眼のつけどころ

高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?
-MSP事業創出作法(4)

2018.05.16 代表取締役社長 松田久一

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市場プラットフォームビジネスモデルの成功の鍵

 市場を再定義し、新たな関与者や潜在的な関与者を発見し、市場の二面化を可能にするプラットフォームを構想する。それを事業評価する上で欠かせないのは、成功の鍵を予め分析しておくことである。

 再び、普及しつつある「AIスピーカー」、あるいは「スマートスピーカー」で考えてみる。

 この製品は、市場導入期であり、普及率は1%にも満たないだろう。世界的には、アマゾンエコー、グーグルホーム、グーグルアシストを搭載したソニーなどの製品、さらにはアップルも参入する予定である。LINEのクローバも参入している。価格は、1~3万円程度である。

 現在の機能では、AIスピーカーがアシストできる分野は少なく、他の製品のコントロールやメールなどとの連携は難しい。そのため、家電のように誰もが使えるまでには至っていない。しかし将来、家庭内の家電などに容易に繋がれば、生活アシスト機能は格段に上がり、エレキ製品はすべてAIスピーカーとの互換性を要求されることになる。この機能を充実させることを事業目的とするなら、関与者は膨大な数になる。現在のスマホのアプリ以上の関与者になるだろう。

 アマゾンエコーやグーグルホームでは、すでに多くの企業が、連携機能を「アクション」や「スキル」などの名称で無償提供している。両社には、連携機能の互換性はなく、関与者の開発環境(ソフトウェアプラットホーム)や提供方法も異なる。

 まさに、「マルチプラットフォーム競争」である。この場合は、開発環境であるソフトウェアプラットフォームが、ハードとともに関与者を結びつける共通機能になって、関与者を結びつける「市場プラットフォーム」になっている。

 この三面市場の成功の鍵は何だろうか。関与者は、ハードを提供するメーカー、連携機能を提供するアプリ供給者や連携ハード供給者、そして利用者である。プラットフォームは、AI技術に裏付けられたアクションやスキルの提供システムである。