I. 消費社会をどう読むか

1.消費トレンドを読む

「アベノミクス」で消費は回復するか?

2013.01 代表 松田久一

本稿は、2013年2月21日に弊社にて開催されましたネクスト戦略ワークショップの基調講演に基づき掲載しております。

 昨年末に安倍新政権が発足し、アベノミクスと呼ばれる経済政策には大きな期待が寄せられています。我々は、このアベノミクスの成否は、消費が動くかどうかで決まると言っても過言ではないと考えています。では、どのように消費は動いていくのでしょうか。本日は、1月に行った弊社の独自調査の結果報告も兼ね、マーケッターとしての見解を含めてお話していきたいと思います。

 先日、日経新聞の「専門家に聞く今後6ヶ月の消費」という記事の取材を受けました。2012年10月にも取材があり、その時は「消費は下向き」だと予想していたのですが、2013年1月では「やや上向き」と回答させていただきました。半年間で全く逆の見通しを立てたわけですが、これは、今の景気の局面は転換期だと判断した結果です。

 また、政府が出している景気動向一致指数を見ていくと、景気の浮き沈みがわかります(図表1)。2008年9月のリーマンショック後、大幅に落ちた景気は、徐々に上がっていきますが、東日本大震災を経て、2012年10月に消費税増税が決まった後にまた落ちこんでいます。

図表1.景気動向指数による景気の局面
図表
図表2.戦後の景気循環パターン イメージ図
図表

 この景気循環のパターンを図にすると、図表2のようになります。谷と山があるのですが、平均をとると拡張期間は約36ヶ月(=3年)のようです。「この20年間はずっと景気が低迷していて、景気循環なんてなかった」と思われる方もいるかもしれないですが、それは名目では成長していないからそう思うのです。実質成長率では振幅があるのです。

 後退期間は17ヶ月なので、最近の景気の山は2012年1月だと言えます。ここから後退していくと、ダウンの底は2013年4月だと推測できます。日本のGDPについても、現在は、第3四半期連続でマイナス成長となっています。

 しかし、ここに来て雰囲気が変わっているようです。2013年4月に底をつくという推測が、アベノミクスのせいで早まりそうだと予測されています。また、エコカー減税の反動で大きく落ち込みが予想されていた自動車の需要が、そこまで落ち込んでいないことがわかりました。日本経済は「自動車産業一本足打法」とも言われるので、エコカー減税が終わって需要が急激に下がれば、ぐらついてしまうかと思っていたところ、そうでもないのです。この理由は、"3K"と呼んでいますが、

  1. 軽自動車(Kei-jidosha)が売れたこと
  2. 自動車メーカーは車種別ディーラ制なので、価格コントロール(Kakaku-control)がしやすく、政策減税で安くなった分の値引きが出来たこと
  3. クラウン(Kuraun)などの新車を出したこと

が考えられます。現在はこの三つのおかげで経済が下支えされている状況です。

 そして、4月よりも早く、景気が上向きに転換する可能性が大いに出てきたのです。このような時期にどういうマーケティングを展開すればいいのか、が問題になってきます。

[2013.02 MNEXT]