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シリーズ ワンランクアップ消費へのサクセス企業インタビュー 
「アマダナ」
 こだわりの「美しいカデン」が世界へ羽ばたく


 株式会社リアル・フリートの主力ブランド「アマダナ(amadana)」は、2003年のブランド立ち上げ以来、上質なデザインを特徴とする家電製品を次々と発表、電子計算機、ドライヤーといったヒット商品や、コンセプトをダイレクトにユーザーに伝える直営店の存在もあいまって、確実にファンを拡大してきた。2008年2月1日にはNTT DoCoMoから「amadanaケータイ」N705iが発売され、限定モデル「N705i Limited Edition 5000」は、2007年12月1日の予約開始から2日で予定数を完売するなど、好評を博している。いっそうのブレイクが予想されるリアル・フリートの代表取締役 熊本浩志氏にお話をうかがった。

構成

1.マスで捉えきれない消費者に向けゼロからのスタート
2.熱烈なファンを抱えるアマダナの魅力の源泉
(1)「何となくアマダナ」に象徴される数値化できない魅力
(2)トースターにスピーカー こだわりのものづくりがファンをつかむ
(3)「表参道ヒルズでトースターを買う」を当たり前にした直営店展開
(4)顧客が顧客を呼び、ブランドを育ててくれる
3.規模を追うより世界に誇れるブランドを目指す



1.マスで捉えきれない消費者に向けゼロからのスタート
─── 「アマダナ(amadana)」ブランドは、2003年の発表以来、「美しいカデン」をコンセプトにオーディオ機器からキッチン家電まで幅広く展開され、そのデザイン性が高い評価を集めて急速な成長を遂げておられます。
アマダナ略年表
アマダナ ホームページより抜粋
熊本氏 我々の製品はよくデザイン家電と呼ばれます。ですが、我々の目的は「格好いいモノ」をつくって、「格好いい人」たちに「格好よく売る」ことではありません。現在の家電メーカーのマスプロダクトの製品に満足していない人たちに向けて、「ここの製品じゃないと嫌」と言ってもらえる製品を提供することが、我々が会社を立ち上げた意味であり、存在価値だと思っています。
 現在の日本の家電業界は、変わってきた時代や消費者にフィットできない構造になってきています。
 ひとつは、マスマーケティングの問題です。マスマーケティングにはマスマーケティングの価値がありますが、今やそれだけで完結する時代ではなくなりました。自動車ならば、コストパフォーマンスの高い「カローラ」だけでなく、作り手のこだわりが感じられる「ポルシェ」もあれば他にも色々選択肢があります。けれども今の家電業界は、消費者の観点からみると圧倒的に選択肢が少なくなっています。
 これは、家電の系列店制度が弱体化したことと関係があります。系列店制度が機能していた頃は、多くのご家庭になじみの電器店がありましたから、自然と家庭内の家電製品がその系列店の扱うメーカーのもので揃っていくことになりました。メーカーはブランドを育てることもできましたし、これがいいと信じたものを世の中に送り出すこともできました。特徴のあるものづくりも可能でしたし、挑戦もできました。ものづくりに「夢」があったとも言えます。
 ところが、系列店が弱体化したことで、メーカーと消費者が分断されてしまいました。消費者のニーズを汲み上げるといっても限りがあり、リサーチで平均点が高いものが製品化されていくようになりました。そういう製品は10人中8人が「良い」と言ってくれるでしょうが、そこから漏れてしまったものにも必ずニーズはあるはずで、満足できない消費者は取り残されてしまいます。
 もうひとつは価格の問題です。今、電子レンジは1万円で買えます。Tシャツ1枚に1万円を出してくれる消費者がたくさんいる時代ですが、電子レンジもそれと同じ値段なんです。電子レンジが一般に普及した20年前は20万円程度しましたが、この20年間で価値が20分の1に下がってしまったことになります。これは家電業界特有の問題で、同じ高度な技術を使っていても自動車だったらそんなことは起こり得ません。これだけ市場価値が下がると、メーカーが利益を出すのは非常に困難です。こだわりのあるものづくりをしている余裕はありません。
 家電メーカーや流通は、消費者のニーズや時代に合わせて変わろうとしても、流通側には製造の機能がありませんから限界があります。一方のメーカーも消費者との接点がなくなっていますから変われません。今の家電を取り巻く状況は、消費者にとっても、メーカーにとっても、流通にとっても厳しいものがあります。
 ただし、日本の家電業界には世界で見たときに圧倒的なアドバンテージがあります。それは20世紀に培った技術力です。マーケットでは中国や韓国のメーカーに負けていても、技術力で日本に勝てるところはありません。確固たる技術力があって、今までずっと培ってきた「日本ブランド」というブランド力もありますから、再生の余地はあるし、非常に魅力的な業界でもあるわけです。
 我々は手元に何もない、ゼロからのスタートでしたが、「家電」というジャンルは参入障壁がとても高い業界です。金型で量産する以上、イニシャルコストはどうしてもかかります。電卓なら電卓、電話なら電話のような単一商品に特化した専業メーカーなら商売として成り立つかもしれませんが、それでは我々がアマダナをやる意味がないと思っています。お客さんに選択肢を提供することで、どれだけ生活が変えられるかというのが重要だからです。
 アマダナは、マスマーケティングでは捉えきれない消費者にフォーカスしようと思っていました。たとえ10人中5人が否定的でも、10人中2人が劇的に愛してくれるものにフォーカスするビジネスが成り立つはずだし、そういうビジネスがあることで家電業界全体もより良くなるはずだと思っています。今の硬直した状況から、新しい構造ができるとか、より皆が満足できるものづくりができるとか、そういうきっかけのひとつになれればいいと思って、アプローチをしています。

