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(2013.04)
ネクスト戦略ワークショップケース報告「市場プラットフォーム発想の事例に学ぶ」
後編: プラットフォーム発想を取り入れて、事業を活性化する
ビジネスディベロップメントマネジャー 大澤 博一

本コンテンツは、2012年11月20日に行われた当社イベント「ネクスト戦略ワークショップ 不況対策集中コース 激変期の市場深掘り戦略」の講演録と、同日使用したプレゼンテーションをもとに構成したものです。
>> 前半:市場プラットフォーム発想で、ビジネスモデルそのものを変える


 既存事業の中にうまくプラットフォーム発想を取り入れることによって、事業を活性化した事例として、アサヒビール、コカ・コーラ、タイムズ24をご紹介します。

アサヒビール
 アサヒビールのビジネスは大きく分けるとふたつあって、ひとつは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど小売業に販売していくものです。セブン‐イレブンなどは、「アサヒスーパードライ」を1年間で約100億円売るような、重要なお得意先です。もうひとつは、地域の料飲店や居酒屋など、業務用のビジネスです。居酒屋さんで「ビール!」と頼めばスーパードライが出てくることがあると思いますが、お店と業務提携をして、お客さんに流していくパターンです。提携先は約4,000店あります。
 アサヒビールは売上高1兆5,000億円のうち、ビール売上を中心とした会社ですが、近年は若者のビール離れもあり、ビール全体の売上は減少傾向にあります。そこでアサヒビールは2004年、第2次グループ中期計画を発表しました。そこで打ち出したものは、「総合酒類メーカーの新体制づくり」と「地域密着の組織づくり」です。支社に量販統括部などの組織を置き、2007年には支社・支店レベルで、地域の自治体やイベントと共同で開催することができる組織をつくりました。取り組み例としては、B級グルメなどを使用した「町おこし活動」を競うイベント「B-1グランプリ」への協賛があります。また、スーパードライを買うと、売上から1円を寄付して、地域の環境保全に役立てましょうというキャンペーンもやっていました。
図表1.【アサヒビール】Webサイト地域プロモーション
 一方、2007年からは「地域のお客さまを増やしていこう」という発想でWebサイトを使った地域プロモーションを立ち上げました(図表1)。アサヒビールのHPから、「地域・お店・工場見学」と書かれたアイコンをクリックするとエリア情報ページが出てきます。ここでは、注目のお店や地域のイベント情報を見ることができますが、47都道府県全部のページがあります。検索もできるので、例えば「沖縄でアサヒスーパードライ エクストラコールドが飲めるお店」を探すことも可能です。地域のおいしい特産物情報や、観光案内など、地域と連動した情報があって、さらにお店も探せるというような機能を持っています。実際、埼玉県のページに行くと、埼玉のB級ご当地グルメ王決定戦の情報や、ウズラの卵を専門としたお店の情報などを見ることができます。そして、ビールの飲み方も提案することで、ビールの価値を上げるような情報を提供しています。今ではおよそ1万5,000店の情報が検索できるようになっています。
 このHPを運営しているのは、アサヒビジネスソリューションズという子会社です。アサヒビールの地域支社にはそれぞれ企画部があるのですが、この企画部とアサヒビジネスソリューションズが連動して、各県のページを作っています。各県がそれぞれ作成しているところが特徴的だと思います。
図表2.【アサヒビール】プラットフォーム
 整理すると、図表2のようになります。業務用のビジネスを基本に、プロモーションとチャネル戦略にプラットフォームをうまく入れ込んだ形です。通常、飲食店や居酒屋は自分たちで顧客を集客していますので、それなりのコストがかかります。アサヒビールの強みはこれまでに培った130万人のスーパードライファンです。この130万人をうまく利用して、1万5,000軒ある飲食店と一般のお客さんまで含んでつないでいるのです。
 集客は本来、飲食店の努力でやらなければいけないですし、アサヒビールも自力で売らなければならないのですが、それを連動させています。しかも、地域の資源ということで、ご当地名物や特産品などと連動しながら、よりビールをおいしく飲める提案をしています。自治体と共同キャンペーンを組んで、サイトをつくっています。そうすると、ビールの価値が上がるので愛飲者も増えます。そうすると、ますます飲食店も増えてくるという好循環になっています。はじめ4,000店だったものが、今では1万5,000店にまで増えています。ちなみに、「ぐるなび」に登録されているお店が10万店弱ですので、そこと比べても2割ぐらいの数です。
図表3.【アサヒビール】成功のポイントと課題
 ポイントを整理すると、図表3のようになります。ひとつ目は、地域の飲食店や地域資源の活性化を通じてビールを拡売することです。とにかく地域の活性化というところを念頭に置いています。地域に軸足を移しながらお客さんを集め、次にビールのブランド価値を高める関与者として、自治体と組んでイベントを催したり、ビールをおいしく飲む方法を訴求したりしています。ふたつ目は、「エクストラコールド」や他のアサヒの特定ブランドを扱っている「おいしく飲めるお店」を紹介するなど、アサヒのブランド価値を上げていくような所と組んで、関与者を広げていることです。三つ目に、これが大事なのですが、ビジネスソリューションズという子会社と支社の企画部が、ネットとリアルを融合した事業やイベントを組んで、この中に入れ込んでいることです。単独でエリアごとにサイトをつくっていくときは、これが意外と苦労するのですが、企画部と連動しながらイベントを仕掛け、ホームページに載せて、お客さまにアプローチするところがポイントだと思います。
 今後の課題としては、まだ130万人しか会員がいないので、コカ・コーラパークが持つ1,100万人ぐらいまでに会員を広げていきたいところです。そうすることによって、参加する飲食店をもっと増やしていけるのです。また、アサヒビールはこのHPでは利益を出していないので、課金システムを構築することを考えていくことも、今後のポイントだと思います。

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>> 前半:市場プラットフォーム発想で、ビジネスモデルそのものを変える





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