半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

マーケティング用語集
射程距離理論(3:1の法則)
シェア逆転の可能性を測る理論

 射程距離理論とは、クープマン目標値にある上限目標の独占的市場シェア(73.9%)と下限目標の市場影響シェア(26.1%)というふたつの数値より導き出されたもので、競争相手との力関係を逆転することができるか否かに関する理論です。一般的には「3:1(サンイチ)の法則」とも呼ばれます。


ふたつの射程距離

 射程距離理論は、ランチェスターの第1法則と第2法則で異なります。

(1)一騎打ちの場合(ランチェスターの第1法則の場合)

 クープマン目標値の上限目標の独占的市場シェア(73.9%)と下限目標の市場影響シェア(26.1%)は、足すと100%になります。つまり、2社間の戦いで、片方が上限目標を上回ってしまうと、他方は下限目標が達成できないことになります。したがって、この2社の距離差が「逆転可能な差の上限」ということになります。具体的には、73.9:26.1≒3:1となり、シェアで3倍以上の差がついてしまうと、勝ち目がなくなるということです。

(2)確率戦の場合(ランチェスターの第2法則の場合)

 2社間の戦いではなく、複数企業間の確率戦の場合は、ランチェスターの第2法則「被害は戦力の二乗比の差」になります。これと同様に、射程距離においても二乗されるため、√3倍(≒1.73倍)以上離れてしまうと勝ち目がなくなるということです。

 これらの射程距離理論は、1位と2位の間だけでなく、2位と3位、1位と3位などの場合でも、あてはめて検討することができます。


日本における携帯電話契約者数シェア

 電気通信事業者協会調べによる、2017年9月時点での携帯電話契約者数で各社のシェアは

  • NTTドコモ   :46%
  • au(KDDI)   :30%
  • ソフトバンク  :24%

となっています。

 業界第2位のauの場合、シェアトップであるNTTドコモとの差は約1.53倍です。ここでは確率戦のため、auがNTTドコモを逆転することは不可能ではありませんが、√3倍に近い数字であることから困難を伴うと判断されます。逆に、auとソフトバンクとの差は約1.25倍となっており、ソフトバンクはauを逆転することが可能なポジションであることが分かります。auとしては、逆転が難しいNTTドコモと戦うより、自社に接近しているソフトバンクとの競争に集中し、逆転不可能なシェア差まで突き放すことが重要であると考えられます。



参照コンテンツ

関連用語


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

新着記事

2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2024.04.11

24年1月の「現金給与総額」は25ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.04.10

マーケティング用語集 イールドカーブ

2024.04.09

24年2月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも悪化

2024.04.08

企業活動分析 任天堂の23年3月期は主にハードウエアの売上減が響き減収減益

2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

2024.04.04

企業活動分析 NTTの23年3月期はITサービス拡大で増収増益、過去最高更新

2024.04.03

24年3月の「乗用車販売台数」は3ヶ月連続の2桁マイナス

2024.04.02

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 20代男性の内食志向にマッチして伸びる冷凍餃子

2024.04.01

24年2月の「新設住宅着工戸数」は9ヶ月連続マイナスに

2024.03.29

企業活動分析 KDDIの23年3月期は法人向け好調等で増収、過去最高益更新

週間アクセスランキング

1位 2024.04.02

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 20代男性の内食志向にマッチして伸びる冷凍餃子

2位 2023.04.05

日本人の7割はチーズ好き ぜいたくニーズに支えられ伸長

3位 2016.03.16

【マーケティングFAQ】どうすればブランド力を強化できるか

4位 2024.03.28

月例消費レポート 2024年3月号 消費は足踏み状態が長期化している-インフレ見通しや消費マインド改善などによる消費回復の後押しに期待

5位 2024.04.03

24年3月の「乗用車販売台数」は3ヶ月連続の2桁マイナス

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area