W杯のコートジボワール戦敗北の
戦略的読み方

2014.06 代表 松田久一

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01

口惜しいのである

 W杯に悪ノリしてコンテンツを書いている。自分の戦略論がどこまで通用するかを検証するためである。コートジボワール戦は順当な負けである、などと軍師ぶっている場合ではない。コートジボワールに2-1で負けた。口惜しい!!実に口惜しい!!なぜ、負けたのか。サッカーの玄人の方は別の専門コンテンツを読んで頂ければよい。サッカー観戦からビジネス戦略思考を学んでみようと思われる方は歓迎である。私は、自分のもっていた戦略仮説が無残にも棄却されたことが口惜しい。実践されなかったことが口惜しい。いや違う!日本人として日本代表が負けたことが口惜しいのだ。

02

ヤヤ・トゥーレが先発するの?

 私のみる敗戦要因は3つである。

 ひとつ目は、「ヤヤ・トゥーレ」が出るの?である。

 なんと、中盤のエースのヤヤ・トゥーレが先発で出場した。故障で先発出場は無理と報道されていたのに何これ!この布陣に、ザックは、少々、慌てたのかもしれない。いつヤヤ・トゥーレ出場の情報がザックに入ったのかはわからない。フランス出身のラムシ監督に情報戦でやられた。ナポレオンの軍事文化を背負う機動戦法である。Strategic Deception(戦略的機動)、つまりは、「だまし」のことである。

 ザックは、先発の中盤を故障から回復途上にある長谷部投入で守備的な布陣に変えた。でも、守備的組織にすれば、チームに与えるメッセージは守れ!である。あれっ!,攻撃的サッカーのコンセプトはどうなるの?これじゃ、人も、金も、物もつけずに、新規事業に最重点を置くと言っているどこかの社長と同じじゃん。何がやりたいかわからん。社員はメリーゴーラウンドで目眩がする。選手も迷っただろう。

 しかし、セットプレーからの本田の個人プレーで胸のすく先制点が決まる。ここから流れが変わってくる。日本代表は、先制して攻勢にでるどころか、守勢にたってしまう。ヤヤ・トゥーレが活躍した訳ではないが、中盤がまったく機能せず、ボールがつなげない。そして、膠着状態が続くことになる。