TPPとは、(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)の略で、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定(EPA)です。ここでEPA(Economic Partnership Agreement)とは、FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)の一種ですが、貿易取引に直接かかわるような関税やその他通商上の規制の撤廃に止まらず、別名「非関税障壁」とも呼ばれている、経済制度や経済取引に絡むルールの調和や連携強化、協力推進をも含めた形で結ばれる、包括的な経済協定です。
その沿革を簡単に整理すると、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国で発効したEPAがスタートしました。2010年に拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアが参加。この9か国の加盟国・交渉国による交渉は2011年11月には大枠合意、2012年内の最終妥結を目指していましたが、まだそこには至っていません。
日本は2010年、民主党・菅直人政権時の日本APECにおいて、TPP交渉への参加検討、アジア太平洋貿易圏(FTAAP)の構築を視野に入れる意向を示したことで、その参加の是非が議論されるようになりました。その民主党から政権を奪回した自由民主党・安倍晋三政権は2013年3月にTPP交渉参加を表明しました。「アベノミクス第3の矢」である成長戦略3本柱のひとつ「国際展開戦略」として推進していく姿勢を打ち出しています。現在の圧倒的な支持率を背景に政府主導で進んでいるTPPですが、党内には地方選出の議員を中心に反対勢力も根強いのが現状です。
いずれにせよ、現加盟国・交渉国に日本を加えた10カ国の域内GDPにおける9割を日本と米国が占めていることもあり、最終的には日米間のパートナーシップに大きな影響を及ぼすことは間違いありません。またここで、GDP世界2位の中国がどのような姿勢を見せるのかが、現在の焦点ともいえます。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事
消費者調査データ コーヒー飲料(2024年3月版)独走「BOSS」、「ジョージア」との差を広げる
プラスが続くコーヒー飲料の市場についての調査結果をみると、23年調査に引き続き「BOSS」が全項目で首位を獲得、さらに2位の「ジョージア」とは、3ヶ月内購入で差を広げた。「BOSS」はエクステンションの「BOSS CRAFT」も高評価で、リーディングブランドとしての存在感を示している。
成長市場を探せ 3年連続で過去最高更新、拡大する麦茶飲料(2024年)
健康志向などを追い風に堅調な動きを続ける茶飲料市場のなかで、特に伸びている領域がある。3年連続で過去最高を更新した麦茶飲料だ。背景にあるのは、気候温暖化による毎年のような猛暑と、熱中症対策意識の高まりだ。
消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い
22年度、過去最高を更新した即席めん市場。その多くを占めるカップめんについての調査結果をみると、「カップヌードル」が絶対的な強さを示し、それを「赤いきつね/緑のたぬき」「日清のどん兵衛」が追う展開となった。一方で、節約志向を背景に、コストパフォーマンスに優れるPBの再購入意向も高い。