眼のつけどころ

「真実性以後」のブランド再構築のとき

2017.03 代表 松田久一

還暦ブランドが多くなる?

 日本の多くの消費者向けブランドが還暦(60年)を過ぎたり、迎えたりしている。これらのブランドは、戦後復興や高度成長を経て、団塊の世代とともに歩んできた。今、この成熟ブランドの活性化策に頭を悩ますマーケターは多い。実際、日本を代表してきた食品、化粧品トイレタリー、家電などのブランドは総崩れだ。

 しかし、何を課題に、どう解決していくかを考えると、たちまち迷路に陥る。せいぜい流行のタレントを起用したり、駄洒落でインパクトのあるCMをうったりすることしか考えられない。

 なぜ、新しい解決策の発想が生まれないかは、マーケティングの発想がアメリカの「テキストマーケティング」に依存しているからである。このテキストからみると、1960年代に生まれた日本のブランドは実に「おかしく」見える。ちなみに、ブランド(銘柄)とは、ネーミング、ロゴマークやイメージによって、ブランディングされ、他社製品と差別化され特徴づけられた「ジェネリック製品」のことである。


 テキストに基づけば、ネーミングに「ブランド名」と「メーカー名」をつけるのはおかしい。アメリカでは絶対にこのような手法はとらない。ブランドのポジショニングが情緒的過ぎて明確でない。広告宣伝よりも営業に桁違いの費用を投下する。

 このように問題を捉えた上で、やはりテキストしか知らない「プレゼンスキル」だけは高いコンサルタントを活用し、組織改革を行って、権力を自分に集中し、事業本部や営業本部などのテキストにはない日本型組織構造を変える。そして、事業分野別・商品カテゴリー別・ブランド別の三層の組織構造にする。こういう組織は、責任と権限が明確で、経営者としては管理が楽だ。

 「ブランド」を、市場成長性とシェアでポジショニングし、「ブランドポートフォリオ」を描き、キャッシュフローが最大化するように標準戦略を、事業分野を担当する事業部長に指示し、事業部長はカテゴリーマネジャーに施策を立案させ、カテゴリーマネジャーはブランドマネジャーにマーケティング施策を指示すればいいからである。そして、ブランドが成熟すれば売り、売上が減った場合はマネジャーを変えればいい。

 これが会社の文化や組織風土に合えばいいのだが、現実はそうはいかない。本当の答えをださないで、取引先を集約し、コスト削減し、決算書に化粧をし、ブランド力を低下させて、国内シェアを低下させても、為替変動でリスキーな成長する海外市場で売上をあげ、居座る経営者も多いのも事実だ。

アメリカのテキストマーケティングでは答えがでない

 しかし、これは本当の答えではない。消費者にとっても、従業員にとってもうれしくない。テキストからみると、戦後生まれの古くさい日本のブランディングには日本市場と社会的な理由がある。