I. 消費社会をどう読むか

1.消費トレンドを読む

世代論からみた「明治維新から2030年の未来」
― 循環史観で先読み

第3回 世代から見た歴史――21世紀のヴィジョンとは?

2013.12 代表 松田久一

「20年ごとの世代配列が時代を生み、歴史サイクルは80年でひとまわりする」――20年後はどのような世代が活躍し、どのような時代になっているだろうか。明治維新から現代までの系譜を分析し、循環史観で次世代のヴィジョンを先読みする。

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明治維新と立国

 「明治維新のサイクル」は、四つの時期に分けられる。精神覚醒期、高揚内向期、現実危機期、制度再生期の四つである(図表6)。

 1806~1825年は、精神覚醒期である。化政文化が花開き、伊能忠敬の「大日本沿海輿地図」が完成し、日本への認識が形成された。異国船打払令などによって対外意識も高まり、「藩」から「日本」意識が覚醒した時期である。この時期には、天保の大飢饉や寛政の改革下で若年期を迎えて精神形成した大塩平八郎や頼山陽が青年期にあり、社会で活動した。壮年期や老齢期は、旧来の鎖国と幕藩体制のなかで育った世代である。

 1826~1845年は、高揚内向期である。鎖国と幕藩体制からの覚醒に対し、弾圧などの内向きな反動的対応により、対外・対内の両面で抱える危機を、幕府が乗り切ろうとした時期である。大塩平八郎の乱、天保の大飢饉など、対内危機が高まった。内向化した幕府が、蛮社の獄や天保の改革でこれらの危機を乗り切ろうとした時期である。時代の精神が動揺して高揚する期間でもあった。

 1846~1865年は、現実危機期である。まさに幕末、幕藩体制が揺らぎ、壊れていく過程であり、カオス期である。ペリー来航で砲艦外交によって開国を迫られたり、安政の大地震に見舞われたりし、尊皇攘夷が唱えられるなか、幕府は開国を急ぎ、日米和親条約や日米修好通商条約を結んだ。さらに、尊皇攘夷を唱える反幕グループを、安政の大獄で井伊直弼が力で押さえ込もうとするのに対し、水戸藩などの不平浪人は、桜田門外の変で井伊直弼を暗殺した。

 1866~1885年の期間は、制度再生期である。明治維新から開国立国へ向けた新しい制度が再生される時期である。大政奉還、戊辰戦争、西南戦争、自由民権運動、国会開設勅諭、伊藤博文初代内閣総理大臣就任などが主な歴史的事件である。維新による幕藩体制の破壊から明治新政府への創生までの時期である。

 日本が、中国のように西洋列強の植民地にされる危機が続くなかで、藩を越えた長州藩と薩摩藩の連携が起きる。勝海舟、坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通、吉田松陰、木戸孝允は同世代である。しかし、長州藩の山県有朋や伊藤博文らは、彼らの世代と比べてひと世代若かったが、木戸孝允も含め早世した吉田松陰の影響力の強い門下生だったことを踏まえると、大きな意味で世代統一ができたとみることもできる。

 橋川文三は、「ほぼ同年代生まれで同時代の危機体験をした世代が、藩の壁を越えて連携し、薩摩藩と長州藩、そして、薩長土肥連合へと発展した上で、これを基盤に、天皇を頂く雄藩連合を形成し、徳川幕府を倒し、新政府を樹立した」と分析している。橋川は、幕府という枠を世代連帯によって乗り越えて、「日本国」の発見と創出に成功した、と述べている。