GMS業態は、1970代、団塊の世代の「ニューファミリー」スタイル層の増加とともに成長してきた。同じように、コンビニエンスストア業態は、1980年代以降、新しい世代の夜型単身ライフスタイルに必要な品揃えと売り方で伸びてきた。
国勢調査の結果を2005年度と2010年度で比べると、人口は横ばいだが、単身世帯が核家族数を上まわって32%を占め、総世帯数は増加し、5,000万世帯を超えた。単身世帯が増えているのに、これをビジネスチャンスに繋げられないのは、これまでの業態が現在の単身世帯のライフスタイルや買い方に合わないからである。単身世帯は高齢化が進み、若い男性がひとりでも家で鍋をしたり、価格に敏感になって節約をしたりしている。缶ビールとのついで買いなどで衝動買いをすることも減ったと言われている。
そのなかでも最も大きな変化のひとつは買い方である。
確かに、「将来に備えて無駄な物は買わない」という意識は高く、すべての年代層にも定着している。「節約を心がけている」消費者は73%、「節約を心がけるようになった」比率も57%と高い。この傾向は、3.11の震災後も変わらない。「節約疲れ」が起こるような気配はなく、ふだんの生活のなかでライフスタイルとして完全に定着している。
他方で、衝動買いも多い。「食品・飲料での最近1ヶ月内の衝動買い」経験率は52%に上る。特に、男性の44%に対し、女性は61%と多く、女性の子育て期では76%になる。節約と同じように「衝動買い」も定着している。
節約を心がけている消費者が衝動買いもする。それが現実に消費者が買い物をする姿であり、これには合理的な理由がある。
商品の選択には、合理的な考えで行う方法と感性的な直感で行う方法がある。意思決定のスピードから見れば、失敗しないようにじっくり吟味する方法と、失敗するよりも早く効率的に選ぶ方法がある。節約的な買い方は、合理的な考えによって、じっくり吟味して選ぶことであり、衝動買いをしている際は、感性的な直感で素早く選んでいる。消費者は時間や店舗の制約に応じて、このふたつの方法をうまく使い分けているようだ。
なぜ、消費者は、節約をしているのに衝動買いもしてしまうような、矛盾するような行動をとるのだろうか。答えは、脳のなかにある。人間は、動物と同じように、外敵から即座に逃げられるよう、直感や感情によって情報を処理し行動する方法を進化の過程で獲得した。他方で、動物以上に考える力も、脳を進化させることによって獲得した。現代人は商品の選択をする際、このふたつの能力を無駄のないように利用しているのである。状況に応じて節約もするし、衝動買いもする。節約と衝動買いは、状況に対して適応的に行動した結果なのである。
売り手からみれば、消費者の買い方を見極めることがビジネスチャンスに繋がる。商品の品質やユニークさ、パフォーマンスを説得してじっくり選んで頂くのが生産性に繋がるのか、それとも、消費者が「見る、聞く、触る、匂う、味わう」ことのできるような五感刺激による楽しさで好感情を持って頂くのか、の選択である。つまり、売り込む商品を決めて、売り込み方法を特定すれば成長機会を生かせるのだ。さらに、消費者自身が新しい単身世帯のライフスタイルを模索するなかで、コンビニエンスストアは、どんな品揃えや売り方をする業態なのか、新しいライフスタイルを提案していけるかどうかが問われている。
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