだ要因であった。

図表1 格差を生む源泉-競争優位
図表2 格差を生む源泉-マーケティングスタイル


持続成長力の格差

 1980年、マイケル・E・ポーターは「競争の戦略」を著した。しかし、その競争戦略はあまりに静的すぎ、現在の市場変化に対応できるだけの戦略・発想力を持たなくなったのが90年代であると指摘できる。この証拠のひとつは、競争優位にはライフサイクルがあり、長続きしないということである。「第一回持続競争力調査」では、90年前後に競争優位を確立していた事業をベースにし、10年後それが持続されているか否かを検証した。「競争優位が維持されていた」は僅か14%で、ほとんどが「部分的に崩壊」又は「完全に崩壊」している。
 これは、ひとつは競争優位システムが寿命を持っていることを示している。寿命を持っているということは、逆にいえば、持続競争優位の仕組みをいかにして創造し、維持し、確立していくかが、戦略上大変重要だということだ。競争優位をいかに作り出すかだけでなく、それを維持し、確立し、また再創造していく仕組みを作ることこそが、90年代には重要であった。
 もうひとつは、いったん作られた持続的な競争優位は、部分的崩壊しかしないことの重要性である。部分的崩壊しかしないということは、これまでの仕組みを捨てられないということである。その結果、後述する「手詰まり症候群」というかたちの企業習慣病に陥る可能性が高くなる。
 40事業の研究で明らかになったことは、競争優位のシステムにはライフサイクルがあり、戦略転換が必要だという事実だ。このことは、戦略とは極めてダイナミックで時間依存的だということを再認識させてくれる。旧の崩壊と新の創造というジレンマの中、競争優位のシステムの進化を考えていかねばならない。この事実を前にポーターの競争戦略はあまりに静的すぎる。

[2001.06 J-marketing.net]

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