I. 消費社会をどう読むか

1.消費トレンドを読む

成長格差を生む顧客アクセスへのアプローチ

1999.07 代表 松田久一

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消費格差

 景気回復への「胎動」がはっきりしない。特に、消費回復の行方がみえない。近年の消費低迷の要因は「将来への不安」意識にあった。しかし、昨年度から状況が変わってきている。マインド面から収入減少に変わった。意識からみれば、「先が見えない」ことへの不安は変わっていない。ただ、「自分探し」をするよりは、実力主義で勝者を目指すか、真面目にコツコツやるしかないというように変わってきている。寧ろ、消費低迷は、企業のリストラや倒産による失業と残業手当などの減少による実質収入の減少による。減税が失業率と収入減をカバーするには到っていない。

 全体の平均は消費低迷である。しかしながら、部分、ミクロの現実は違う。

 6月発売の大正製薬の「リアップ」は、ほぼ一日で完売した。育毛剤ではなく5,500円の「発毛剤」である。ソニーが6月1日午前9時からインターネットで売り出した25万円の犬のロボット「アイボ」は20分で完売した。その日のインターネットでは100万円のプレミアムがついた。全体では収入が減り、家計消費が減少しているが、首都圏では収入増加層が52%(弊社調査)いる。節約志向が主流だが、消費を増やしている層は14%いる。都内タクシーの平均の水揚げ(売上)は5万円台をきるほど低迷している。バブル時の半分になっている。参入台数が増えているのと客数が減少しているからである。世田谷地域を営業しているタクシーは6万円台を維持している。収入増加層が多く客数が減っていないのと道路が複雑で参入タクシーが少ないからである。

 利回りの時代に企業はキャッシュフローを最大化しようとしてリストラを進める。当然、コスト削減のために実力主義賃金体系に移行する。実力主義賃金体系は収入格差を生む。その格差が消費格差を生んでいるのである。消費が低迷しているのは、全体平均の話であって統計的事実である。現実は消費格差が拡大しているのである。