I. 消費社会をどう読むか

1.消費トレンドを読む

パッシブ消費からアクティブ選択へ

2002.10 代表 松田久一

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なぜ売れないのか

 商品やサービスが売れない。売れない理由を営業マンと話すといろんな理由が聞ける。景気や天気の話がもっとも多いが、最後には給料が安いという結論で終わる。

 米、醤油、味噌、調味料などがスーパーやコンビニエンスストアで売れないのは、そもそも家で調理をして食事をする、すなわち「内食」をする人が居なくなったからだ。特に、都心居住者ではこの傾向が強い。ほとんどが朝食抜きの1日2度食、昼は、コンビエンスストアで「おにぎりとお茶」か「ヨーグルトとサラダ」などのローカロリーの「中食」だ。夜はゆっくり2時間をとって「スローフード」の外食になる。家で米を研いで炊いてご飯を食べる人はますます少なくなっている。これでは米を売る余地がない。

 ところが、東京の都心の商店街で米屋さんは立派に生き残っている。おにぎりにぴったりの米を仕入れて厳選された水を使い丁度いい柔らかさ具合のおにぎりを売っている。源泉素材と炊きたてだから昼間は行列ができる。コンビニのおにぎりは炊いてから1日3回配送でも約8時間は経過している。コンビニが約100円でおにぎりを売るようになって家庭でおにぎりを作る機会がめっきり減った。家庭でコシヒカリを使っておにぎりを作れば100円で済まない。しかし、米屋の炊き立ておにぎりには勝てない。素材が勝っている上に米の専門家が炊くのだから美味いに決まっている。柔らかさが丁度いい。昼間に行列ができる米屋さんがやっていることは、昼間におにぎりを売って米の美味さを実感してもらうことで米の啓蒙と拡売をしているのである。

 ものが売れないのは、顧客よりも売り手が情報を持たず、売りたい商品サービスと顧客とのインターフェイス(接点)が乖離しているからだ。10万円以上の高額商品を買うのに、百貨店や専門店の対面販売で、自分よりも商品知識を持たない売り手から買う気になれないのは納得させてくれないせいだ。