2.熱烈なファンを抱えるアマダナの魅力の源泉
(1)「何となくアマダナ」に象徴される数値化できない魅力
─── アマダナブランドのキーワードとして「何となくアマダナ」と発言されていますが、どういう意味なのでしょうか。
デスクトップ電子計算機「美計美算」
アマダナ ホームページより転載
熊本氏 「何となくアマダナを買ってしまった」と言われるようにという意味です。顕在化されたニーズだけを見ながらものをつくっていくということに対して疑問を感じていましたので、買った理由は明確に説明できなくても、「アマダナが好き」と思って買ってくださるようにしたいということです。
 「アマダナの魅力は何ですか」と訊けば、「デザイン」という答えが返ってくると思いますが、もう一歩踏み込んで「ではデザインがいいというのはどういうことでしょう」という問いには答えられないと思うんです。色とか形とか、女性だったらかわいいという表現を使われるかもしれません。でも、デザインというのは、色や形だけでは説明しきれないもっと大きなもので、例えば触ったときの重量感・質感だったり、使っている時の音だったり、そういうものを全て含んでいると思っています。そういったものひとつひとつを突き詰めていくときの微妙なさじ加減が、センスであり、感覚であり、我々の戦略です。
 先だって某大学院でアマダナのビジネスモデルをケーススタディで取り上げていただいたんですが、世界中から来られた100人程の中で、2人だけ我々のビジネスに否定的な受講生がいました。彼らは、「何が『価値』なのかわからない」と言いました。「アマダナの『価値』はデザインがいいことだと思うが、デザインは模倣されるものだから、アマダナの『価値』は『価値』と思えない」という意見でした。そこで逆に私から「ではデザインがいいとはどういうことなのか教えて欲しい」と質問してみましたが、「分からない」と言って答えられないんです。ですから私は、「それでいいと思う」と言いました。「お客さんはものを買うときに、いちいちロジックで考えない。消費は楽しいものだし、お金を使うのは感性だ」と言ったら、笑って納得してくれました。それに、イミテーションが出たとしたら、それはアマダナが大きなブランドに育った証拠ではないでしょうか。
 一橋大学大学院に、見えない価値次元での競争戦略について研究している方がいます。その方によれば、マーケティングを進めていく上で、競争の次元には「見えるか、見えないか」というふたつの価値次元があり、これからは見えない価値次元での競争が重要になってくるのだそうです。見えない価値次元での競争においては、お客様に聞いても答えは得られませんし、作り手の感性に頼らざるを得ない場面が多くなります。我々がやろうとしているのは、そういうことなのかもしれません。

