使える戦略思考
-ダイナミックな競争優位創造のマーケティングエクステンション
第4回 RBVに学ぶ戦略思考

2004.12 代表 松田久一

本シリーズの目指すべきところは「自分で戦略を組み立てるようになる」ということです。戦略思考を学び使えるようになりたい人のために解説をします。

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4.補論 ポストポーターとしてのゲマワットの戦略論

 ポーターの後継者と言われているハーバードビジネススクールの先生で、ゲマワット*9 という人がいます。ポーターの史上最年少教授記録を破った人です。まだ若い人ですが、ポーター戦略論を土台にしながら、ふたつの観点からポストポーターと言われてもいいような理論を組み立てています。

 ひとつは外を見る見方を変えたということです。ポーターは五つの力によって決まってくる業界構造の分析を重視しました。だからポーターの戦略論は改めて別の言い方をすると、外を見る。外を見るというのは業界、産業=インダストリーを重視するということです。だから企業がなんだかんだ、自分たちは子供たちに未来のある産業にするのだ、とかそういう大望を実際持っているわけですが、それを実現するために生き残っていかないといけない。そのためには経常利益率が10%以上で、売上成長率はいくらなど目的を目標に置き換えるわけです。その目標を達成するためにどうしたらいいか。ポーターの戦略論からいうと、ひとつは業界を選びなさい。それから2番目はその業界の中でどんな競争をするのかはっきりさせないといけない。このふたつを決めることが戦略で、もし魅力的な業界でなかったら魅力的な業界になるようにしなさい、もし業界の中で競争地位が低かったら高いようにしなさい。それが、簡単に言うとポーターの戦略です。そのときにポーターは業界の見方を魅力的かどうかというのはその業界を構成している五つの要因、どれだけ激しい競争がライバル同士で行われているのか、供給業者との力関係はどうなのか、売り手との力関係はどうなのか、代替品との関係はどうなのか、新規参入業者との関係はどうなのか、で捉えました。一番魅力的な業界とは、新規参入業者が全然入って来られず、代替品がなく、供給業者が非常に弱く、売り手が非常に弱い業界です。そういう業界に入ったら収益率は非常に高くなりますよというふうに言ったわけです。

[2004.12 MNEXT]

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