核家族から、核融合する家族へ
「家族」の新しい価値観に対応するサービスとは?

1992.04 代表 松田久一

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ファミリー回帰現象

 「騒ぎすぎた宴」の後には、必ず「反省」が生まれる。80年代のバブル経済の崩壊とともに、日本と日本人の反省が始まった。

 90年代に入って、人々の価値観は大きく転換し始めている。欧米は400年という長い時間を費やして、「豊かな近代社会」を創り上げた。一方、日本は、大股で、明治から数えても、たかだか百年と少しの時間で「豊かな社会」を築いてしまった。4倍のスピードで近代化の道を歩んできた。経済上のゼロからの出発という意味なら、戦後約50年で先進国のトップに立った。8倍のスピードで走ってきたことになる。

 しかし、何か大切なものを忘れてしまったのではないか。そんな意識が、世の中の雰囲気を形成している。

 その忘れてしまったもののひとつが家族である。「男が働き、女が家庭を守る」「男は外、女は内」という図式の家庭は、もうとっくに崩壊してしまっている。

 90年代、激動する社会のなかで、もっとも小さく、もっとも基本的な社会集団と定義される家族はどうなっていくのか、これからの市場トレンドを探っていく上でのひとつの鍵である。

[1992.04 「NOVA」 日立キャピタル]