(2)トースターにスピーカー こだわりのものづくりがファンをつかむ
─── アマダナには熱心なファンのいることで知られていますが、その秘密はどこにあるのでしょう。
オーブントースター「オカモチ2005」
アマダナ ホームページより転載
熊本氏 ヒット商品のひとつである電子計算機を例にとって説明してみますと、電子計算機を出す前に、「電卓が欲しい」という人は誰もいませんでした。今の時代、お客さんに向かって「最新の技術であなた方が欲しいと言った通りのものをつくりました」と言って、それで飛びついてもらえるものではありません。
 今までにないこと、ないものを製品化するというのは、我々にとっては当たり前であって、戦略ではないと思います。お客さんが手に取った時、ちょっと満足感を持ってもらうとか、人に見せたいと思うとか、そういうものづくりは数値化できないし、定量的に観測もできませんが、お客さんに「これが絶対いい」と言ってもらえる製品をつくり続けるためには、我々が研ぎ澄まされた感性を持っていないと駄目だなと思っています。
 「アマダナが好きでたまらない」と言ってくださるお客さんを見ていますと、聞く音楽や選ぶ車、遊びに行く場所などに共通点があるんです。そういうところから具体的に肉付けしていくと、価値観をどこに見いだすかとか、どういうところに敏感に反応するだろうかというのが分かるようになってきます。世間で言う「お洒落」とか「ハイセンス」という人ばかりとは限りませんが、きちんとイメージをするというのは、商品をつくる上で顔を浮き彫りにしていくというか、特徴を際だたせていくときにとても重要な要素になるんです。
 家電製品というのは、機能的には飽和状態で、機能で差別化というのは難しいジャンルです。製品の特徴をはっきりさせるためには、「意味のある引き算」をしてあげないといけません。必要な機能がきちんと入っていれば、最新のテクノロジーである必要はないと思っています。
 製品を買うきっかけは、使うと楽しくなりそうとか、かっこいいとか、軽い気持ちだと思うのですが、そこからさらに使ってもらうと、「他とは何かが違う」と思っていただけると思います。それは重量感やさわった時の素材感のようなちょっとしたディテールの積み重ねが醸し出す、オーラというのでしょうか。
コードレス電話機「コール・テリア」
アマダナ ホームページより転載
 例えば電話機で言えば、最初に気づかれるのは、デザインが格好いいとか、受話器部分にレザーを使っているとかだと思いますが、実際に使ってみるととてもしっくりくる重量感だけでなく、使う音声などもきちんとつくりこんでいるんです。留守番電話のメッセージは普通はロボットの音声ですが、それを国際的に有名な女優さんにやってもらっているんです。
 トースターには、デジタルで操作したかったのでデジタルタイマーをつけていますが、そうするとできあがりの音が「チン」ではなく、「ピピピピピ」とか「ブーッ」というビープ音になってしまうんです。でも、トーストができた時の音が「ブーッ」だったらパンはおいしそうに思えないでしょう。ですから、「チン」といわせるためにスピーカーを積んで、いろいろ叩いてみてサンプリングした音のなかから一番いいと思った音を再現しています。
 そういう、今まではこぼれ落ちてしまっていたようなところをきちんとデザインしていくと、使っているうちに愛着をもってもらえるものになるんです。しかもそれを大声で訴求するのではなく、さらっと実現するのがアマダナの伝え方だと思っています。

(3)「表参道ヒルズでトースターを買う」を当たり前にした直営店展開
─── アマダナは、従来の家電商品と違って、直営店やセレクトショップでの販売が主体とうかがっていますが、店舗についてのお考えをお聞かせください。
熊本氏 店頭は、アマダナの魅力を伝える媒体として非常に重視しています。直営店に来てもらうことでアマダナの世界観が伝わっていくと思いますし、セレクトショップであれば、ライフスタイルをトータルに提案していくようなお店できちんと価値を伝えていくということ、このふたつは非常に大きいと思っています。

