21世紀に向けて、変わる生活者を考える

1997.01 代表 松田久一

 新しい時代のお客様の価値観や願望はどう変化するのか。そして、私たちはその変化に対応できているのか。生活者研究、ライフスタイル研究を通じてマーケティングの見地から解説します。

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ヒット商品に見る生活者意識のトレンド

 最初に、96年のヒット商品を振り返りながら、今日の生活者の意識がどのような方向に向かっていこうとしているのかを考えてみましょう。そこで、ヒット商品をいくつかのグループに分類してみますと、

 第一は、やはり、「インターネット」「携帯情報端末」「携帯電話」「PHS」といった通信をメイン機能とする新製品群。これらの共通性はいつでもどこでも情報交換を可能にし、働き方や遊び方に新しい行動スタイルの可能性を示しました。

 第二は、「デジタルガジェット1 」と呼ばれる久々に世界の先頭を独走する新製品群。「デジタルカメラ」「デジタルビデオカメラ」「APS対応カメラ」「MDプレーヤー」「VICS対応力ーナビ」などです。昨年11月25日号の、『ビジネスウィーク』誌の巻頭を飾ったのはこれらデジタルガジェットの出現を日本のプロダクトイノベーションの力強さとしてとりあげ、ほかのアジア諸国には真似のできない「価値」の市場を創造した日本の復活を特集する記事でした。

 第三は、「プリント倶楽部」「ポケベル」「ナイキ・エアマックス」に代表される新しい仲間づくり、関係づくりのための商品群です。女子高校生の一人平均プリント所有枚数は約400枚ともいわれ、挨拶代わりにプリント交換する作法やスタイルまで生まれています。「ベル友」といわれるポケベルだけの顔を見せない友達づくりも盛んで、1日当たり100を超えるメッセージを送受信する女子高校生を中心とした子どもたちの中には、月額の電話代が2万円を超える子も少なくありません。

 第四は、美白歯磨き剤「アパガード」、毛穴の汚れを取る「毛穴パック」、目覚まし機能をもった「刺激性タブレット」などの簡単に効果が実感できる機能性商品群。

 第五は、単なる冷蔵庫ではなく食の冷凍化に対応した「フリーザー」やあらゆる掃除に対応できる「スティック掃除機」、街乗りにもアウトドアにも使える「RV車」など新しい用途や使い方の提案のある生活用途拡大商品群です。

 そして最後にオリジナリティーのあるブランド商品群。昨年、ある意味でもっとも注目されたのは、驚異的な売り上げ躍進を続けるインポートブランドです。「フェラガモ」をはじめとするヨーロッパブランドが、超大型の直営展開を進めたこともあって、対前年比300%近い伸びを示しました。ストアブランド2 は影を薄め、大手メーカーの品質保証型ブランドよりも、オリジナリティーのあるブランドがうけた。「地ビール」の躍進もこの傾向のひとつです。

(協カ:松下電器産業経営企画室生活研究グループ)


[初出 1997.01 「松風 1997新年号」 松下電器産業(株)]