I. 消費社会をどう読むか

1.消費トレンドを読む

眼のつけどころ
セブン、鈴木会長退任
問題の本質は「お家騒動」ではなく生き残り戦略をめぐる争い

2016.04 代表 松田久一

 7日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)が退任を発表した。同日の取締役会で、鈴木会長が主導して策定したセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO)を交代させる人事案が否決され、その責任を取った。背景には、鈴木会長の次男で、同社のオムニチャネル戦略の責任者、鈴木康弘取締役への世襲を考えていたのではという憶測がある。一方で、鈴木会長と創業家の伊藤雅俊名誉会長との関係性の変化も指摘されており、鈴木家VS伊藤家のお家騒動と見る報道も多い。しかし、その根本は、将来のセブン&アイの戦略をめぐる争いである。戦略の実行は、人、予算と資産の配分を変える。特に、人は、組織の権力を再配分することになる。

 セブン-イレブン・ジャパンの井阪社長の交代案は、3月に設置されたセブン&アイの指名報酬委員会に諮られた。社外取締役の委員から反対があり、議論はまとまらず、創業家の承認と株主総会で決することなった。しかし、鈴木会長はこの交代案にこだわり、7日の取締役会に提案した。結果は、7人が鈴木会長の案を支持し、2人が棄権、6人が反対となった。役員会で過半数を得られなかった。これを受けて、流通の「カリスマ」は退任を選択した。「モノ言う株主」である米投資ファンド、サード・ポイントや、セブン&アイの社外取締役の存在も、大きく影響したとみられている。海外の反応としては、鈴木会長の記者会見などでの言動を大人げない(Childish)と見る向きもある。結果として、同社のガバナンスの古さと弱さを露呈することになってしまった。

 一連の騒動を、どう解釈すべきだろうか。メーカーなどの取引先にとっては、人事も重要だが、問題は戦略である。