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割高感のある企業は?
 
 長引く景気の低迷で、消費者の節約志向はいっそう強まり、「激安ジーンズ」や「低価格弁当」などがヒットしている。反面、品質のわりに価格の高い「割高感」のある商品、サービスは苦戦を強いられている。
 今回のネット評判記では、当社インターネットモニターを対象に、任意に選んだ43の企業に対して、それぞれどの程度の割高感が感じられているのかをみた。

図表1.割高感を感じる企業【上位20位】
 弊社インターネットモニターに、任意に選んだ43の企業名を提示し、「割高感を感じる」企業を挙げたものが図表1である。
 全体では
  • 最も「割高感」の強い「エルメス(76.9%)」から、第5位の「コーチ(65.2%)」までを海外のプレステージブランドが占め、
  • 次いで「伊勢丹」「三越」などの百貨店、
  • 「エスティローダー」「資生堂」の化粧品メーカーが続く
という結果となった。
 提示した企業名の中にはビールメーカー4社や外食チェーン9社なども含まれているが、「モスバーガー」が10位、「ロイヤルホスト」が12位に挙げられたほかは、「割高感は低い」と評価されている。

図表2.割高感を感じる企業【化粧品メーカー】
 次に各業界別にどのような企業に割高感が感じられているかをみていく。
 まず、内外の有力企業11社を提示した化粧品業界では、最も割高感が強いのは
  • 「シャネル」     75.3%
  • 「エスティローダー」 50.2
  • 「資生堂」      46.3
という結果になった。1位の「シャネル」は海外プレステージブランドで、3/4の人が割高だと感じており、同じく海外プレステージブランドで2位の「エスティローダー」や、国内最大手の「資生堂」に大差をつけている。
 一方割高感の低い企業は、「ロート製薬」「DHC」「ファンケル」などで、通販を主要なチャネルにもつ2社(「ファンケル」「DHC」)が挙げられた。

図表3.割高感を感じる企業【ビールメーカー】
 ビールメーカー4社は、「キリンビール」が10%を超えたものの、残りの3社は 7%台で、主力商品が日常的に利用するものであるだけに、おおむね「割高感の少ない」業界といえるだろう。

図表4.割高感を感じる企業
【ファッションブランド】
 ファッション業界では、海外企業5社、国内2社を提示したが、上位と下位の差が極めて大きいことが特徴である。
 割高感の強い企業としては
  • 「エルメス」    76.9%
  • 「ルイ・ヴィトン」 74.6
  • 「ベルサーチ」   68.7
  • 「コーチ」     65.2
などがある。
 提示した全企業で総合1位となった「エルメス」や、「ルイ・ヴィトン」「ベルサーチ」「コーチ」などの海外プレステージブランドは65%以上が「割高」と感じているのに対し、同じ海外でも「ファストファッション」のH&Mは7.1%、ユニクロ、しまむらではそれぞれ2.0%、1.1%と極めて低い。

図表5.割高感を感じる企業【流通企業】
 流通業界では、「伊勢丹」「三越」などの百貨店業界で割高感が強く、ダイエー、ジャスコ、西友などの総合スーパーやニトリやマツモトキヨシなどのディスカウント系の専門店は割高感が低い。
 その中間に位置するのが「セブン-イレブン」「ファミリーマート」などのコンビニエンスストアである。

図表6.割高感を感じる企業【外食チェーンなど】
 外食チェーンでは、もっとも割高感が強いのが「高品質・高価格」戦略を採用してきた「モスバーガー」の39.6%である。
 一方、低価格商品や無料のコーヒーを集客につなげてきた「マクドナルド」の割高感は4.3%だが、「吉野家」「すき家」などはさらに低く1%台となっている。

 個別の企業、業界によって「割高感」の原因は差異がみられるであろうことは推測できるが、傾向的には、業界としては食品や飲料、ポジションとしては低価格を打ち出している企業では割高感は小さく、化粧品やファッションなどの業界で、プレステージ性を訴求している企業では割高感が高い。
 いままで培ってきた資産である「プレステージ性」を損なわずに、割高感というマイナスのイメージを低減させることができるかが、今後これらのグループに属する企業に問われることとなろう。
(2009.11)


【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2009年10月26日~10月29日
調査対象者:当社インターネットモニター
      20~59歳 全国女性個人
有効回収サンプル数:814サンプル
サンプル構成

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