I. 消費社会をどう読むか

3.時代の流れを読む

【ジェネレーショノミクス】 ザ・サイドストーリー

2013.10 代表 松田久一

 世代によって経済が動くだけでなく、涙も、マネー嫌いも世代で変わる。

 泣き虫から泣かない日本人へ。マネー嫌いからマネー好きの日本人へ。

 江戸幕末から2030年の未来の日本人を世代論で読む。

 - 経済世代学(ジェネレーショノミクス)のもうひとつのストーリー -

図表

 「ジェネレーショノミクス(Generationomics)」とは、「ジェネレーション(Generation)」と「エコノミクス(Economics)」を組み合わせた新しい造語です。世代論をベースとして、主に経済現象を分析し、新しい知見や知識を得ようとする学の意味です。

 2013年11月20日に東洋経済新報社より公刊された『ジェネレーショノミクス-経済は世代交代で動く』では、経済現象を世代論で分析するために必要な概念定義を行っています。そして、統計的な実証方法で世代論を裏付け、社会科学のツールとして基礎づけました。さらに、主に20年世代区分を用いて、日本経済の計量予測ではなく筋書きを描き、来るべき「黄金消費経済」への条件を明らかにしました。

 さて、本コンテンツでは、経済現象には収まらなかった人間の心理や、世代論の持つ循環史観についてオープンにします。いわば、『ジェネレーショノミクス』のサイドストーリーです。内容としては、泣くという心理や感情、お金に振り回されて心が失われることについての世代分析を行い、最後に、世代論と親和性の高い循環史観による現代と未来の解釈を試みています。

 随分と大風呂敷を広げてしまったのですが、これもひとつの挑戦的な試みとしてご理解頂ければ幸いです。そして、世代論に何らかの面白さを感じて頂くことができれば、望外の喜びです。なお、『ジェネレーショノミクス』と併せて読んで頂くと、世代論の面白さはより広がると確信しております。

世代論からみた日本人の涙 ― 泣かなくなった日本人

 第1回 日本人は「泣き虫」か?
  -俗説から日本人の感情を探る
  -「女性は男性よりも泣く」は本当か?
  -男女差は「環境の差」か「感受性の差」か

 第2回 人はなぜ泣くのか
  -「年を重ねると涙もろくなる」は本当か?

 第3回 世代分析で世相の変化をとらえる
  -日本人はよく泣くようになったのか?
  -世代分析で世相の変化をとらえる
  -日本人が泣かなくなった理由
  -ひたむきさに心を打たれる国民性
  -国民性は世代交代する

世代論からみた日本人の「カネ嫌い」― 変わる他人への信頼

 第1回 マネー嫌いの世代論
  『ヴェニスの商人』とマネー嫌い
  マネー嫌いの文化人類学的起源

 第2回 変わるマネー観――信頼感との関係
  心の豊かさより経済的なゆとり、世の中はすべて金、機会平等なら格差容認
  世代交代で変わる格差認識、競争意識、自助意識、政府や他者への信頼感
  政府への信頼感とマネーの関係

世代論からみた「明治維新から2030年の未来」― 循環史観で先読み

 第1回 歴史も世代も繰り返される
  世代にはタイプがある
  世代は循環する
  20年ごとの世代配列が時代を生む
  歴史サイクルは80年でひとまわり
  「歴史」は繰り返しの積み上げ

 第2回 日本をつくりあげた世代
  世代の日米比較
  日本の転換世代とアメリカのミレニアム世代

 第3回 世代から見た歴史――21世紀のヴィジョンとは?
  明治維新と立国
  大国日本の興亡
  近代を越え、ポストモダンへ
  歴史から学ぶ-ふたつの教訓

[2013.10 MNEXT]

書籍イメージ

2013.11 東洋経済新報社 発行
定価 1,800円+税

ジェネレーショノミクス 経済は世代交代で動く

世代区分の根拠、実証可能性、他世代との相互作用──
社会科学としての世代論の誕生

従来の世代論は面白い。しかし胡散臭い。なぜか――。
本書では、これまでの世代論が抱える問題を解決し、社会科学の分析ツールとして取り組むに値する、世代論の構築を目指す。そして、「嫌消費」から「好消費」のダイナミクスを基に、世代論をベースにした8つのシナリオから将来の日本を展望する。