眼のつけどころ
マツコに学ぶ マス宣伝成功のカギは「下から目線」

2016.02.01 代表取締役社長 松田久一

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 商品・サービスを売る。それは、顧客をどのように説得するかということです。マスメディアのない時代には一対一の対面販売が主流でしたが、現在は一対多、一対ネットワークというように不特定多数の顧客を説得することが必要です。その方法として有力なものが、やはりテレビなどマスメディアを通じた顧客説得です。

 一昔前と比べてテレビCMは効率が徐々に低下し、マス広告を出しても、ものが売れなくなっています。また逆に、宣伝をしないで売れる商品も数多くあります。新聞広告でヒットにつながった商品は、アサヒビールのスーパードライが最後だといわれています。テレビCMも説得効率が低下しています。

 ただ目立つ広告を繰り返して、GRP(延べ視聴率)を上げるというプロモーションはもう通用しません。説得以前に、嫌われないCMを作り上げるために、CM制作のクリエイターは苦心惨憺しています。

 不特定多数を相手にできるのがマス広告の強みですが、現代における上手なマス広告のポイントは、特定層を狙うことです。例えば、金融資産1億円以上の人に商品を告知するために、リストを集めてDMを送るよりも、テレビCMを流す方が、ひとり当たりのリーチコストは安くなります。

 日本では、9割以上の人が自分を中流と意識しています。しかし、実際には年収1,000万円以上の人が減少する一方で、300万円以下が増えています。そういった状況の中で、自分を「中の上」だと意識する人が増加し、階層意識が強まっています。この意識を理解した上で、マス広告を通じた説得をする必要があります。