─── 銀座Velvia館や表参道ヒルズに展開していらっしゃいます直営店も、アマダナらしい美しい空間になっています。
amadana表参道ヒルズ店
アマダナ ホームページより転載
熊本氏 我々のスタート時、製造面でもゼロからの立ち上げでしたが、販売についても同じように、全くゼロからでした。勝算はあると思っていましたが、「ここで売れば確実に売れる」という確信はないままの直営店のスタートでした。直営店は商業ビルに入っていることが多いのですが、アマダナをワンコーナーに置いてくれているセレクトショップも同じように商業施設に入っていることが多く、わざわざ直営店を出店しなくとも条件的には同じなのです。直営店の出店にはリスクも伴うし、それで本当に売上が変わるのかということもありました。しかも、表参道ヒルズのような商業施設で、家電というカテゴリーの店舗を展開するということは、今まで誰もしたことがないので、デベロッパーにも判断がつきません。今では当たり前になっていますが、当初は『表参道でトースターを買う』ということが受け入れられるのか、誰にもジャッジはできませんでした。
 以前、お客さんから「アマダナはどこで買えるのか」というおしかりのようなお問い合せがありました。例えば、自分の好きな服や、多少なりともマニアックなブランドのものなどは、どこで売っているか探して買いますよね。ところが、家電という商品は身近な店舗にあるのが当たり前と思われているのでしょう。直営店を展開していくことでどこで買えるのかというのがはっきりさせられたのと、ブランド認知も上げていくことができたかと思っています。我々にとって直営店というのは、販売をすることと同時に、アマダナの世界観を伝えること、それからお客さんとコミュニケーションをとる場として非常に大きい役割を占めているので、今後も展開していく予定です。

(4)顧客が顧客を呼び、ブランドを育ててくれる
─── アマダナの商品ラインは、電子計算機などのパーソナル家電に始まって、冷蔵庫、こたつ、ドライヤーなどに拡大しています。ことに冷蔵庫などは衝動的に購入する商品ではないだけに、ファン層の厚みにも手応えを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
熊本氏 大手メーカーですと単品でどれだけ儲かるかとか、1年という期間でどれだけ投資が回収できるかというのが判断基準になるかと思いますが、我々の場合はもっとロングスパンで考えています。最終的にファンにどれだけファンでありつづけてもらえるかということはすごく大事なことなので、そのためには住生活の中で絶対に必要な家電製品をきちんと提供して満足してもらうというのが我々の使命だと考えています。そういった意味で冷蔵庫は間違いなく必需品ですし、白物家電の王様ですから。
 キッチンは住空間でははっきり区切られる部分で、冷蔵庫やオーブンレンジ、トースター、炊飯器などはトータルでキッチン商品群としてくくられるんですが、冷蔵庫を買われた方はそのトータルのコーディネイトをとても重視されている気がします。冷蔵庫を買われた方はオーブンレンジを買われるとか、オーブンレンジを買われた方は次はトースターを買いに来られるとか、そういう相関がキッチンの場合非常に高いようです。トータルの統一感というマーケットニーズが強いのは実はキッチンなのかもしれないですね。

─── 「見られる」ことを意識した商品から、プライベートも含め、より住生活のシーンをカバーする方向へラインを展開していくということでしょうか。
熊本氏 実は、アマダナを買ってくださる人というのは、純粋にパーソナルなシーンで使うというより、非日常、あるいは見せて使うという場合が多いのです。ドライヤーや冷蔵庫も気づかないだけで、意外と見られるシーンがたくさんあるものです。例えば、別荘だったり、ドライヤーであればホテルの備品だったり、美容室だったり、冷蔵庫であればオープンキッチンの飲食店もそうでしょう。
 電話や電子計算機も同じです。例えば、東京ミッドタウンには直営店はありませんが、テナントさんが使っていますからアマダナの電話や電子計算機はたくさんあります。スーパーブランドの店舗でアマダナの電子計算機が使われていたら、お客さんは「ああ、アマダナなんだ」と思ってくれます。ブランドのイメージには大きなプラスですよね。

─── お客様がお客様をつれてきてくれるという構図ですね。
熊本氏 そうです。「あそこで使われているなら」とあこがれを持ってもらえる使われ方もしています。だからその人たちを大事にしなきゃいけないし、その人たちが劇的に愛してくれるものを売りつづけるというのが使命じゃないかと思っています。

3.規模を追うより世界に誇れるブランドを目指す
───  アマダナの業績は04年の1億5,500万円から、07年は15億円と驚異的な成長を遂げています。その成功の鍵はファンづくりにあるということでしょうか。
熊本氏 まだ「成功」という感覚は全然ありません。家電市場のシェアからいえば1%以下ですし、売上は伸びると予想していましたが、まだ消費者に満足してもらえるだけの規模には到達できていません。
 ただ、ファンの方が多くついていただけたのは大きかったと思っています。ファンというのは、数値化できるものではありませんし、売上や利益にも間接的にしか反映されませんが、我々にとってはとても大きな資産だと思っています。アマダナが好きでたまらない人をお客様に持てたというのは、我々がアマダナを立ち上げた時の狙い通りです。こういう人たちが最終的にアマダナを支えてくれると思っていますし、ブランドを広めて、次のファンも連れてきてくれます。

