I. 消費社会をどう読むか

1.消費トレンドを読む

眼のつけどころ
2016年の消費を読む

2015.12 代表 松田久一

 今年最後の「眼のつけどころ」は、消費水準と消費トレンドのふたつから2016年の消費を読んでみたいと思います。外的要因だけから考えると、消費水準が2014年の消費増税前の水準に戻るのは厳しそうです。また、消費トレンドは、「中の上」に属する人たちによる「張り合い消費」が消費を牽引していくのではないかと見ることができます。

 消費水準は、収入の中から消費に回す割合を指す平均消費性向という指標を使って説明されることが多いです。この平均消費性向は、消費支出を可処分所得で除することで計算されます。2015年10月分速報の家計調査を見ると、2人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は約28万2,000円、勤労者世帯の実収入が約48万5,000円です。前年同月比では、今年4月にプラスに転換しましたが、その後はマイナスとプラスを行ったり来たりしています。

 しかし、増税前の2013年同月比では、消費支出は一貫してマイナスが続いています。つまり、消費は増税前の水準には戻っていないというのが現状です。

 一般論として、消費水準は生涯収入と生涯支出の予想が大きく影響するといわれています。大卒の生涯収入は2億5,000万円程度です。この予想が増えれば、消費水準は増加します。年金も将来人口減少が予想されているので、期待は薄いです。預貯金の金利についても同様に期待できません。

 以上のような見通しやアメリカの利上げ、日本の金融緩和などの影響から、次は収入面を見てみます。円安で企業の収益は上がり、それに伴い株価も上昇しました。しかし、恩恵を受けたのはごく一部です。また、企業が賃上げに動く可能性も低そうです。なぜなら、収益性の確保のため、外国企業のM&Aに投資すると考える経営者が多いからです。