新しい日本的経営の成功の鍵
-ダイナミックに強みと市場を結びつける

2004.08 代表 松田久一

 21世紀の坂の上の雲は見えてきたが、企業の持続的な競争優位への峠越えはこれからだ。足元に眼をやれば、自動車の国内需要は冷え込んで輸出依存、三種の神器は二桁成長でも家電量販店の総売上げは対前年を割り込んでいる。加工食品もよくない。百貨店、スーパーの落ち込みも続いている。中国も脆い成長経路を歩んでいることは言うまでもない。土地の国家管理で土地の供給が管理でき、金融の国家管理で金融モラルが曖昧で倒産ルールがはっきりしないこと、生産の三要素のうちの二つを国が握り、労働力はほぼ無尽蔵という要素条件の上で、日本を始め多くの企業が国内では得られないレントを求めて直接投資を行っている。他方で、EC市場、ヘルスケア等のサービス産業、20代向けの料理教室などの「食育」市場は大盛況である。

 ものづくりだけでは復活できない。低付加価値のものづくりは、労働の要素賦存が高い中国へと移行せざるを得ない。高付加価値のものづくりも、幾ら技術をブラックボックス化しても、量産優位が獲得できるのはせいぜい約2年しかない。

 優れたものを作る強みを10年以上持続できる競争優位に結びつけるには、強みを市場変化にあわせてイノベーションできるシステムを組み込み、どう市場と結びつけるかにかかっている。日中韓の「東北アジア消費市場」とどんな「マーケティングリンク」を作るか、国内の新しい市場をどう開拓するか、新しい流通チャネルをどう開拓するか、ブロードバンドをどう新しいコミュニケーションに結びつけるか、ものづくりの強みを市場に結びつけるマーケティングへの再投資が求められている。新しい日本的経営の成功の鍵は、川上からものづくりへの強みを消費者、顧客の価値へとダイナミックに結びつけることである。