───  お話をおうかがいしていて、とてもファンを大事になさって商品をおつくりになっていらっしゃることが分かりました。ユーザーさんひとりひとりの顔を思い浮かべて丁寧なものづくりをし、店頭まで細かく神経をつかっていらっしゃるのが分かります。
熊本氏 ひとりのファンを大事にするというのは、最もマスプロダクトからかけ離れた考え方だと思いますが、常にお客さんとコミュニケーションをとるいうのが、ビジネスモデル的にもとても必要なことだと思っています。最終的にはそこが一番大事な部分じゃないかなと思っていますので、そこはやっぱりこれからも変えずにやっていかなきゃいけないと思っています。お客さんとダイレクトにつながっているということは、流通を圧縮していくということでもあって、アパレルでいうSPAに近いですが、収益の面でもひとつの鍵になっていくことは間違いないでしょう。最終的に支えるのはファンだし、ファンが最終的にはブランド認知させてくれますし、次のファンも連れてきてくれます。
 もちろん国内だけではなくて、世界にファンを広げるというのも、ブランドとして大きなテーマだと思っています。

───  07年9月には海外への本格進出を発表していらっしゃいますが、世界市場では欧米のデザイン家電メーカーも数多く進出しています。
熊本氏 デザインにこだわる、というのは、イタリアなどのヨーロッパのメーカーでは当たり前の部分なんです。ただ、どこに行っても家電の場合、「from Japan」というのは、強みです。

───  最後に、今後のアマダナの目指すところについてお聞かせください。
NTT DoCoMo N705i 限定モデル brownish wood
アマダナ ホームページより転載
熊本氏 今までこのブランドをやってきて、ラインナップを広げていきながらブランド認知を高めていくというフェーズが終わって、これからは単品ごとに一個一個力強いキラー商品を出していくというフェーズに入るのかなと考えています。携帯電話もそうですが、ある意味ドーピングをせずにブランド認知を広げていって、今までのファンの人たちにも満足してもらえるものを提供するし、まったく知らない人たちが初めてアマダナを使うきっかけにもなるし、知ってたけど使ってない人たちにも初めてアマダナを使ってもらえる機会にもなるし、いろんな接点があると思っています。そういういろいろなところからアマダナというものに入っていくチャンスになってくるので、フェーズとしては、今までの立ち上げの時期から、第2フェーズ、成長フェーズに入ってくるんじゃないかなと思っています。
 アマダナは決してアンチマスでやってきたわけではなく、自分たちが満足するようなものをつくり続けてきて、それで評価をしてくれる人たちがいて、それが広がることにはなんら違和感もありません。いろいろな意味で「上」の層だけを狙っているつもりもないですし、いろいろ派生して、広がっていくのは健全なことだと思っています。もちろん、規模的にソニーさんや東芝さんや松下さんを目指すのかといえば、そういうわけではありません。単に規模よりも、世界中のファンがもっとファンでありつづけられるようなブランドでいたいなと思いますし、それが日本の誇りというか、「アマダナをつくる日本人はすごい」と思われるようなブランドにしていきたいですね。
 ただ、価格競争に持ち込む気はないですし、さっきもお話したように、今の日本の家電業界は時代や消費者にフィットできない構造になってきていますから、アマダナで業界の活性化をするというのはひとつの夢ですし、それを追って続けていければいいと思っています。

─── 本日はどうもありがとうございました。

インタビューを終えて

シャープで美麗なデザインの裏にあるブランドの哲学に強く感銘を受けたインタビューだった。
ユーザーひとりひとりの「顔」を思い浮かべながら丁寧につくりこまれた商品を、ブランドの世界観を伝えるショップで販売、結果ファンがファンを呼んでブランドが育つ。そこにあるのは、お客様への「共感」だ。
アマダナというブランドの自体が大手家電量販の巨大なバイイングパワーによって疲弊した日本の家電業界へのひとつの提言なのだと思う。コモディティ化しつつある家電製品に、確実に一石を投じたアマダナはまさに今世界に羽ばたこうとしている。
聞き手(西堀洋子)

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