眼のつけどころ

20年後の地方をどうするか?-超産業としての農業

2017.05 代表 松田久一

 地域経済をどう活性化するか。日本の大きな課題であり、同時に企業にとっても市場を攻める上で重要である。どの地域に重点を置き、見極め、見切り、撤退するかである。

 地域区分と数にはいろいろある。ひとつは、1,000という数字がある。ほぼ小学校の学区と総合量販店や食品スーパーの数に等しい。300という数字もある。日本の市の数は、790だ。これは江戸時代の諸藩を、基礎にしたものである。江戸中期の徳川吉宗時代、米価を維持するために特産品奨励策をとったことで特徴的な農水産物がある地域区分である。それから現在の47都道府県という明治以降の中央集権体制を維持するための行政区分がある。

 それでは、地域経済を考える上で、どの区分をとればよいのか。恐らく、人口減少に歯止めをかけ、自立的な経済単位で生き残ることができ、交通、水道、電気、ガス、病院などの社会の基礎インフラを維持可能な区分である。人口30万人の地域的なまとまりである。その数は、行政区分の数で約70、経済的つながりではおよそ100地域である。

 このおよそ100地域をどう活性化するかである。現在の行政の行っていることは、70年代と変わらない。

 行政機関が、道路などの交通網や工場団地を整備し、「東京詣」で大企業の工場誘致をすることである。工場誘致をすれば、部品供給の中小企業も進出し、雇用が確保され、住宅が売れる。そして、ロードサイドに様々な大規模小売業の店舗ができ、雇用が拡大する。こうして、エレクトロニクスや自動車のアセンブルを行う二次産業基軸の地域経済が形成された。

 現代のメーカーの戦略からみれば、この手法はもうとっくに終わっている。エレクトロニクス産業は、約10年で売上をおよそ10兆円落とした。「家電御三家」が崩壊しても、原子力と半導体で生き残ると思われた東芝も、やはりダメだった。

 まだ競争力を持つ自動車産業が、日本を拠点に大規模なアセンブル工場を新設する計画はない。消費者の多いグローバル地域への「出前進出」が基本である。

 結論として、もはや製造業などの二次産業依存の地域経済を維持することは全国的には不可能である。

 二次産業から脱却して、農業を基軸とした「超産業」構造へ変えることが重要だ。日本全体を経済的なつながりで100程度に区分し、この地域の農水産物の特産品を基礎に新たな産業構造改革を行う必要がある。農業などの第一次産業比率は約1%、5兆円であり、ほとんどの農業従事者は65才以上である。

 しかし現状では、先のない「絶望の農業」と呼ばれる。実際、労働基準法が適用されない農業は、時給で100円を切る農産物もある。高齢層が担っているからこそできる超労働集約産業である。この農業が、地域を活性化させる力を持っている。その根拠は三つある。